2019年11月8日金曜日

08- 「安保法制違憲」の訴え棄却 東京地裁 憲法判断示さず

 集団的自衛権の行使を認めた安全保障関連法は違憲で、施行により精神的苦痛を受けたとして、市民らが国に慰謝料支払いを求めた訴訟の判決が7日、東京地裁であり、「原告に損害賠償で保護すべき利益はない」として、請求を棄却しました。
「平和的生存権」について「具体的権利が保障されたものではない」と述べ、戦争の脅威が増大したことで精神的苦痛を受けたとする主張も「具体的な危険が発生したとは認め難い」と退けました。

 これは憲法判断を避けて訴訟を門前払いするもので。憲法に明記されている平和的生存権さえも「実体を持つものではない」かの如きの言い回しです。
 安保関連法をめぐり賠償や自衛隊の防衛出動などの差し止めを求めた集団訴訟は全国22地裁に計25件起こされていてこの判決は2件目です。1件目の札幌地裁も憲法判断を示さないまま訴えを退けています

 なお、現職の陸上自衛官が「存立危機事態」になっても防衛出動命令に従う義務はないことの確認を国に求めた訴訟の上告審判決7月22にあり、最高裁第一小法廷は「訴えは適法」とした二審・東京高裁判決を「検討が不十分」として破棄し差し戻しています
 司法はここに至っても安全保障関連法違憲性を認めようとしません。
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「安保法制違憲」訴え棄却 憲法判断示さず 東京地裁
時事通信 2019年11月07日
 集団的自衛権の行使を認めた安全保障関連法は違憲で、施行により精神的苦痛を受けたとして、市民ら1553人が国に、1人当たり10万円の慰謝料支払いを求めた訴訟の判決が7日、東京地裁であった。前沢達朗裁判長は「(原告に)損害賠償で保護すべき利益はない」と述べ、請求を棄却した。憲法判断はしなかった。原告側は控訴する。

 前沢裁判長は、原告側が侵害されたとする「平和的生存権」について、「具体的権利が保障されたものではない」と指摘。戦争の脅威が増大し、精神的苦痛を受けたとする主張も「具体的な危険が発生したとは認め難い」と退けた。

 原告団は判決後に記者会見し、「思いを踏みにじる内容で、到底受け入れられない」と反発。憲法判断がされなかったことを「政権を忖度(そんたく)し、なすべき判断を回避したとしか考えられない」と批判した。
 原告側代理人によると、安保関連法をめぐり賠償や自衛隊の防衛出動などの差し止めを求めた集団訴訟は全国22地裁に計25件起こされ、判決は2件目。1件目の札幌地裁も憲法判断を示さないまま訴えを退けている。 


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自衛官の提訴、差し戻し=「安保法制」出動拒否-最高裁
時事通信 2019年07月22日
 集団的自衛権の行使を認めた安全保障関連法は違憲だとして、陸上自衛官の男性が同法に基づく防衛出動命令に従う義務がないことの確認を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(山口厚裁判長)は22日、審理を東京高裁に差し戻した。
 争点は、そもそも訴えが適法か否か。小法廷は「適法」とした二審判決について、「男性が出動命令に従わなかった場合に処分を受ける『現実的な可能性』を検討していない」と指摘した。差し戻し後の高裁では、処分の前提となる命令発令の具体的可能性が審理される見通し。