保育・幼児教育の「無償化」は、すべての子どもに格差のない質の高い保育を保障することであった筈ですが、10月からの「無償化」では、待機児童の解消、保育士の処遇改善は後回しにされました。
それだけでなく、0~2歳児については無償化は住民税非課税世帯に限定され、3~5歳児は給食食材費を新に実費で負担しなければならなくなりました。
3年前、待機児童の解消のために保育園を増やすことと保育士の待遇を改善することを野党やマスコミは要求しましたが、それとは違ったものが実施されました。
香港の学生らの反政府運動を報じ続け、最近帰国したジャーナリストの田中龍作氏は、帰国後の第一報でこの問題を取り上げ、「いかにも安倍政権らしいトリックだ」と批判しました。
「保育無償化」から1ヶ月が経った4日、「すべての子どもに格差なく質の高い保育を求める大集会」が日比谷野外音楽堂で開かれ、全国から集まった約3000人が参加しました。参加者たちは集会後、「子どもの未来守りたい」「公的保育で待機児解消」などと書かれたプラカードを掲げて都内をパレードしました。
しんぶん赤旗と田中龍作ジャーナルの記事を紹介します。
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格差なく よりよい質の高い保育を 待機児を解消して
保育士や父母 3000人が大集会 東京
しんぶん赤旗 2019年11月5日
すべての子どもに格差なく質の高い保育を求める大集会(よりよい保育を!実行委員会主催)が4日、東京・日比谷野外音楽堂で開かれました。全国から集まった約3000人(主催者発表)は集会後、「子どもの未来守りたい」「公的保育で待機児解消」などと書かれたプラカードを掲げて都内をパレードしました。
集会冒頭で全国保育団体連絡会の実方伸子副会長が基調報告。保育・幼児教育の「無償化」は、すべての子どもに格差なく等しく質の高い保育を保障することに資するものでなければならない、と指摘しました。10月からの「無償化」は、運動の成果といえるが財源は消費税であり、待機児童解消、保育士の処遇改善は後回しにされたと批判。児童福祉法24条1項「市町村の保育実施責任」をよりどころに、学習と対話で運動を広げようと呼びかけました。
保育士や父母らが寸劇やダンス、手作りのパネルなどで活動を報告しました。
「どの職場でも人手不足が深刻で、仕事がしんどいと辞めていく。国が責任をもって職員の処遇改善を進めてほしい」(福祉保育労東海地本の組合員)
「市がすべての公立保育園を廃止する計画を出した。代わりの施設もつくらない。こんなひどいことはやめて」(東京・東久留米市立しんかわ保育園の保護者)
「学童の指導員不足で、国は無資格者の配置を容認しました。全国でおこなう学童指導員の調査に、ぜひ協力を」(広島自治労連の組合員)
初めて妻と参加した6歳と3歳の子を育てる父親(39)=岐阜県=は、「保育事故などニュースで気になっていたけれど、何が問題なのか分かりました。自分の周りにも伝えたい」と語りました。
パレードでは、“獅子舞で悪い制度を「おししまい」に”と獅子に扮(ふん)した保育士たちが舞いながら行進。おそろいの“獅子舞いハンドパペット”を手にした保護者らが続き、人形の口を動かしながら、「保育は国の責任で!」「すべての子どもに無償化を!」とアピールしました。
よりよい保育の実現を求めるパレード=4日、東京都内
保育無償化から1ヵ月 母親「無償じゃない」
田中龍作ジャーナル 2019年11月4日
「保育園落ちたの私だ」。3年前、国政を揺さぶった悲鳴は何だったのか。
きょう全国各地から日比谷野音に集まった保育士、園児、父母たちを見ていて、嘆息せざるを得なかった。(「すべての子どもによりよい保育を! 11・4大集会」主催:同実行委員会)
10月から保育の無償化が始まったが、落とし穴だらけだ。
「保育料」は無料となっても、3~5歳児は給食食材費を実費で負担しなければならなくなった。これまで給食食材費は保育料の中に含まれていた。
「無償と言ってたのに、実際は無償ではない」と埼玉県内の保育士は呆れ顔で語った。彼女は自らの子どもを保育園に通わせる母親でもある。
0~2歳児については住民税非課税世帯に限定されている。
いかにも安倍政権らしいトリックだ。
待機児童の解消のためには保育園を増やすことと保育士の待遇を改善すること・・・3年前、野党やマスコミが声高に叫んだ。
きょう開かれた集会では保育士の給与が依然として低いことが報告された。全産業の平均より10万円(月収)も少ないという。
前出の保育士は、待機児童問題も保育士の待遇改善も、3年前と比べて「まったく改善されていない」と顔をしかめた。
待機児童の解消を名目に業者を参入させたが、問題の解消には至らなかったのである。
保育の無償化は消費税増税の口実に使われただけ、との指摘もある。
子どもを大事にしない国に未来はない。
~終わり~
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香港が戦場も同然になっています。マスコミが報道しない日本の近未来を伝えるためにも田中をもう一度、最前線に立たせてください。
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