2019年11月19日火曜日

19- 「桜を見る会」首相の説明に疑問の声はおさまらない

 「私物化」で始まった桜を見る会」問題は「安倍晋三後援会会計」の違法性にピントが絞られてきました。安倍首相は15日に20分間の苦しい説明をしましたが、到底納得できるものではなく世論の批判はおさまりません。
 プレジデントオンラインは首相の弁明に対して、「語れば語るほど後から説明がつかなくなる危険がある」「説明責任を果たす姿勢を見せれば見せるほど、説明すべきことが増えてしまい、結果として墓穴を掘ることもある。そのことは12年前、安倍氏自身が証明している」と述べています。

 真実は一つでそれは誰もが納得できるものの筈ですが、それを糊塗しようとすると切りがなくなるという意味なのでしょう。

 いち早く16日に「“桜を見る会前夜祭”安倍首相の『ホテル名義の領収書』説明への疑問」を発表した郷原信郎弁護士は、18日には再度「ホテル側主催」であれば、安倍首相・後援会関係者は会費を支払ったのか」とするブログ(下掲)を発表しました。

 LITERAは19日、元ホテルニューオータニの社員が「会費5000円はあり得ない」と語ったことを報じました。

 毎日新聞の「 ~ 領収書、何が問題か?」の記事と18日付の郷原信郎弁護士のブログを紹介します。
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「桜を見る会」安倍首相の説明に疑問の声 領収書、何が問題か?
毎日新聞 2019年11月17日
 安倍晋三首相主催の「桜を見る会」の前日に開かれた「前夜祭」の費用について首相が15日に行った説明に対し、インターネット上では「説明責任を果たしていない」「証拠を示さずに一方的だ」など疑問や批判の声が上がっている。何が問題なのか。16日に自身のブログで「『ホテル名義の領収書』説明への疑問」と題して問題提起した元東京地検特捜部検事の郷原信郎弁護士にポイントを整理してもらった。【吉田卓矢/統合デジタル取材センター】

20分超の首相説明「違法性ない」
 安倍首相は15日、2度にわたり首相官邸で報道陣のぶら下がり取材に応じた。2度目は30問超の質問に約20分かけて答え、首相にしては異例の対応だった。この中で、桜を見る会の前日、多数の後援会関係者が参加して東京都内のホテルで開かれた「前夜祭」について「会場入り口の受付で安倍事務所職員が1人5000円を集金し、ホテル名義の領収書をその場で手交し、全ての現金をホテル側に渡す形で支払いがなされた」と説明。「5000円はホテル側が設定した。事務所なり、後援会としての収入、支出は一切ない」と述べ、政治資金規正法や公職選挙法に違反しないとの認識を示した。

「説明責任果たしていない」批判相次ぐ
 これに対し、ツイッターなどでは批判が相次いだ。
 「証拠も出さず一方的に『ホテルが決めたこと』と言い張るだけ。これで説明は果たしたなんて、ふざけているとしか言いようがない」
 「これで説明責任を果たしたとは言わないで」
 「国会で説明を」
 「支持率が高いからどんなことも許されると思ったら大間違いだ」

郷原氏「事務所側が事前にホテルに支払いをしたとしか考えられない」
 郷原氏も疑問を感じ、問題点をブログなどで発信した。まず事務所側がホテル名義の領収書を参加者に手交した点に注目。「(これほど大手の)ホテルが料金を受け取る前に、ホテル名義の領収書を事務所側に渡すことなどあり得ない」と疑問を投げかけ、「事前に想定した参加者数に1人あたりの料金を掛け合わせた金額をホテル側に支払った上で参加人数分の領収書を受け取り、会費を払った人に渡していたとしか考えられない」と指摘する。

「違法性払拭(ふっしょく)できず」
 それを前提に検討すると、政治資金規正法や公職選挙法違反の疑いは払拭されないという。
 まず、政治資金規正法の関係では、事務所側がとりまとめてホテル側に支払いをして参加費を受け取っている時点で、支出と収入が発生しているため、政治資金収支報告書に記載する必要があるという。たとえホテル側に支払った金額と参加者から受け取った金額が同額であっても抵触するとし、「収支は発生せず、政治資金規正法上の違反にはあたらないという首相の説明は、全く通る余地が無い」と強調する。

 次に公職選挙法の関係で問題になるのは、参加者数が事前の想定数を下回った場合だ。不足分を事務所側が支払ったことになり、同法が禁止する寄付行為に当たる可能性が出てくる。特に、実際の参加者数と想定人数に意図的といえるほど大きな開きがあり、補塡(ほてん)金額が多額になれば、参加者へ寄付する意思があり、実際に寄付も行われたと認定される可能性が高い

「事実解明に欠かせない疑問点が多数」
 このため、郷原さんは首相の説明に出てきた「ホテル名義の領収書」について、さらに検証が必要だと主張する。「領収書がどの段階で何枚、事務所側に渡されたのか。想定人数、金額はいくらだったのか。ホテルとの契約内容など、事実解明には欠かせない疑問点が多数残っている。さらなる説明を求めたい
 批判や疑問を受け、首相から追加の説明はあるのだろうか。


「ホテル側主催」であれば、安倍首相・後援会関係者は会費を支払ったのか
郷原信郎が斬る 2019年11月18日
 安倍首相は、本日(18日)午前10時ごろ、総理大臣官邸に入る際、記者団の取材に応じ、「懇親会などについて証拠を示して説明すべきだという指摘が出ている。」と問われたのに対し、「安倍事務所にも後援会にも、一切、入金はなく出金もない。旅費や宿泊費は各参加者が直接支払いを行い、食事代についても領収書を発行していない。」と述べたとのことだ(NHK)。

 15日の「ぶら下がり会見」では、「安倍事務所職員が1人5000円を集金してホテル名義の領収書を手交した」と説明していた。そうであれば「ホテル名義の領収書」が事前に安倍事務所側にわたっていたことになる。ニューオータニのような一流ホテルが、支払いを受けてもいないのに領収書を発行して交付することはあり得ないのではないかというのが、前の記事【「桜を見る会」前夜祭 安倍首相の「説明」への疑問~「ホテル名義の領収書」の“謎”】での指摘だが、その点について安倍首相は答えていない

 安倍首相の説明によると、夕食会は、ホテル側が主催し、ほとんどが宿泊者であることを考慮して、夕食会費を1人5000円と決め、個別にそれを集金したもので、安倍事務所側は、会費を集金して領収書を交付するという事務を手伝う以外は関与していないということになるが、懇親会に出席した参加者全員が、個別に、(安倍事務所職員を通してかもしれないが)1人5000円の飲食費をホテル側に支払ったということになると、その夕食会費を支払うべき「参加者」には、安倍首相夫妻や事務所関係者、来賓も含まれるはずだ。ホテル側が主催する立食の夕食会であれば、これらの人達も、夕食会に参加する以上、飲食をしようとしまいと、参加者の人数に含まれるのは当然だ。

 これらの人達も、すべて自分で夕食会費を支払ったのだろうか。もし、後援会が支払っているとすれば、その分、その「桜を見る会」前夜際に関する安倍後援会側の「支出」が発生する。支払っていなければ、安倍首相や関係者は「無銭飲食」をしたことになる

 この疑問に、安倍首相は、どう答えるのであろうか。