2019年11月14日木曜日

「桜を見る会」来年度は中止に

 安倍首相の地元後援会関係者が多数参加するなど、首相による「桜を見る会」の私物化への批判が強まる中、菅官房長官は13日の記者会見で、「桜を見る会」を来年度は中止すると発表しました。安倍晋三首相は13日夕、官邸で記者団に「私の判断で中止することにした」と強調しました。

 2閣僚辞任や大学入試の英語民間試験をめぐる混乱など、安倍政権の不手際が相次いでおり、政府が廃棄したと答弁した「参加者名簿」も17年度~19年度分は文科省などで保管されていたことが明らかになりました。このところ安倍政権はマイナスイメージの連続で、さすがに自民党内からも「桜を見る会はやめた方がいい」と中止を求める声が出ており、早期の幕引きを図ることで打撃を最小限に食い止めたいというのが狙いです。
 菅氏は会見で、来年度予算案の編成作業が本格化する前に決断する必要があったと説明し、再開する場合には招待基準の明確化や招待プロセスの透明化を検討していく」と話しました。

 毎日新聞、しんぶん赤旗、東京新聞などの関連記事を紹介します。
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「桜を見る会」来年度は中止 官房長官が発表
毎日新聞 2019年11月13日
 菅義偉官房長官は13日の記者会見で、首相主催で毎年春に新宿御苑で開かれる「桜を見る会」を来年度は中止すると発表した。安倍晋三首相の地元後援会関係者が多数参加し、招待基準が不透明だと野党が批判しており、菅氏は「さまざまな意見があることを踏まえ、政府として、招待基準の明確化や招待プロセスの透明化を検討していく」と話した。
 また「長年の慣行」として首相官邸や与党に対して招待者の推薦依頼を行っていたことも明らかにした。官邸分については「首相、副総理、正副官房長官に推薦依頼を行ったうえで、提出された推薦者のとりまとめを行っている」として、事実上の招待「枠」があったことを認めた。


桜を見る会 前夜祭の怪 首相後援会 収支報告なし
しんぶん赤旗 2019年11月13日
 日本共産党の田村智子副委員長が8日の参院予算委員会で取り上げてから、各メディアも連日報道するなど大問題となっている安倍晋三首相主催の「桜を見る会」。例年、この会の前日に開かれている安倍晋三後援会「前夜祭」の費用は一体どうなっているのかが、重大な疑惑の一つとして浮かび上がっています。
 読売新聞の「安倍首相の一日」欄で「桜を見る会」の前日を調べてみると、2017~19年の3年間「東京・紀尾井町のホテルニューオータニ。『安倍晋三後援会 桜を見る会前夜祭』」と書かれています。これ以前も、ホテルや名称は異なりますが、首相は必ず前日夜に後援会との懇親会に出席しています。

 「前夜祭」の費用に関しては「しんぶん赤旗」日曜版の取材に対し、複数の参加者が「5000円の会費を払った」と証言しています。しかし、安倍首相が代表を務める政党支部や関係する政治団体は六つありますが、後援会行事として開かれている「前夜祭」について、いずれの収支報告書にも収支の記載がありません
 政治資金規正法は、対価を徴収して行われる催し物を「政治資金パーティー」と規定し、収入や経費を収支報告書に記載するよう義務付けており、同法違反の疑いがあります
 安倍首相は8日の参院予算委で、田村氏から「前夜祭」について聞かれると「(各個人が)そのホテルとの関係においても、それはホテルに直接払い込みをしているというふうに承知をしている」と答えています。

 しかし、後援会行事の費用を各個人がホテルに直接支払うことがあるのか。誰が主催した宴会なのか、誰が参加費を集め、ホテルに費用を支払ったのか。安倍首相には明確な説明が求められます。
 安倍首相による「桜を見る会」の私物化問題をめぐり12日に開かれた野党合同ヒアリングでは、「桜を見る会」という公的行事に地元後援会員を無料招待していた安倍首相の行為が公選法違反かどうかを問われた総務省の担当者は、一般論としつつ「特定の選挙について、特定の候補者の当選を目的として金銭・物品を提供することは買収罪にあてはまる」と明言しました。
  【13~19年 前夜祭会場一覧表


桜を見る会 文科省、推薦名簿を保存 萩生田氏の後援会参加
東京新聞 2019年11月13日
 萩生田光一文部科学相は十三日の衆院文科委員会で、公費で首相が主催する「桜を見る会」の招待者に関し、文科省が過去に作成、提出した同省分の推薦者名簿を保存していることを明らかにした。自身の後援会関係者が参加したことがあるとも認めた。加藤勝信厚生労働相も衆院厚労委員会で「地元の方、知っている方に会う機会があった」と説明。立憲民主党など野党四党の国対委員長は国会内で会談し、衆参両院で安倍晋三首相が出席する予算委員会集中審議の開催を求める方針で一致した。

 菅義偉(すがよしひで)官房長官は記者会見で招待客について、国会議員側からの働き掛けもあり得るとの認識を示した。「一九五二年から続いた行事だ。そうしたものも含まれるのだろう」と述べた。
 文科省によると、同省が作成、提出した推薦者名簿は、省内の規則に基づき二〇一七~一九年に開催した三回分を保存しているという。萩生田氏は推薦者名簿に関し「個人情報が多く、推薦段階の情報でもあり、明らかにできない」と説明した。立民の村上史好氏への答弁。
 内閣府の大塚幸寛官房長は十二日の衆院地方創生特別委員会で、内閣府と内閣官房が取りまとめた招待客名簿について「保存期間一年未満の文書と位置付けており、会の終了後、速やかに廃棄している」と答弁。文書保存の有無について今後、野党などが追及を強める可能性もありそうだ。
 加藤氏は厚労委で「ぜひ行きたいという陳情ベースであるものは普通の陳情と同じように事務所で処理していると思う」と語った。
 野党国対委員長会談後、立民の安住淳国対委員長は記者団に「次々と疑問が明らかになっている。首相が出てこない限り、この話は終わらない」と強調。会談では、衆参の各委員会で省庁や閣僚らに対し、関連質問をしていくことも申し合わせた。

 一方、自民党の二階俊博、公明党の斉藤鉄夫両幹事長は東京都内で会談し、桜を見る会の招待客選定基準の見直しが必要との認識で一致した。


安倍首相事務所が案内状 桜を見る会、内閣府に仲介?  野党議員追及
時事通信 2019年11月13日
 立憲民主党などの共同会派に所属する柚木道義氏は13日の衆院厚生労働委員会で、安倍晋三首相の事務所が2018年4月に行われた「桜を見る会」の参加希望者に送った案内状を入手したとして、政府側を追及した。正式な招待状については「内閣府より、ご連絡いただいた住所に送付されます」との記載があり、事務所の仲介をうかがわせる内容だ。
 「『桜を見る会』について(ご連絡)」と題された案内状は18年2月付。「あべ晋三事務所」名義で、東京都内の観光ツアーや、桜を見る会の前夜に催された夕食会、当日の日程などを通知。夕食会の主催は「あべ晋三後援会」、会費は1人5000円と説明している。
 桜を見る会当日はホテルから送迎バスを運行すると紹介し、「総理夫妻との写真撮影はバス号車ごとに行います。乗車されない方は写真撮影が困難となります」との断り書きもある。柚木氏は「税金による後援会活動だ。国民に説明がつくのか」と批判した。