安倍晋三氏は20日で首相在位期間が歴代最長になりました。
ただ長いだけで何の実績もないのですが、長く続けることが出来たのは小選挙区制の属性を利用して党内での独裁体制が敷けたことに加えて官僚支配の体制を確立させたことが何としても大きいのですが、その独裁体制の延命に陰に陽にメディアが協力してきたことも挙げることができます。
鳩山(由紀夫)政権に始まった民主党政権の崩壊過程を詳しく解析してきた植草一秀氏が、第二次安倍政権の発足の過程に見られる「長期化の要因」を記していますので紹介します。
植草氏は、2012年12月総選挙で野田政権が自爆解散に突き進んだのは、野田氏が小沢新党を破壊するのが目的で、メディアはそれに全面的に協力したとしています。
記事中に「白アリ退治」云々とあるのは、民主党が政権を奪取した2009年の衆院選における野田氏の街頭演説
「マニフェストに書いてあることは命懸けで実行する。書いてないことはやらないそれがルールです。~ 消費税5%分のみなさんの税金に、天下り法人というシロアリがたかってるんです。シロアリ退治をしないで、消費税を引き上げるんですか云々」
と自民党を攻撃したことを指しています。
それが後々まで取り上げられるのは、自分が首相の座に就くと全くそれと逆のことをやり、消費税率を上げようとしたためです。
その点は前任の菅直人首相の時もそうでした。菅氏は首相になった直後に予算の編成を財務省に頼り切ったことで篭絡され、野田氏に至っては民主党代表選に立つ時から財務省の力に頼り切りそのおかげで代表の座を射止めることができたので、もはや首相として登場した瞬間から財務省の自家薬籠中の物となっていたのでした。
2人とも財務省にそそのかされるままに消費税率アップを叫びました。それでは国民から信頼されず、結局民主党が奈落の底に落ちることになったのは仕方のないことでした。
安倍内閣が登場して半年後に行われた参院選では、メディアが「ねじれの解消」を言い出し、それこそが最重要事項であるかのように宣伝した結果、参院でも自公が多数派となり、ものの見事にねじれが解消されたのでした。
植草氏はそのことが結局今日までの「長命」につながったとしています。
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安倍内閣長期化という「悪夢」
植草一秀の「知られざる真実」 2019年11月20日
政府主催行事の「桜を見る会」が安倍首相によって私物化されていた問題で重大な疑惑が浮上している。
この問題の拡大に合わせるかのように沢尻エリカ氏の薬物事案での逮捕が執行された。
両者の因果関係は明白である。
薬物事案の検挙のタイミングは「恣意的に」決定できる。
ブラックリストは用意されているわけで、捜査当局が「タイミング」を見計らって逮捕等の措置を執行していることは容易に想像できる。
恣意をもって運用できる事象が何らかの恣意によって運用されていると推察することを「陰謀論」と表現するのはいささか知性を欠く行為だ。
これまでの薬物事案摘発のタイミングを見れば、その行為が政治的意図の下に行われてきたことを否定することの方がはるかに困難である。
安倍内閣は自己の利益のために、あらゆることを利用する。
権力の濫用によって「公」を「私」にしてしまうのが安倍内閣の最大の特徴である。
その安倍内閣が長期間持続しているが、主権者が安倍内閣を強く支持しているわけではないことを認識する必要がある。
国政選挙で安倍自公に投票している主権者は全体の25%未満である。
4分の1の主権者しか安倍内閣を積極的に支持していない。
選挙での投票行動を見れば、反安倍自公勢力に投票している主権者の方が多い。
しかし、選挙制度の特性によって、安倍自公が国会議席の7割近くを占有しているだけのことだ。
世論調査が示す40%台の安倍内閣支持率を鵜呑みにはできない。
真実の支持率は20%台であると考えられる。20%ポイントは人為的に下駄を履かされているのだと思われる。
この内閣が長期化することになる最大の分岐点を形成したのが2013年7月の参院選だ。
2012年12月総選挙で野田佳彦氏が自爆解散に突き進んだ。野田氏の最大の目的は小沢新党を破壊することだったと思われる。
民主党の公約だった「白アリを退治しないで消費税を引き上げない」を守り抜こうとしたのが、民主党離脱者が創設した小沢新党だった。この政党が真正民主党と呼ぶべき存在だった。
メディアは徹底的に小沢新党を攻撃した。攻撃の手法は、一切メディアの情報に載せないというものだった。
野田氏が年内総選挙に突き進んだのは、小沢新党が多額の政党助成金を受け取ることを阻止するためだった。
野田佳彦氏は背徳の消費税増税法制定を強行し、安倍自民に大政を奉還した。
そして、メディアが小沢新党を完全無視してこの真正民主党を破壊したのである。
そして半年後の2013年7月の参院選で安倍自公が勝利して参院過半数を確保した。
この「ねじれ消滅」によって安倍長期政権という「悪夢」が現実のものになった。
衆参がねじれていれば、政権の不祥事によって政権が立ち行かなくなる。
2006年から2012年まで7年連続で内閣が消滅したのは「衆参ねじれ」が存在したからだ。つまり、衆参ねじれが政治の浄化をもたらす原動力になっていた。
ところが、2013年参院選でねじれが消滅した。ここから安倍内閣の暴走が始まり、いまなお続いている。
衆参両院の多数を握っているため、政権の不祥事によって政権が行き詰まることがなくなった。
安倍首相は「国会のことは国会がお決めになる」と繰り返すが、衆参両院の多数を与党が占有していると、国会は政権の不祥事に対してメスを入れることを阻止するようになる。
「内閣にある者もそうでない者も、与党であろうと野党であろうと、疑いを持たれた者は説明責任を果たさねばならない」と明言してきた安倍首相が、自分自身の問題については説明責任を果たさない。
衆参両院の予算委員会で「桜を見る会」疑惑について集中審議を行うよう野党が要求するなら、安倍首相が与党の代表として与党に集中審議を行うよう指示をすれば集中審議が実施される。安倍首相が与党に「集中審議に応じるな」と指示するから集中審議が行われないだけなのだ。
2013年参院選に際して、「ねじれ解消」を扇動したのは日本のマスメディアだ。
これ以降、日本政治から自浄作用が消滅した。
日本政治は安倍内閣の存続と比例して完全腐敗の一途を辿っている。
(以下は有料ブログのため非公開)