2019年11月20日水曜日

前夜祭 ホテル“前払い”が原則 明細書は再発行が可能と

 共産党の志位委員長は18日国会内で記者会見し、安倍首相の発言について「明細書もない、領収書もない、招待者の名簿は捨ててしまったと言う。それでやましいことはないといっても誰が信用できるのか」「前夜祭は安倍後援会が主催しているわけであり、政治資金収支報告書に記載がないという問題は、責任が免れない」と述べ、公職選挙法違反重大な疑惑についても「全く解消されない」と指摘しました。

 安倍首相は15日のぶら下がり会見で、「夕食会費用については、安倍事務所職員が一人5000円を集金してホテル名義の領収書を手交。集金した現金をその場でホテル側に渡すという形で、参加者からホテル側への支払いがなされた。(要旨)」と述べましたが、しんぶん赤旗が当該のホテルに問い合わせたところ、「宴会の費用は30日前までに支払うのが原則」であることが分かりました。
 そうした規約に反してわざわざ当日その場でホテル側が個人宛の領収書を発行するという煩雑な作業を行ったとはとても思えません。

 また安倍晋三後援会が宴会の総額を記した明細書を受け取っていないということも異常なことで、NHKが都内の一流ホテルに確認したところ、
 ・宴会の費用は主催者からまとめて支払い受ける
 ・支払い終わる前の領収書の発行はない
 ・明細書原則として主催者側に発行する
 ・明細書の保存期間は7年程度で「再発行」が可能である
だったということです。
 安倍首相は今からでもホテルに明細書を発行してもらい、諸々の疑惑を解消すべきです。

 しんぶん赤旗とNHKの記事を紹介します。
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「前夜祭」会場のホテル 規約は原則“前払い”“払ってない” 首相と矛盾
しんぶん赤旗 2019年11月19日
 「桜を見る会」の前夜に安倍晋三首相の後援会が主催した夕食会をめぐって、会場の東京都内の高級ホテルが宴会にかかる見積額を「原則として、ご利用日の30日前までに」払わなければならないと規約を定めていたことが18日、本紙の取材でわかりました。安倍首相が18日にした“後援会が先にホテル側に支払ったことはない”という説明の信ぴょう性が問われています。
 あべ晋三後援会が4回(2015、17、18、19年)の「前夜祭」をひらいたホテルニューオータニ(東京都千代田区)。
 同ホテルが10年10月に定めた「宴会・催事規約」には、「前受金」の取り決めがあります。そこでは、「ホテルから提示いたしました見積総額を、原則として宴会場ご利用日の30日前迄(まで)に現金又はお振込みにてお支払いいただきます」としています。
 実際に、前夜祭と同時期の15年10月に900人規模でレセプションを同ホテルで開いた都内の事業所も、前払いを求められたといいます。事前に参加者数を見積もっていたものの、当日は飲み物代が予想をオーバーし、後日、ホテルから追加で請求されました。
 安倍首相の夕食会は一人5000円と格安でした。レセプションを担当した事業所の職員は「安くする努力はしたが1万円を切るのは無理。首相や菅義偉官房長官がいうように“ホテルにいえばなんとかなる”ものではない」といいます。
 元検察官の郷原信郎弁護士は「明記された規約から外れる契約を、ホテルが交わすだろうか。もし例外を認めたとすれば、ホテルが首相側に特別な計らいをし、利益を提供したということになりかねない」と話しています。 (矢野昌弘)

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桜を見る会 前夜祭問題 明細書は誰に ホテル各社に聞いてみた
NHK NEWS WEB 2019年11月19日
「桜を見る会」の前日に安倍総理大臣の後援会が開いていた「前夜祭」をめぐる問題。野党は「明細書がないなんて戦後日本で聞いたことがない」などと徹底的に調査する構えを見せています。そもそもホテルで開かれるパーティーはどのような仕組みになっているのでしょうか? 都内のホテル各社に聞いてみました。

安倍首相 3回にわたり説明
(中 略)安倍総理大臣は「前夜祭」の代金は政治団体である「安倍晋三後援会」が支払ったのではなく、あくまで参加者個人がホテル側に支払う形になっていたと説明。事務所や後援会の収支は一切なく、政治資金収支報告書に記載する義務はないとしています。
そしてパーティー代金などの総額が記された明細書についても「事務所に確認しているがそうしたものはない」と説明しました。

ホテルニューオータニ「一概には申し上げられない」 
安倍総理大臣のこうした説明に3年連続で会場となった「ホテルニューオータニ」は会費の設定やパーティー代金の支払い方法などについていずれも「一概には申し上げられません」などと回答しています。

ホテル「原則 主催者からまとめて支払い受ける」
そもそもホテルで開かれるパーティーは一般的にどのような仕組みになっているのでしょうか? NHKは過去に国会議員の政治資金パーティーなどが開かれている都内の別の5つのホテルに取材しました。
まず数百人規模のパーティーの代金を参加者個人がホテル側に支払うことはあるのか尋ねました。
すると5つのホテルはいずれも「原則として代金は主催者からまとめて支払いを受けます」と回答しました。
このうち「帝国ホテル」は「ホテルが主催するパーティーの場合は参加者個人が代金を支払うことができますが、それ以外は主催者にまとめて支払っていただきます」と説明。
「オークラ東京」は「パーティーの代金は計算ミスなどのトラブルを防ぐため必ず主催者側に総額の明細書を発行し、まとめて支払いを受けます」と説明しています。

支払い終わる前の領収書の発行は…「ありません」
次にパーティー代金の支払いが終わる前にホテル側が参加者に領収書を発行することはあるのか聞きました。
これについて5つのホテルとも「ありません」と答えました。
このうち「ANAインターコンチネンタルホテル東京」は「参加人数が分からない段階で領収書を発行することは通常、ありません」と回答。
「オークラ東京」は「領収書はパーティーが終了し、明細書とのそごがないことを確認してから発行します。金額が確定していない段階で領収書を出すのは経理の原則としてありえません」と説明しました。

明細書「原則として主催者側に発行」
ホテル側が発行するパーティーの明細書についても聞きました。
5つのホテルはいずれも「パーティーについては原則として主催者側に明細書を発行します」と答えました。そして主催者側が明細書を紛失した場合もいずれも「再発行は可能です」と回答しました。
「ANAインターコンチネンタルホテル東京」は「明細書の保存期限は社内規定で7年程度となっていて履歴も残っているので、ご要望があれば過去にさかのぼって発行することが可能です」と回答。
「帝国ホテル」は「保存期限は7年間で主催者側から要請があり、本人確認ができれば可能です」と説明しています。