2019年11月9日土曜日

ベネッセと文科省の“深すぎる関係” 民間試験問題

 民間英語試験に必ず名前が出るベネッセコーポレーションは「進研ゼミ」通信講座を運営する会社です。もともとは1955年に岡山県で創業した「福武書店」で社員数6人で発足しまし95年にベネッセに社名変更し、現在のベネッセホールディングスは総勢21022で、18年度の売り上げは4394億円に上ります。
 同社は元文科相の下村博文氏とは特に深い関係にあり、14年に3500万件の個人情報漏れが発生したときは、文科省からは一旦委託事業が停止されたものの直ぐに再開されたり、17年に同省が米国から2人の委員を招聘したとき、要求された謝礼金が国の規定をはるかに超えてたため、文科省はベネッセに渡航費の一部を含めた416万円の支払いを依頼しました。そんな常識では理解できない要求をしたり、されたりする関係にあったということです。
 また、ベネッセが実施した英語検定試験ではトラブル相次いでいるということです。
 日刊ゲンダイとNHKの記事を紹介します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
民間試験問題をめぐり…ベネッセと文科省の“深すぎる関係”
日刊ゲンダイ 2019/11/07
「しんけ~んゼミ!」――。若いころ聞いた「進研ゼミ」のCMを覚えている人もいるだろう。この通信講座を運営するベネッセコーポレーションが、延期に追い込まれた英語民間試験をめぐる問題でヤリ玉に挙がっている。
◇  ◇  ◇
■下村元文科相の後援会名簿に元社長の名前
 発売中の週刊文春と週刊新潮によると、同社は下村博文元文科大臣と密接な関係にあるという。ベネッセ教育総合研究所の所長と理事だった人物が下村氏を支援する「博友会」のパーティーなどにたびたび出席。ベネッセの元社長・福島保氏も後援会名簿に名を連ね、「蜜月関係」にあるというのだ。文科省関係者が言う。
ベネッセは2014年に、3500万件の個人情報漏れが発生。同社は受注していた高校の英語力調査をいったん停止されながら、すぐに再開が許された。下村氏の後ろ盾のおかげだともいわれました

 教育行政とのパイプも注目されている。民間試験は当初7種類が実施される方針で、ベネッセの「GTEC」も含まれている。ベネッセとGTECを共催している「進学基準研究機構」(CEES)の理事長・佐藤禎一氏は元文部次官で、評議員の安西祐一郎氏は元中央教育審議会会長。理事の武田美保氏は教育再生実行会議の有識者メンバーだった。ベネッセグループの福武財団理事・鈴木寛氏は下村文科相時代に文科相の補佐官。そうそうたる顔ぶれである。

 問題は大学入試の国語の記述試験にも及んでいる。5日の衆院文部科学委員会にはこの試験の採点を61億6000万円で落札した「学力評価研究機構」の親会社であるベネッセの山崎昌樹学校カンパニー長が参考人として出席した

 それにしてもビックリなのがベネッセの急成長だ。もともとは1955年に岡山県で創業した「福武書店」。地元が対象の模擬試験を開始して進研ゼミが始まり、通信講座や模擬試験の代名詞となった。文芸誌「海燕」や福武文庫を発刊し、95年にベネッセに社名変更している
「90年代初めに女性の給与を手厚くする待遇改善で注目されました。女性活躍の先駆けですね」(大学通信ゼネラルマネジャー・安田賢治氏)

 同時に文科省に食い込んだ。それを物語るのが昨年12月に朝日新聞が報じた「416万円疑惑」だ。17年に同省が米国から2人の委員を招聘。1日当たり約50万円の謝礼を要求されたが、国の規定で1万7700円しか払えない。そこでベネッセに渡航費の一部を含めた416万円の支出を要求するメールを送ったという。同省は内部監査を行い、「強要も便宜供与もなく、問題なかった」と結論づけたが、「癒着が生まれる構図だ」との声も上がった。

■都内の校長は「一心同体だね」
「GTECが大学入試に採用されたら、416万円払ってもお釣りがくるでしょう」と苦笑するのは教育ジャーナリスト。こう続ける。
「数年前、都内の高校の校長がGTECの出題内容について文科省に質問したんです。校長は文科省の回答を期待していたが、翌日GTECから直接連絡がきた。校長は『ベネッセと文科省は一心同体だね』と呆れてました。ある都立高校の教師はベネッセの試験が採用されるたびに『またベネッセか』と苦笑しています」

 福武書店は社員数6人で発足したが、現在のベネッセホールディングスは総勢2万1022人。18年度の売り上げは4394億円に上る
「ベネッセは『たまごクラブ』で妊産婦を読者にし、生まれた子供を『こどもちゃれんじ』や『しまじろう』で取り込む。その後は小学校講座や進研ゼミなどで高校を卒業するまで面倒を見るシステムです」(前出の文科省関係者)
 文科省に寄生して急成長したといえようか。


ベネッセ実施の英語検定試験 リスニングなどのトラブル相次ぐ
NHK NEWS WEB 2019年11月7日
来年4月の実施が延期された英語の民間試験。その事業者の1つ、ベネッセがことし実施した検定試験で、リスニングなどのトラブルが相次いでいたことが分かりました。ベネッセは関連会社が大学入学共通テストの記述式問題の採点も担当することから、公正、公平な試験ができるのか懸念が広がっています。
英語の民間試験をめぐり、文部科学省は今月1日、予定していた来年4月からの実施の延期を決めました。民間試験をめぐっては「経済格差」や「地域格差」への懸念とともに、試験監督や採点業務にアルバイトなどを活用するため、公正、公平な試験が実施できるかが、課題とされていました。

こうした中、ことし8月、ベネッセが本番を想定して実施した「GTEC」の検定試験で、リスニングのトラブルが起きていたことが関係者への取材で分かりました。
ベネッセは文書で、試験監督の手違いでリスニングで使ったCDの音量が十分でない状態で実施したと釈明しています。
試験に関わった関係者は「生徒はかなり動揺していた。企業側は生徒のことをもっと考えてほしい。そして、こういったトラブルも積極的にオープンにしてほしい」と証言しました。
このほか、ことし6月には別の高校で行われた試験でも、試験監督のミスにより、実施時間が遅れていたということで、高校側に謝罪していました。
これらについて、ベネッセは「来年の本番を見据えた試行調査として実施した。現時点で個別事案についてのコメントは控えさせていただきます」としています。

ベネッセは関連会社が再来年1月に始まる大学入学共通テストで、国語と数学の記述式問題の採点業務にあたります。そこにはアルバイトの学生など1万人ほどが必要とされていますが、十分な質は確保されるのか、国とベネッセは公平な試験に努めるとしていますが、受験生や高校関係者に懸念が広がっています

入試制度に詳しい東北大学大学院教育学研究科の柴山直教授は「今のままでは、国は民間試験のトラブルを監視する役割を果たせない。受験生にふりかかるデメリットを最小限にするにはどうすればいいか、根本的な制度設計を見直さなければいけない」と指摘しています。