1日、国連総会第一委員会(軍縮)は日本主導の核兵器廃絶決議案を148カ国の賛成多数で採択しました。賛成は昨年より12カ国減り、米国など26カ国が棄権しました。12月の本会議であらためて採決されます。
一方、核兵器禁止条約の制定を歓迎し、未署名・未批准国に早期参加、推進を呼びかける決議案も賛成多数で可決されましたが、日本は昨年に続き反対しました。
ICAN国際運営委員の川崎哲氏は、日本の決議案は、今年も核兵器禁止条約に言及すらせず、最優先すべき米ロの核削減に触れず、国際人道法の順守や中東の非核化構想も書かれていないとし、「未来志向の対話」は、核保有国が核軍縮をしないことの手助けになる恐れもあり、これまでの核軍縮に向けた積み上げを台無しにする危険性があると酷評しました。
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核廃絶決議、賛成減で採択 国連委 「日本案、後退」と批判も
東京新聞 2019年11月2日
【ニューヨーク=赤川肇】国連総会第一委員会(軍縮)は一日、日本主導の核兵器廃絶決議案を百四十八カ国の賛成多数で採択した。一方、核兵器禁止条約の制定を歓迎し、未署名・未批准国に早期参加、推進を呼びかける決議案も賛成多数で可決されたが、日本は昨年に続き反対した。
核兵器廃絶決議案の採択は二十六年連続。二〇二〇年春に迫った核拡散防止条約(NPT)の再検討会議を念頭に、「核兵器のない世界に向けた共同行動の指針と未来志向の対話」を主題に従前の決議を再構成した。十二月の本会議であらためて採決される。
賛成は昨年より十二カ国減り、米国など二十六カ国が棄権、昨年と同じ中国とロシア、北朝鮮、シリアの四カ国が反対した。高見沢将林軍縮大使は「複数の核保有国を含む圧倒的多数の賛成を得られたのは成果だ」と述べた。
決議は従来同様、既に三十三カ国・地域が批准した核禁条約には言及せず、オーストリアなど一部の核禁条約推進国は棄権した。また、核兵器使用による「壊滅的な人道的影響」について、昨年は「重大な懸念」を示していたが、今年は「認識する」に変わり、「後退」との見方も出ている。また、核保有国と非保有国で認識の隔たりが大きい軍縮と安全保障の関係を「未来志向の対話」の対象としており、「核軍縮義務に条件を付けるのは受け入れがたい」(アイルランド)との批判も出た。
一方、核兵器の開発から使用までを法的に禁じる核禁条約の決議案には百十九カ国が賛成、全核保有国を含む四十一カ国が反対、十五カ国が棄権した。核禁条約の発効には五十カ国・地域が批准する必要がある。
◆核禁条約触れず
<「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)国際運営委員の川崎哲(あきら)氏の話>
日本の決議案は、今年も核兵器禁止条約に言及すらしなかった。そればかりか過去の日本の決議と比べても大きく後退している。最優先すべき米ロの核削減に触れていない。国際人道法の順守や中東の非核化構想も書かれていない。
そうした過去の約束を取り上げずに「未来志向の対話」というと、核保有国が核軍縮をしないことの手助けになる恐れもある。来春のNPT再検討会議にもマイナスの影響を与える内容で、これまでの核軍縮に向けた積み上げを台無しにする危険性がある。