10日に行われた即位パレードでは、行程の3分の1を過ぎたあたりの、落ち着いた公共建築物がつづくコース沿いに、屋上から〈天皇陛下のご即位をお祝い申し上げます〉という垂れ幕をデカデカと吊り下げていた建物がありました。自民党本部の建物です。
年明けには、即位パレードは平成の代替わりと同じコースを踏襲することに内定していたのですが、それが自民党本部前を通過するようにコースが変更されたのでした。当然宮内庁や政府内には「政治利用と批判を受ける」という反対意見がありましたが、強引に決められました。そして沿道の観覧ブースでは横断幕の持ち込みが禁止され、沿道住民にはベランダに植木鉢や洗濯物を置かないように呼びかけておいて、自分たちはそんな風にしたのでした。
独善的というしかありません。しかし安倍首相の専横はこれに留まるものではありません。即位パレードとその前日の「国民式典」は、すべて安倍首相と日本会議メンバーたちが仕切ったのでした。「世に倦む日々」氏は、11日付のブログ
で痛烈に批判しています。
「国民祭典」の主催は「天皇陛下御即位奉祝委員会」となっていますが、その実は経団連と日本商工会議所そして日本会議で、設立発起人には櫻井よしこ氏が、そして百田尚樹、高須克弥、門田隆将といったネトウヨ文化人がこぞって出席し、さながら安倍応援団による「極右」集会という様相を呈したということです。
安倍首相による即位パレードの「政治利用」については更に驚くべきことがありました。
即位パレードでは、天皇・皇后のオープンカーの車列の先頭を警視庁の白バイが走り、そのすぐ後ろに官房長官を乗せた車、そして安倍首相を乗せた車がつけたのですが、なんと安倍首相は車の窓を開け、沿道の人びとに手を振っていたというのです。前代未聞のことで、勿論、他の皇族たちはそんなことはしませんでした。
安倍首相は天皇・皇后の即位パレードを政権PRの場にしただけではなく、まるで自分も主人公であるかのように窓を開け、車の中から手を振ったのでした。常識と慎みを持っていれば決してできないことです。
しかも安倍首相はそのことを事前にNHKの岩田明子氏に伝え、彼女は首相の広報役として尤もらしく、「今回、安倍総理大臣は、できるだけ沿道の人たちに近い立場でともにお祝いしたいということで、車の窓を開けて走行したい考えです」と理由を説明したということです。それが理由であれば他の皇族たちも等しくそうした筈ですが、そんなことをした人は一人もいませんでした。
窓を開けて手を振った人間は実はもう一人いました。それは菅官房長官で、もはや安倍内閣は無分別内閣というべきです。
LITERAと日刊ゲンダイの記事を紹介します。
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即位パレードで安倍首相が“天皇きどり”で窓を開けお手振り!
NHK岩田明子記者に事前リークしトンデモこじつけ解説で正当化
LITERA 2019.11.11
昨日おこなわれた天皇の即位を披露するパレード「祝賀御列の儀」。天皇の即位披露の場だったパレードにもかかわらず、安倍首相は自民党本部前を通るコースに変更させ、さらには自民党本部の屋上から〈天皇陛下のご即位をお祝い申し上げます〉という垂れ幕をデカデカと吊り下げるなど、即位パレードを政権のPRに利用した。
しかし、安倍首相は昨日の即位パレードで、それ以上に唖然とさせられるような行動に出ていた。
即位パレードでは、天皇・皇后のオープンカーの車列の先頭を警視庁の白バイが走り、そのすぐ後ろに官房長官を乗せた車、そして安倍首相を乗せた車がつけたのだが、なんと、安倍首相は車の窓を開け、沿道の人びとに手を振っていたのだ。
言っておくが、前回の平成の代替わりの際、当時の海部俊樹首相もパレードの車列に加わっていたが、窓を開けるようなことはしていない。当然だ。パレードの趣旨は天皇・皇后の即位披露のためであり、だからこそふたりはオープンカーに乗るのだ。実際、昨日のパレードでは、天皇・皇后のオープンカーのあとにつづいた秋篠宮夫妻の車の窓は閉められていた。これは天皇・皇后のお披露目の場であることを踏まえてのことだろう。
にもかかわらず、安倍首相は秋篠宮夫妻でさえ配慮した車の窓を堂々と開け、沿道に向けて手を振るという行動に出たのだ。
ようするに、安倍首相は天皇・皇后の即位パレードを政権PRの場にしただけではなく、まるで自分も主人公であるかのように、自分の顔を沿道の国民に拝ませてやると言わんばかりに窓を開け、車の中から手を振ったのである。
しかも、安倍首相のみならず、白バイのあとをつけた菅義偉官房長官までもが窓を開けていた。つまり、安倍官邸自体が、皇族きどり、いや、もはや“天皇きどり”で即位パレードをおこなったのだ。
国会では何度注意されても品性のかけらもないヤジを飛ばしつづける総理大臣が、よりにもよって天皇の即位披露の場で、国民に対して上から目線でパレードする──。
信じられないような光景だが、さらに絶句したのは、NHKの特番における岩田明子記者の解説だった。
岩田記者といえば、ご存知のとおり「安倍首相にもっとも近い記者」のひとりと呼ばれる御用記者だが、一連の即位行事のNHK特番ではなぜか宮内庁担当でもないのに解説者として出演しては安倍首相の意向を“代弁”し、存在の大きさを誇示するような解説をおこなってきた。そして、昨日の放送でも、パレードがスタートする前に岩田記者が安倍首相が窓を開けてパレードに参加することを明かし、こう解説したのだ。
「今回、安倍総理大臣は、できるだけ沿道の人たちに近い立場でともにお祝いしたいということで、車の窓を開けて走行したい考えです」
「沿道の人たちに近い立場でお祝いしたい」って、それがどうして窓を開けるという行為につながるというのか……。むしろ窓を開けるというのは「沿道の人たちからお祝いされる立場」に立つ行為だが、岩田記者はこうして安倍首相の国民に対する傲慢な態度を正当化してみせたのだ。
元号私物化に続き…安倍首相“天皇きどり”もNHK岩田記者に事前リークしこじつけ解説
岩田記者は新元号が発表された際も、発表直後に「令和」の言葉の意味や“安倍首相の思い”まで事細かに解説をおこなったことから、新元号が事前に知らされていたのではないかという疑惑が濃厚になっている。身内のような記者にトップシークレットの情報を平気で漏らし、しかも自分の考えを代弁させるような解説をさせるというのは、まさに元号私物化の極みであり、安倍首相による新天皇即位の政治利用としか言いようがない。
そして今回も、安倍首相は天皇きどりで窓を開けて沿道に手を振るという前代未聞の行動に出ることをあらかじめレクチャーし、理屈にあわないこじつけの解説によって正当化させたのだ。
天皇の即位パレードさえ自分の権力誇示に使い、それを批判せず是認する御用メディア…。これでは安倍首相の横暴な態度はさらにエスカレートしてゆくばかりだろう。(編集部)
NHK岩田明子氏 祝賀パレード特番で“安倍総理”連呼の違和感
日刊ゲンダイ 2019/11/11
NHKは10日、都内で行われた、天皇陛下の即位に伴う祝賀パレードを3時間ぶっ通しの特番で生中継した。先月22日の即位の礼を振り返りつつ、パレードを見るために沿道に集まった人の様子や声を伝える番組だったのだが、番組には違和感を覚えずにはいられない解説委員もいた。「安倍総理大臣」を連呼していた岩田明子氏だ。
岩田氏は、今月初めにASEAN(東南アジア諸国連合)関連の首脳会議に出席した安倍首相が、即位の礼の式典に参列した外国の要人から謝意を伝えられたことや、パレードが延期になった経緯などを説明。そのたびに安倍首相の映像が流され、岩田氏は「安倍総理は――」などと強調していたのだが、皇室担当でもない「政治・外交担当」の解説委員がなぜシャシャリ出てくるのか。極め付きはパレードの車列に加わった安倍首相の車についての“解説”だ。
「前回(1990年)のパレードで(当時の)海部総理は車の窓を閉めていましたが、今回、パレードをサポートする立場の安倍総理は、できるだけ沿道の人たちに近い立場でともにお祝いをしたいと考え、車の窓を開けることにしました」
オイオイ、脇役である安倍首相の解説を始めてどうするのか。安倍首相が沿道に向かって手を振る姿を伝えたいと思ったのか。視聴者もワケが分からなかったに違いない。元NHK政治部記者で評論家の川崎泰資氏はこう言う。
「パレードの解説が必要であれば、NHKの宮内庁担当が淡々と伝えればいいだけ。岩田氏が出てきた理由が分からないし、なぜ、安倍首相の車の解説が突然、出てくるのか。NHK全体の感覚がどうかしているとしか思えません」
岩田氏の真意は不明だが、安倍首相が皇室の行事を政治利用した、と受け取られても仕方ない。