2022年9月11日日曜日

次の節目は「1ドル=160円」 24年ぶり安値更新で止まらない円安

 7日、円は1ドル144・5円に急落しました(同じく1ユーロ144・7円に)。これは米国が利上げしているにもかかわらず日本が全く同調できないでいるためで、このままでは1ドル160円が次の節目になると見られています。

 日本が利上げできない理由は明白で、アベノミクスで10年近く国が巨額の借金を重ねたため、利上げをすればその利息で国家財政が破綻するためです。国家の財政を守るのは必要だとしても、国民の財布が破綻に瀕しているのをどうする気なのでしょうか。安倍元首相が元凶なのだから・・・では済まされません。

 ドイツもガス・石油などエネルギー資源の急騰で経済は困難を極めていますが、それでも家計の支援に9兆円を支出するという英断を下しました。因みにドイツの人口は約8300万人で日本の約2/3ですから、日本の規模に換算すれは13兆円超に相当します。
 しかも日本のような一律のバラマキではなく、年金受給者や学生への一時金支給のほか、子供手当の増額や住宅手当の拡大などとしっかりメリハリを付けていて見事です。ドイツに出来て日本に出来ない筈はありません。日刊ゲンダイの2つの記事を紹介します。
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次の節目は「1ドル=160円」24年ぶり安値更新で止まらない円安
                          日刊ゲンダイ 2022/09/09
 急激な円安進行に歯止めがかからない。7日の東京外国為替市場の円相場は、一時1ドル144円台前半に急落。1998年8月以来24年ぶりの安値を更新した。このまま円安が続けば、国民生活は大打撃だ。
 鈴木財務相は7日、「(円安が)継続するとなると必要な対応を取る」と牽制した一方、円買い介入の可能性については「コメントしない」と明言を避けた。
 もっとも、政府が日銀を通じて円買い・ドル売りする為替介入に踏み切ったとしても、米国などとの協調介入でなければ効果は限定的だ。そもそも、金融引き締め策を堅持する米国がドル売りを容認するとは考えにくい。
 急激な円安に対し、もはや口先介入は無意味で、岸田政権は「打つ手なし」なのが実情だ。経済評論家の斎藤満氏がこう言う。
「米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げを継続するとの見方が強まる一方、日銀に利上げする気配はありません。日米の金利差が拡大するとの見方から、円を売ってドルを買う動きが急激に加速しています。市場は円安の節目のひとつとして、98年の1ドル=147円66銭を意識しています。早ければ今週中にも、その大台を突破するのではないか。次の節目は90年の160円20銭。日銀が金融緩和策を堅持する限り、歯止めがかかる要素はなく、160円台までズルズルと下落する恐れがあります」

輸入物価の高騰が家計を圧迫
 問題は、円安による輸入物価の高騰だ。企業努力で販売価格を抑えられる段階を超え始めている。
 大手寿司チェーン「くら寿司」はきのう、全国488店舗で提供している税抜き1皿100円のすしを創業以来初めて値上げすると発表。およそ50品目を税込み110円から115円に値上げする。王子ホールディングス傘下の王子ネピアは、ティッシュペーパーなどの家庭紙製品全品を来月1日出荷分から15%以上値上げ。食品大手のマルハニチロも業務用食品270品目の値上げに踏み切った。
 物価高の悪影響をモロに受けるのが、生活必需品の支出割合が高い、年金生活者や低所得者だ。年収200万円以下の低所得者層の消費支出に占める生活必需品の割合は6割近くに達するという。特に最近は、食料など必需品が値上がりしているからなおさらである。
「日銀は『円安は総合的に見てプラス』との立場ですが、大企業は利益を新たな投資に回す活力もなく、国内消費は弱体化する一方です。政府は住民税非課税世帯へ5万円を給付するようですが、5万円程度では焼け石に水。円安放置政策のツケは家計へと重くのしかかっていくでしょう」(斎藤満氏)
 みずほリサーチ&テクノロジーズの試算によると、1ドル=140円の円安水準が続いた場合、今年の家計負担は前年より平均7.8万円増だという。1億総ビンボー社会の到来か。
 

物価高騰のドイツ「家計支援に9兆円」の太っ腹! 岸田政権のショボい追加策とは大違い
                          日刊ゲンダイ 2022/09/05
 コロナ禍でもそうだったが、相変わらずの太っ腹だ。
 ドイツの連立政権は4日(現地時間)、足元の物価高騰に対し、家計の負担軽減策として総額650億ユーロ(約9兆円)の経済支援を実施することで合意したと発表した。ロシアからの天然ガス輸送量の大幅減などに伴い、資源高が暮らしを痛めつけていることへの対応だ。年金受給者や学生への一時金支給のほか、子供手当の増額や住宅手当の拡大などを盛り込んでいる。
 ドイツ政府はこれまでにも、燃料税の引き下げや公共交通機関の格安乗り放題チケットの期限付き導入などで、総額300億ユーロ規模の支援策を実施している。4日の会見でショルツ首相は、国民の不安を念頭に「私たちは人々の不安を非常に真剣に受け止めている」と強調。支援によって「この危機を乗り越え、国を安全に導く」と力強かった。

岸田政権は9日に対策取りまとめ
 ひるがえって岸田政権のショボいことといったらない。9日に「物価・賃金・生活総合対策本部」を開き、物価高対策を取りまとめる予定だ。
 岸田首相は4日、視察先の新潟市で「追加策を取りまとめ、切れ目なく対策を講じていきたい」と力を込めたが、浮上しているメニューに新味はない。
 9月末で期限を迎えるガソリン補助金は大枠を維持▽輸入小麦の政府売り渡し価格を10月以降も据え置き▽畜産農家が支払う飼料代負担が増加しないように支援拡充▽地方自治体の生活困窮者支援策などに活用されている1兆円の地方創生臨時交付金の増額──など。ドル円相場は24年ぶりに1ドル=140円台を突破した。
 こんなんでハイペースな円安物価高に太刀打ちできると思っているのか。