シリーズ「徹底追及 統一協会 闇勢力編Ⅱ」の(下)です。闇勢力編Ⅱは今回で終了です。
それとは別に共産党の志位委員長は1日の記者会見で、統一協会問題についての岸田首相の対応を問われ、「首相会見は、政府・自民党のこの重大問題に対する対応の無責任さを、いっそう浮き彫りにするものとなった」と述べました。
しんぶん赤旗の記事「統一協会問題の首相会見 政府・自民党の対応の無責任さ いっそう浮き彫り」を併せて紹介します。
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徹底追及 統一協会 闇勢力編Ⅱ(下)
自民党への選挙協力 集票・反共ビラ 〝影の支援″
しんぶん赤旗 2022年9月01日
全国各地で反共謀略ビラの配布が確認されている「ジャパン・ガーディアンズ」。そのホームページには、日本共産党を誹謗(ひぽう)中傷したビラが並びます。しかし、ビラに記載されている住所は民間の「私書箱」で、その実態は不透明です。
正体を隠して活動する ー。その手法は、統一協会(世界平和統一家庭連合)と重なります。
一体の団体
統一協会の開祖・文鮮明は1968年、政治組織「国際勝共連合」を設立。統一協会は「友好団体」などといいますが、設立時の勝共連合と統一協会の会長は同一人物。文字通り一体の団体です。
勝共連合の活動について梶栗正義会長は「反共意識の高い政治家を応援させていただいてきた」とNHKのインタビュー(8月29日放送)で強調しています。
取材班の調査で浮かび上がったのは、自民党の選挙に協力してきた〝影の支援団体″としての一面です。
「選挙運動員に5人ほどの信者がいて、事務所で『こっちに行け』と指示した。まじめな人ばかりで、朝から晩までビラを配ってくれたこともあった。信仰上のトレーニングをされているからだと思う」
ある自民党関係者は90年代の地方選挙で「勝聘共連合」の協力を受けたと証言します。選挙蒼勁で連日〝大活躍″した5人は、統一協会に入信していた人たちでした。
デマを流布
自民党に対するもう一つの〝支援″は、日本共産党を中傷する反共謀略宣伝です。勝共連合の機関紙「思想新聞」は、衆院選前の2021年9月15日付で「野党共闘批判ビラ」を紙面に大きく掲載。「ぜひ周知、拡散しよう」と呼びかけていました。
このビラは「『野党と市民の共闘』とは共産党主導の革命政権を目指す『陰謀』にほかならない」とのデマを流布することが目的。野党共闘の選挙を妨害する意図が明らかな内容でした。
「思想新聞」の記事によると、統一協会のダミー団体「世界平和連合」の理事長が同年12月25日、名古屋市内で開かれた集会で衆院選の結果について発言。議員を含む120人の参加者を前に、こう成果を誇りました。
「わがグル-プが配布した勝共ビラが大きな成果を上げ、国民に野党共闘の危険性と欺瞞(ぎまん)の共産党の正体を暴いたことが大きく、自民党の261議席の獲得の一翼を担った」
統一協会の信者だった時期に、国政・地方選挙で自民党を応援するように指示されたと証言した40代の男性は、協会側には「宗教法人として認められた自分たちの活動をしやすくする」などの目的があると指摘します。
勝共連合の支援について証言した冒頭の自民党関係者は、次のように語りました。
「昔はゼネコンから人を出してもらって選挙をしたが、今は企業も頼りにならない。元請けや下請けにも動員をかけて、という時代ではなくなった。その半面、宗数団体は上から下まで指示が徹底される。良しあしは別として、票を集めるためには手っ取り早い」
(闇勢力編Ⅱ おわり 統一協会取材班)
統一協会問題の首相会見 政府・自民党の対応の無責任さ いっそう浮き彫り
しんぶん赤旗 2022年9月2日
志位委員長の記者会見
日本共産党の志位和夫委員長は1日、国会内での記者会見で、統一協会問題についての岸田文雄首相の対応を問われ、次のように述べました。
昨日の首相会見は、政府・自民党のこの重大問題に対する対応の無責任さを、いっそう浮き彫りにするものとなりました。
「率直なおわび」は口先だけ ―どこが問題で、どういう反省をしているか一切語らず
首相は、「国民から懸念や疑念の声を頂いた」ことに対して、「率直におわび」すると述べましたが、いったい政府・自民党の行動のどこが問題でどういう反省をしているのかについて一切語っていません。
国民が怒りをつのらせているのは、自民党が、反社会的カルト集団の広告塔となり、霊感商法や集団結婚など、深刻な被害を拡大する役割を果たしていたことにありますが、首相はその認識も反省も一切語りませんでした。
「率直におわび」というのは、世論に追い詰められての口先だけのものです。首相は、どこが問題で、どういう反省をしているのかを具体的に語るべきです。
責任をもって統一協会との関係を調査する意思がない ―4点で真剣な調査を要求
首相の対応の最大の問題は、政府・自民党として、責任をもって統一協会との関係について調査する意思がないということにあります。
首相は昨日の会見で、「所属国会議員を対象に当該団体との関係性を点検した結果を取りまとめて、それを公表すること」を指示したと述べました。
これは、自民党の茂木敏充幹事長が「調査ではない」と言明しているように、あくまで議員個人まかせのものであり、党は「点検」の結果を集約するだけであり、党としての責任をもった調査と呼べるものではありません。しかも「点検」の内容は、祝電を送ったか、寄付をうけたか、選挙ボランティア支援を受けたかなど、外形的・表面的な接点だけです。
政府・自民党に対して次の調査を行い、国民に明らかにすることを求めます。
第一に、調査は、議員個人まかせでなく、政府・自民党として責任をもって行うべきです。
第二に、調査の内容は、外形的・表面的な接点だけでなく、なぜ、どういう目的で、統一協会と接点をもったのか、どういう反省をしているのかも含めて行うべきです。
第三に、調査に際しては、統一協会と最も深刻な癒着関係にあった安倍晋三元首相についても行うべきです。首相は「関係の把握には限界がある」と調査に否定的ですが、故人であることをもって、深刻な癒着関係にふたをすることは許されません。
第四に、自民党と統一協会の癒着関係は、半世紀におよぶ歴史をもっています。歴史的な癒着関係の全体を調査し、明らかにするべきです。
こうした真剣な調査を行うことぬきに、口先で「断絶」を言っても、国民の信頼は決して得られません。
政治がゆがめられた疑惑は一言も語らず ―「名称変更」の事実関係を明らかに
首相は昨日の会見で、自民党と統一協会の癒着によって、行政がゆがめられた疑惑 ―とりわけ2015年の統一協会の「名称変更」をめぐり、政権側が便宜をはかったという深刻な疑惑について一言も語りませんでした。
政府は、わが党議員の求めに応じて、15年の「名称変更」の決裁文書を提出しましたが、「変更理由」にかかわる記述をすべて黒塗りにしています。なぜ「名称変更」を認めたのか、政治家の不当な関与がなかったのかについて、事実関係を全面的に明らかにすべきです。
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。