これまで高橋治之・元組織委理事の収賄容疑は「AOKI」と「KADOKAWA」のスポンサー契約に絡むものでしたが、組織委とのライセンス契約を結んだ「サン・アロー」からも、便宜を図った見返りに約800万円を受け取った疑いが浮上しました。組織委とライセンス契約を結んだ企業は全部で50社を超えるということです。
それとは別に某元首相には1億円が渡っていて、高橋氏はそれにも関与しているという噂もあります。検察はまだ情報を小出しにしていますが、捜査の手は多方面に伸びていて汚職は底なし沼の様相を呈しています。日刊ゲンダイの記事を紹介します。
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五輪汚職はライセンス契約にまで波及! 組織委と契約企業は50社超…関係者は戦々恐々
日刊ゲンダイ 2022/09/24
五輪汚職は一体どこまで広がるのか。東京大会組織委員会元理事の高橋治之容疑者が、公式マスコットの「ミライトワ」や「ソメイティ」のぬいぐるみを製造・販売した「サン・アロー」にも便宜を図り、見返りに約800万円を受け取った疑いが浮上している。司直の手は多方面に伸び、汚職は底なし沼の様相だ。
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「となりのトトロ」など人気ぬいぐるみの販売を数多く手掛けるサン・アローは、1998年の長野五輪でも公式マスコット「スノーレッツ」のぬいぐるみを販売。東京大会をめぐり、高橋容疑者と同じ慶応大出身でつながりがあった同社幹部らは2018年ごろ、高橋容疑者に「今回もお願いします」と依頼したという。その後、組織委とライセンス契約を結び、公式マスコットのぬいぐるみ販売にこぎつけた。サン・アロー側は高橋容疑者のゴルフ仲間の知人が経営する会社に送金。“ゴル友”を通じて高橋容疑者に約800万円が渡ったという。
紳士服大手「AOKIホールディングス」や出版大手「KADOKAWA」などの立件はスポンサー契約に絡むものだったが、汚職の沼はそこにとどまらないようだ。
ある大会関係者はこう言う。
「組織委とライセンス契約を結んだ企業は50社を超えます。チョコレートやケーキといった菓子メーカー、文具やアパレルと幅が広い。〈捜査はどこまで及ぶのか〉と関係者は恐々のようです」
オトモダチ、コブンが関係先の捜査線上に次々浮上
捜査線上にはライセンス商品を販売していた都内のA社も浮上。ここにも高橋容疑者に近い人物がいる。
「高橋氏の古巣・電通出身で、一回り近く年下の人物がA社の役員に名を連ねている。組織委とライセンス契約を結ぶにあたって、高橋氏に口利きを頼んだのではないかというのです」(調査会社関係者)
一方、関係先として東京地検特捜部が家宅捜索した広告大手「ADKホールディングス」にも高橋容疑者の“子分”のような人物がいた。「デイリー新潮」(23日配信)によると、野田聖子元総務相の実妹の夫・T氏だ。東京2020オリンピック・パラリンピック本部長だった。ADKルートのキーマンとして、特捜部から複数回聴取を受けているという。
ADKは高橋容疑者の後押しでスポンサー獲得業務の「販売協力代理店」となり、駐車場大手「パーク24」と組織委の契約にタッチ。電通から約4000万円の報酬を受け取った。特捜部は高橋容疑者があえてADKを介在させたとみているという。ADKで五輪関係の業務を仕切っていたのがT氏で、高橋容疑者とは蜜月関係にある。
T氏を知る人物はこう言う。
「Tさんは肩くらいまで伸ばした茶髪にガングロで、一見するとチャラチャラしたサーファー風。ちょっとカタギには見えないのですが、話すとビックリするくらい謙虚で、冗談も面白い。人の懐に飛び込むのが上手ですから、高橋さんにもうまく食い込んだのでしょう。高橋さんを頼って仕事を取りにいったのだと思います」
オトモダチに“子分”─。高橋容疑者起点の汚職ルートはどこまで解明されるのか。
高橋治之容疑者「カネ集めは竹田恒和氏の慰労会のため」
資金集めの目的は、竹田恒和日本オリンピック委員会(JOC)前会長の慰労会のためだった──。
高橋容疑者が、グッズ会社「サン・アロー」が公式マスコットのぬいぐるみを販売できるよう組織委側に働きかけ、800万円の資金提供を受けた疑惑で、高橋容疑者は東京地検特捜部に目的をこう説明しているという。24日、複数のメディアが報じた。
関係者によると、サン・アローの幹部は竹田氏や高橋容疑者と慶応大学の同窓生で、長年の付き合いがある。サン・アローが高橋容疑者に800万円を渡す際に仲介になったとみられる企業も、高橋容疑者と共通の知人が経営者だという。
高橋容疑者は、竹田を労うために金を集めるように声をかけたが、慰労会は開かれなかった。竹田も特捜部による参考人聴取に対し、高橋容疑者からの資金の受領を否定しているという。