週刊ポストに鈴木エイト氏がこれまで把握している旧統一教会と関係していた国会議員の名簿が掲載されました。鈴木氏がこれまで教団追跡取材の中で接点が浮かんだ国会議員は103人で、事件後に関係が発覚した議員を含めると168人に上ります(うち132人が自民党議員)。同氏がこれまで約9年間、3000日以上にわたって議員と教団との関係を調査して来たものの総集編と言えます。
鈴木氏は自民党が現在行っているアンケート調査については、単なるガス抜きで「やってますよというポーズに過ぎない。自己申告では、教団と本当に深い関係を持っていた議員、バーター取引をしていた議員、教団の体制保護に寄与していた議員たちが正直に名乗り出るとは思えません」と語っています。
そして13年以降 教団と自民党の関係に着目し 政治家に教団の危険性を指摘して警鐘を鳴らしてきたので、それらの議員が「統一教会とは知らなかったとは言えないはずで、統一教会と知りながら確信犯的に付き合いを継続していたことになる」と断言しています。
教団は政治家と関係を結ぶことで教団の発展させるとともに、組織防衛にも備えてきました。「現在のような批判を浴びる状況になったときにこそ、法人の解散命令に発展させないための保険として政治家の首根っこをつかまえてきた」とも述べています。まさにその通りなのでしょう。自民党が教団との関係を解消できるのか注目されます。
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【鈴木エイト氏が追跡3000日】旧統一教会と関係していた国会議員168人名簿 https://www.news-postseven.com/archives/20220907_1790895.html?DETAIL
NEWSポストセブン 週刊ポスト 2022.09.07
自民党がようやく旧統一教会との関係をアンケート調査するというが、あまりに遅く、そして手ぬるい。9月26日に新刊『自民党の統一教会汚染 追跡3000日』を上梓するジャーナリスト・鈴木エイト氏は約9年間、3000日以上にわたって、議員と教団との関係を調査し、取材してきた。鈴木氏が「旧統一教会関連団体と関係があった現職国会議員168人リスト」を一挙公開する。
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安倍晋三・元首相の銃撃事件以来、国民は自民党政治家のウソと誤魔化しのオンパレードを見せられてきた。
「これまで一切の関係を持っていない」
茂木敏充・幹事長が党と旧統一教会との関係をそう全面否定したかと思うと、同教団との接点が明らかになった議員たちは口々に、
「教団の関連団体とは全く知らなかった」
そんな白々しい言い逃れを繰り返した。
さらに岸田文雄・首相は2回も教団との“絶縁”を宣言し、それでも党内の旧統一教会“汚染”が続々発覚して批判がやまないと見ると、「個々人の活動については、それぞれの議員が適切に説明を行なっていく」という方針を撤回して党所属の全議員に教団との関係をアンケート調査して結果を公表すると言い出した。
それで国民の批判をかわせると考えているなら大間違いだ。鈴木氏はこう言う。
「アンケート調査は単なるガス抜きで、『やってますよ』というポーズに過ぎない。自己申告では教団と本当に深い関係を持っていた議員、バーター取引をしていた議員、教団の体制保護に寄与していた議員たちが正直に名乗り出るとは思えません。本気で調査するつもりなら、外部の人間を入れない限り無理だと思います」
鈴木氏は同教団が宗教団体であることを巧妙に隠して信者に引き込む“偽装勧誘”を行なっていることを知り、それをきっかけに1人で勧誘を阻止する活動を始めた。2002年のことだ。その後、カルト問題をわかりやすく解説するサイト『やや日刊カルト新聞』の主筆として学生や若者が勧誘されないように旧統一教会問題を取り上げてきた。
安倍氏の銃撃事件後、旧統一教会の献金集めの実態や被害がクローズアップされると、各メディアは同教団と接点がある政治家を一斉に報じているが、鈴木氏は第2次安倍政権発足後の2013年以降、教団と自民党の関係に着目し、政治家に教団の危険性を指摘して警鐘を鳴らしてきた。
だが、政治家たちの多くは耳を貸そうとしなかった。
「私はこの間、統一教会と議員の関係を調べ、それを個々の議員に直接取材したり、事務所に書面を送って確認するなどしてきました。それらの議員は、『統一教会とは知らなかった』とは言えないはずです。少なくとも、私の取材の時点で統一教会の関連団体であると知ったわけですから。そうした団体とその後も付き合いがあれば、その議員は明らかに統一教会と知りながら確信犯的に付き合いを継続していたことになります」(同前)
旧統一教会関連団体と関係があった現職国会議員【1】
対応を変える議員も
鈴木氏の教団追跡取材の中で接点が浮かんだ国会議員は103人。事件後に関係が発覚した議員を含めると168人に上る。うち実に132人が自民党議員だった。
教団配信映像やメディア資料、政治資金収支報告書、各議員のSNS、教団関係者からの情報提供などで関係を割り出したものだ。『週刊ポスト』は全員を一覧表にまとめた。
そのうち下村博文・元文科相、萩生田光一・政調会長、加藤勝信・厚労相、山際大志郎・経済再生相らは、安倍氏の銃撃事件前から鈴木氏が教団との関係を具体的に指摘してきた議員たちだ。「知らなかった」とは、絶対に弁解できないはずの人物たちなのである。
「彼らは今になってマスメディアの質問に『知らなかった』とは言えないが、とはいえ、『そうだ』とも言えないので、曖昧な回答に終始している。これまでの取材が効果を現わしていると思います。また、私の取材に答えていた内容と、今、大手メディアへの取材に対する回答内容が変わった議員もいる。二階(俊博・元幹事長)さんなんか、私の取材は無視でしたが、大手メディアの取材に対応している。そんな議員も多い」(同前)
そのうえで、鈴木氏はリストから浮かび上がる問題点をこう指摘する。
「(旧統一教会系メディアの)世界日報から取材を受けただけの議員と、金銭支援や選挙協力を受けている議員とは、統一教会との関係の度合いが違います。まずその濃淡を見ることができる。さらに議員個々の名前だけでなく、議員の役職、所属派閥などを線や面で見ていくと、統一教会がどのように政界工作をしてきたかの流れがわかる。
教団は政治家と関係を結ぶことで、教団の発展や組織防衛を目的にしていた。現在のような批判を浴びる状況になったとき、法人の解散命令に発展させないための保険として政治家の首根っこをつかまえておこうとしたわけです」(同前)
旧統一教会関連団体と関係があった現職国会議員【2】
この名簿は鈴木氏が3000日以上の取材を元に、自民党に突きつけた「これ以上のウソや誤魔化しは許さない」という追及の刃でもある。
岸田首相は安倍氏と旧統一教会の関係について、「ご本人が亡くなられた今、十分に把握するということは限界がある」と解明に消極的だが、鈴木氏はこう目を光らせる。
「統一教会との結びつきが最も深い安倍派や、それに連なる菅グループとの関係に踏み込めなければ、同教団が政治をどう利用し、政治家がそれに加担したかの本当の解明にはつながらない。自民党調査でそれができるのか」(同前)
【プロフィール】
鈴木エイト(すずき・えいと)/滋賀県出身、日本大学卒業。ニュースサイト「やや日刊カルト新聞」で副代表、主筆を歴任。カルト宗教問題を扱う日本脱カルト教会に所属し、統一教会問題を中心に反ワクチン等の問題にも取り組む。9月26日に『自民党の統一教会汚染 追跡3000日』を刊行予定。
旧統一教会関連団体と関係があった現職国会議員【3】
安倍元首相銃撃事件後に各社報道などで発覚した「関係議員」
※週刊ポスト2022年9月16・23日号