2022年9月6日火曜日

安倍氏国葬への参列 「諸外国から返事が来ない」/事後対応で墓穴 泥沼 岸田自民党

 安倍氏の国葬については、主要国の現役首脳が軒並み出席しないことは既に分かっていました(  安倍氏国葬「弔問外交」は“絵に描いた餅”…現役首脳が出席見送り)が、外務省によれば国葬への参列について「各国・地域には8月中旬をメドに回答して欲しいと伝えているにもかかわらず、いまだに多くの国から回答がないということです。

 五野井郁夫教授高千穂大)は「諸外国首脳は弔意は示しても、国葬にわざわざ行く価値はないと判断したのでしょう。これが国際社会における実力ということです。当人が統一教会のようなカルトとつながっていたことも、忌避される要因のひとつと考えられる。(要旨)」と語りました。日本とは大違いで海外ではカルトに対しては厳しい見方をします。
 岸田首相は、国葬で大々的に追悼して敬意を示すつもりが、かえって故人に恥をかかせることになりました。日刊ゲンダイが伝えました。
 併せて同紙の記事「事後対応で墓穴 泥沼 満天下にさらされた岸田自民党の浅ましさ」を紹介します。
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安倍氏国葬は参列希望殺到どころか…〆切り過ぎても「諸外国から返事が来ない」と外務省困惑
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“ビッグネーム”は軒並み不参加──。
 9月27日に行われる安倍元首相の国葬は、米国のバイデン大統領、フランスのマクロン大統領に続き、訪日を検討中と伝えられていたドイツのメルケル前首相も参列を見送ることが分かった。
 ドイツからは、メルケル氏に代わってウルフ元大統領が出席する予定だ。日本での知名度は低いが、2010年から連邦大統領を務めた。翌年には汚職が発覚、その事実を報道しないようメディアに圧力をかけたことも分かり、批判を浴びた人物だ。当局が捜査を本格化したのに伴い、12年に辞任。親日家だというが、なかなかの人選だ。
 それだけではない。立憲民主党など野党が2日に行った安倍氏の国葬に関する合同ヒアリングで、外務省から驚くような発言があった。
 政府は国葬費用として、すでに今年度予算の一般予備費から2億4940万円の支出を閣議決定している。これに加えて警備費や海外からの要人対応の費用など総額いくらになる見込みなのかという野党の質問に対し、外務省の担当者はこう答えた。
「外務省が担当するのは外国から来る要人の接遇経費ですが、現時点でまだ多くの国から返事を頂いていない。そういう国に対して返事の刈り取りを進めている」
「各国・地域には8月中旬をメドに回答していただきたいと伝えています。とにかく早く教えて欲しいということで、働きかけを続けています」

■“弔問外交”も期待外れ
 岸田首相は国葬を決めた理由のひとつとして「安倍元首相に対する諸外国の弔意と敬意」を挙げている。31日の会見でも「諸外国から多数の参列希望が寄せられている。国として礼節をもって応える必要がある」と言っていた。
 ところが実際は、多数の参列希望どころか、8月中旬の締め切りを大幅に過ぎて9月になっても多くの国から返事がないというのだ。
 「G7で一番長く一緒だったメルケル前首相まで来ないのには驚きました。諸外国首脳は、弔意は示しても、国葬にわざわざ行く価値はないと判断したのでしょう。海外の対応はシビアで、安倍元首相が日本の地位を高めたと言うけれど、残念ながら、これが国際社会における実力ということです。あのような亡くなり方をしたこともあり、日本の警備に対する不信感もあるのかもしれません。テロ対策を考えたら、各国とも首脳の参列はなるべく避けたいはずです。統一教会(現・世界平和統一家庭連合)のようなカルトとつながっていたことも、忌避される要因のひとつと考えられる。名だたる国家首脳の参列が見込めない以上、国葬で大々的に追悼して敬意を示すつもりが、かえって故人に恥をかかせることになりかねません」(高千穂大教授の五野井郁夫氏=国際政治学)
 国葬に対する国民の反対が多いなか、唯一のよりどころだった「弔問外交」も期待外れ。これでは何のための国葬かと、ますます批判の声が高まりそうだ。


事後対応で墓穴 泥沼 満天下にさらされた岸田自民党の浅ましさ
                         日刊ゲンダイ 2022/09/05
                       (記事集約サイト「阿修羅」より転載)
 つくづくタガが外れている。統一教会(現・世界平和統一家庭連合)や関連団体との関係を巡り、自民党が所属国会議員に求めたアンケートの結果公表がズレ込んだ。6日にも集計結果を公表する予定が、今週後半に先延ばしだ。
 遅れた要因は祝電送付や会合出席の回答に無回答や「数回」と曖昧な記述が多く、一部議員に報告の再提出を求めたため。この期に及んで締まらない組織だが、答える方には「正直者が罰を受けかねない」などと怒りと困惑が渦巻いている。
 記入は議員任せ。茂木幹事長からは「(党の)調査ではない。各議員に点検を要請し、党はその全体像をつかむ」とナメた発言が飛び出した。党はあくまで議員の自己点検を集約する立場だと強調し、説明責任は各議員に丸投げである。
 さらに茂木は今後、統一教会と関係を断てない議員は「同じ党として活動できない」と踏み込んだ。この姿勢に対し、ある議員秘書は「何が問題行為で、どこが付き合ってはいけない団体か。党がはっきり示さないまま一方的に報告を指示し、『責任はすべて議員側』では納得できない」と毎日新聞(3日付)に答えていた。
 大体、自己申告で金銭支援や選挙協力など教団と深い関係を築いていた議員が正直に答えるものか。アンケートはしょせん、単なるガス抜き。相次ぎ判明する教団との関係への批判に「やっている感」をアピールしているに過ぎない。
 それを答える側も百も承知で、前出の毎日の記事には閣僚経験者の秘書による次の言葉が掲載されていた。
「これまでに表に出ていること以上は回答しなかった。正直に答えてバカを見たらアホでしょ」

腐敗した党にガバナンスを求めるだけムダ
 自民党の面々はこの問題で心底、信用を失っていることに気づいていないのか。安倍元首相の銃撃事件以来、国民は自民党議員の嘘とゴマカシの数々を嫌というほど見せつけられてきた。
 8月2日の会見で茂木が党と統一教会との組織的なつながりについて、「これまで一切の関係を持っていないと確認できた」と全面否定したかと思うと、岸田政権は15日に「個人の政治活動に関するもので、調査を行う必要はない」とする答弁書を閣議決定。たった半月足らずでアンケートを実施する定見のなさ。教団との接点が明らかになった閣僚や議員は口々に「記憶にない」「教団の関連団体だったとは知らなかった」としらじらしい言い逃れを繰り返した。
 統一教会は過去に霊感商法で多くの被害者を出し、現在も高額寄付などで信者の家族らを苦しめている。そんな反社会的教団と関係を持つことに対する無責任、無知、不勉強を白日の下にさらすデタラメ対応のオンパレードに国民はますます呆れかえり、怒りの頂点に達したのだ。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言った。
「当初、岸田首相や茂木幹事長らの対応は明らかに鈍かった。第2次安倍政権下の“モリカケ桜”の問題で嘘とゴマカシで逃げ回れば、『どうせ国民は忘れる』という悪しき前例があるだけに、今回も事態を軽視し、ウヤムヤにすれば、ほとぼりが冷めるというおごりがあったのでしょう。しかし、二重三重四重にも問題だらけの教団との深い交わりは、マトモな国民の常識とはあまりにもかけ離れており、甘い見通しは通用しなかった。慌てて全国会議員にアンケートを実施しても、『正直者がバカを見る』と非協力的なのは、それだけ党内に嘘とゴマカシの政治文化がはびこっている証拠です。何せ、党のトップだった安倍元首相は桜を見る会の前夜祭だけで118回も虚偽答弁を繰り返したのに、その責めを負うことなく総理の職を全うし、退任後も党内に影響力を発揮。死後は国葬で送られれば、逃げ得でゴマカした者勝ちの風潮が蔓延するのもムリはありません」
 腐敗した自民党に危機対応やガバナンスを求めるだけムダである。

うわべだけのパフォーマンスに過ぎない絶縁宣言
 事後対応で墓穴を掘り、泥沼にはまった岸田自民党。遅きに失した実態把握も、対象が国会議員だけでは不徹底だ。朝日新聞社は全国の国会議員と都道府県議、知事を対象に、統一教会との関係を問うアンケートを実施。対象は計3333人、8月18日から9月2日にかけての大掛かりな調査で約9割の2989人から回答を得たという。
 教団や関連団体との接点を認めたのは計447人。国会議員は150人、都道府県議は290人、うち自民党は国会議員120人、都道府県議員は239人と、ともに8割を占めた。統一教会の影響力が自民党の地方議員にも浸透していることが浮き彫りとなった。
 岸田は自民党の基本方針として教団と「関係を断つよう徹底する」と誓ったが、急場しのぎの中途半端な「点検」とやらで、数十年に及ぶ統一教会との関係の全容など解明できっこない。本気で教団と縁を切るつもりなら、調査に外部の人間を入れ、徹底的に癒着の歴史をひもとき、教団の体制保護に寄与した濃厚接触者を処分すべきだ。
「縁切り」を宣言しながら、岸田が山際経済再生相の居座りを容認しているのは理解不能だ。教団との関係について内閣改造前にはシラを切り、留任決定後に公表する後出しジャンケン。その後も、2016年にネパールでの関連団体への出席が判明すると「報道を見る限り、出席したと考えるのが自然だ」と他人事だった。
「山際大臣の処遇は岸田首相の本気度を示す“リトマス試験紙”。嘘とゴマカシで逃げ回る自民党議員のモデルケースで、内閣の危機管理上も、数年前の海外旅行を『覚えていない』と言い切るほど記憶力のない大臣は不適格。更迭がスジです」(五十嵐仁氏=前出)
 山際を放置する限り、内閣支持率が下がり続けるのは間違いない。

問題の中心人物の国葬は大いなる矛盾
 絶縁宣言という「手のひら返し」もふざけた話だ。選挙の「票」欲しさに統一教会の広告塔になり、反社会的実態から目をそむけ、散々教団と信者を利用してきたクセに、共犯者としての責任を取ることもなく、分が悪くなれば一方的に教団を突き放す。手前勝手な絶縁宣言に統一教会側も怒り心頭のようで、友好団体が発行する「世界日報」は2日付の社説にこう書いていた。
〈政権政党の自民党のトップが、特定の宗教団体を名指しして関係を絶つと宣言することは、当該団体への宗教差別、弾圧に繋がる。信教の自由を軽んじる愚行である〉
〈国会議員に「踏み絵」を踏ませる江戸時代の宗門改めのようなことを行い、思想や行動の自由を抑制・制限することは自殺行為と言わざるを得ない〉
 岸田には教団側の“復讐”と“脅し”に打ち勝つ覚悟はあるのか。教団票の胴元だった疑いが濃厚な安倍元首相と教団の関係について、「ご本人が亡くなられた今、十分に把握するということは限界がある」と解明に消極的なだけに期待できない。

 統一教会とは安倍という「大ボス」主導の党ぐるみの深い付き合いだったのに、それを認めないから、どんどんおかしなことになるのだ。政治評論家の森田実氏はこう言う。
「安倍元首相の存在こそ問題の本丸で、そこに切り込まなければ本質は掴めません。あまつさえ、問題の中心人物の国葬を強行するとはヒドイ矛盾です。大臣らの嘘と詭弁を許し、地方議員と教団との関係は放置。それでも党内から誰も批判の声を上げない異常事態です。絶縁宣言は党を挙げてうわべをつくろうポーズに過ぎず、今なお『喉元過ぎれば熱さを忘れる』という国民愚弄の体質から抜け切れないのです」
 今の岸田自民党は満天下に浅ましさをさらけ出している。