前川喜平・元文科省事務次官は26日、野党国対ヒアリングに出席し、文化庁が統一協会の解散命令請求は「難しい」と述べたことに関して、「いまある裁判例を総合して考えても、宗教法人法上の解散命令の要件は十分」であり、省庁の担当者は前例踏襲主義で、解散命令の請求が難しいのは前例がないためだけだと指摘しました。
また、文化庁が「明覚寺」についての解散命令請求を行うことを決定した1999年当時の決裁文書が見つかっていないとしているのについては、「間違いなく保管されている。同庁が前例を踏まえることは間違いないので、一番大事な資料になるのが決裁文書だ」と述べました。
明覚寺が解散命令を受けた経過については下記を参照ください。
⇒ 霊視商法は潰され霊感商法は生き残った なぜだ?(澤藤統一郎氏)
【概要】澤藤統一郎弁護士は以前に「本覚寺」の霊視商法被害の救済に関わり、本覚寺側は霊視・祈祷・除霊というサービスに対する対価ではなく、飽くまで喜捨や布施という意味付けであると対抗しましたが、10次に及ぶ訴訟で請求返還額の96%を回収しました。
しかし本覚寺は係争中にも本拠地を高野山に移し新たに「明覚寺」という宗教法人を取得して収奪を続けたため、1999年に文化庁に明覚寺についての解散命令請求を行わせ、最終的に和歌山地裁は解散命令(02年1月)を出しました。このとき弁護団は解散命令の申立てには、権力が信教の自由に介入する前例を作りたくないと躊躇したそうですが、霊視商法に対する社会の糾弾の声が高まると、むしろ警察や行政が機敏に動いたということです。
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統一協会 解散命令請求できる 野党国対ヒアリング 前川氏が強調
しんぶん赤旗 2022年9月27日
前川喜平・元文部科学事務次官は26日、統一協会(世界平和統一家庭連合)に関する野党国対ヒアリングで、統一協会について解散命令請求を行う根拠は十分あり、「請求できる」と指摘しました。
前川氏は、解散命令を認めた裁判所の過去の判例を基準に統一協会についての解散命令請求は「難しい」などとしている文化庁の見解に言及し、「いまある(統一協会関連の)裁判例を総合して考えても、宗教法人法上の解散命令の要件は十分だ」と強調しました。
その上で、省庁の担当者は前例踏襲主義で、解散命令の請求が難しいのは前例がないためだけだと指摘。「政治決断の問題だ。たとえ解散命令が出る可能性が五分五分だとしても請求する価値はある」と主張しました。
また、文化庁が明覚寺についての解散命令請求を行うことを決定した1999年当時の決裁文書が見つかっていないとしているのに対し、野党議員は「(文書を)しっかり明らかにするべきだ。一刻もはやく見つけていただきたい」と求めました。
前川氏は「(決裁文書は)間違いなく保管されているはずだ。解散命令を請求するには前例を踏まえることは間違いないので、明覚寺に対して解散命令を請求した経緯はどういうものだったのか。一番大事な資料になるのが決裁文書だ」と述べました。