シリーズ「徹底追及 統一協会 闇勢力編Ⅱ」の(上)です。
今回の対象は、近年国政選挙前などに全国各地で配られている反共謀略ビラを発行している団体「ジャパン・ガーディアンズ」です。
取材班が団体の所在地を訪ねるとそこは「私書箱」(の設置場所)でした。次に代表の自宅を直撃すると路上で対応して簡単な返事などをして、「後は文書で」と言って自転車に乗って立ち去りました。しかし文書での質問に対しては期限内に回答はなかったということです。
それとは別にしんぶん赤旗はいま知事選が行われている沖縄での、ある老人の被害を報じました。
11年、地元紙に沖縄戦で行方不明になった弟を戦後ずっと探し続けていた男性(当時80歳超)の記事が載りました。すると統一協会員が宗教団体であることを隠し、家族にも一切話さないようにと言いながらこの男性に近づいてきました。
男性が老人ホームに入所した後、家族が調べると献金額は判明しているだけで延べ8回で計1260万円、その他 壺2個、多宝塔2個に印鑑などを購入していて被害額は2000万円を超えていました。
交渉の結果 被害額の一部を返還することになりましたが、驚いたことに返還金を支払うのは統一協会の本部ではなく、一般の信者でつくる沖縄の「信徒の会」だったといいます。要するに返済金は統一協会が払うのではなく、関係のない「信徒の会」が負担するという訳で、どこまでも金には汚い組織です。
同紙の記事
「統一協会 『沖縄戦』まで利用 弟の行方不明『家系が原因』被害額2000万円」
と
「沖縄知事候補 佐喜真氏 韓国にも出向く 20年2月 ダミー団体行事」
を併せて紹介します。
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徹底追及 統一協会 闇勢力編Ⅱ(上)
事実無根の反共ビラ 謀略団体 勝共連合の影
しんぶん赤旗 2022年9月01日
日没が迫る東京・池袋の繁華街。バーやネイルサロン、不動産業者が入る雑居ビルの5階に、取材班がさがしていた団体の所在地があります。
その団体は「ジャパン・ガーディアンズ」。近年、国政選挙前などに全国各地で配られている反共謀略ビラの最新版「創立100年を迎える日本共産党の真っ赤な黒歴史」に記された住所です。
インターホンを押すと、部屋の中から「どうぞ」の声。重い扉を開けた先には窓口があり、アクリル板の前に中年の男性が座っていました。
所在地不明
男性は企業や個人が利用する「私書箱」の従業員。ビラの住所に間違いないとしつつ、「ジャパン・ガーディアンズ?」と首をかしげます。「うちのお客さんではないです。どんな活動をしている団体なのかも知らない」と関わりを否定しました。
男性は「誰と契約しているかは答えられない」とも。その上で「手紙などを受け取るための私書箱なので、住所を使ってもらうことは構いません。ただ、ここに人が来て事務所として利用するようなことはでぎません」と続けました。
ジャパン・ガーディアンズのビラは、第8弾まで発行されています。カラー印刷で「共産党は『暴力革命』と無縁ではない」などと事実無根のデマで公党を侮辱する内容です。
昨年4~10月にかけて同団体の反共ビラが東京都、新潟県、岩手県、神奈川県と広範囲に配布されています。
その背後には統一協会の政治組織「国際勝共連合」の存在が見えています。
2019年6月にジャパン・ガーディアンズのホームページを調べたところ、勝共連合の学生組織「勝共UNITE」のサイトや勝共連合のオピニオンサイト「RASHINBAN」と同一のアカウンド(利用者認識の情報)であることが判明しました。
自民に献金
所在地すら不明であるジャパン・ガーディアンズの正体とは -。取材班は代表を務める著述家A氏の住所をつきとめ、直撃しました。
家の薄明かりが夜道を照らす東京都内の住宅街。A氏は自転車で現れました。
「私が代表です」
A氏は記者の問いかけに、ジャパン・ガーディアンズの代表だと認めました。
Å氏は、統一協会の信者なのかという質問に「宗教の儀式などに参加したことはない」と述べました。一方で「(協会系の)世界日報に執筆したことはある」と語りました。
「ホームページを運営する事務局があるのか」との問いには「そうです」と認めました。
さらに「ビラの作成に勝共連合が関わっているのではないか」と聞くと、A氏は「いや、まあ・・・」「数日中に返信しますから、質問は文書でお願いします」と言い残して走り去りました。
その後、ジャパン・ガーディアンズに質問内容を書いて送りましたが、期限までに回答はありませんでした。A氏は自身の動画チャンネルで「長年の自民党員」を名乗っています。政治資金収支報告書によると、A氏は2019年と20年に自民党の稲田朋美元防衛相の資金管理団体に「研究者」の肩書で計1万2000円を献金しています。 (つづく)
統一協会 「沖縄戦」まで利用 弟の行方不明「家系が原因」被害額2000万円
しんぶん赤旗 2022年9月01日
霊感商法や高額献金の強要など全国的な被害の横行が改めて明らかになり、批判が高まっている統一協会(世界平和統一家庭連合)。77年前の凄惨(せいさん)な地上戦に住民が巻き込まれ、多くの命が奪われた沖縄で、統一協会が沖縄戦の被害を利用し、2000万円以上も巻き上げる非道な行為をしていたことが分かりました。
発覚したのは2011年。被害を受けたのは当時、80歳を超えていた男性でした。あるとき地元紙に、沖縄戦で行方不明になった弟を戦後ずっと探し続けていたこの男性の記事が掲載されました。
正体を隠し接近
霊感商法の被害回復に取り組んできた三宅俊司弁護士によると、統一協会はこの記事を見て男性に接近してきたといいます。
「宗教団体であることを隠し、家族にも一切話さないようにと言って近づいてきたようです。統一協会は、弟と会えない原因が家系にあると言って、家系図の作成を行わせたり、家族の不安をことさらに強調したりして巻き込んでいきました」
男性は、数年間で8回にわたって計1260万円を献金させられていたことが、見つかった領収書から分かりました。しかし献金の他にも、つぽ二つ、多宝塔2個に印鑑などを購入させられていましたが、これらの金額は不明です。被害総額は2000万円を超えるとみられます。
家族はこうした事実を何年間も隠されていました。男性が老人ホームに入居したのち、自宅につぽがあるのを不審に思ったことがきっかけで発覚しました。
三宅弁護士が統一協会と被害回復の交渉を行った結果、被害額の一部を男性に返還することで合意。返還金を支払うことになったのは統一協会の本部ではなく、一般の信者でつくる沖縄の「信徒の会」だったといいます。
人の不幸に付け込んで金を巻き上げるため、沖縄戦の被害まで利用する ー。三宅弁護士は「人間のやることではない」と強調します。
被害肴に謝罪を
知事選に立候補する佐喜真淳氏=自民・公明推薦=は、統一協会と関係したことについて、「多くの方に不安を与え、誤解を招くような行為をした」として謝罪しました。
三宅弁護士は言います。
「本来なら被害者に謝罪するべきなのに、自分の支援者に対し不安を与えたから謝罪するというのでしょうか。統一協会と関わったことで被害を拡大するような広告塔の役割を果たしたことに向き合っていないと思います。沖縄県を統一協会の県政にしてはならない」
徹底追及 統一協会
沖縄知事候補 佐喜真氏 韓国にも出向く 20年2月 ダミー団体行事
しんぶん赤旗 2022年9月1日
沖縄県知事選(11日投票)に立候補している佐喜真淳(さきま・あつし)前宜野湾市長(58)=自民、公明推薦=が2020年、韓国で開かれた統一協会(世界平和統一家庭連合)関連の行事に参加していたことが分かりました。霊感商法や多額の献金で深刻な被害をもたらしてきた協会側との親密な関係が新たに判明した形です。(統一協会取材班)
ジャーナリストの鈴木エイト氏によると、韓国・ソウル近郊の高陽市で同年2月上旬に開かれた協会関連の国際会議「ワールドサミット2020」に佐喜真氏が参加していました。
統一協会のダミー団体「沖縄県平和大使協議会」がホームページに掲載した写真(現在は削除)に佐喜真氏が写っていました。
同会議は、統一協会のダミー団体「天宙平和連合」が主催。統一協会トップの韓鶴子総裁による特別演説も行われています。
統一協会系のウェブサイトに「120カ国から約6000人が参加」と記載。自民党の要職を務めた伊達忠一元参院議長など、日本の政治家も参加していました。
統一協会が政治家や政府関係者を集める国際会議について、鈴木氏は「協会側が要人を利用するためのイベントだ」と指摘します。
本紙は佐喜真氏の事務所に参加理由などを質問しましたが、期限までに回答はありませんでした。
佐喜真氏は19年7月から21年4月にかけて計8回、統一協会や関連団体の行事に参加。統一協会系のラジオ番組にも出演していました。
沖縄県内で統一協会の被害相談に取り組んできた三宅俊司弁護士は「佐喜真氏は統一協会本部がある韓国での行事に参加しており、協会側との深い関わりが疑われます。沖縄戦による家族の不幸につけ込むなど、2000万円以上を巻き上げる被害もありました。反社会的な団体と付き合うことが不適切だという認識がなかったことは重大です。政治家としての資質が問われる」と指摘しています。