しんぶん赤旗のシリーズ「徹底追及 統一協会」の国会論戦編3です。ここでは統一協会の関連団体「世界平和教授アカデミー」に所属する学者らのグループが、文科省の教科書検定に介入した問題が取り上げられています。今回で「国会論戦編」は終了です。
この「世界平和教授アカデミー」については、元東大助教授だった舛添要一氏が次のように語っています。
「大学で助教授(当時・現在は準教授)クラスになると『世界平和教授アカデミー』という団体が接近し、『海外でシンポジウムが開催されるので、是非参加してほしい、渡航費・滞在費はすべてこのアカデミーが負担する』と誘ってメンバーにする。
因みに孤独な大学1年生には、お茶に誘ったり悩み事を聞く中で信頼を得て原理研究会に誘い、一緒に『統一原理』の勉強をして行く過程で統一教会の信者にする。大学3,4年生や大学院生には、渡航費・滞在費無料でアメリカに招待する『指導者セミナー』に誘い、それを通じて信者にする(要旨)」
⇒(7月24日)私が東大と永田町で目撃した統一教会「侵食の手法」(舛添要一氏)
いずれも霊感商法や高額な献金によって統一協会が潤沢な資金を持っているからこそ出来る話です。
ところで大学生間で広がっている原理運動については、霊感商法問題などと並行して一時メディアで取り上げられましたが、ここ20~30年間は全く取り上げられていない中で、いまや「CARP(カープ)=全国大学連合原理研究会」は全国の大学に拠点を持ち、統一協会の幹部候補を育てるルートになっているということです。
しんぶん赤旗の記事「 ~ 『CARP』にご注意 正体はあの統一協会」を併せて紹介します。
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徹底追及 統一協会 国会論戦編 3
学者グループが暗躍 教科書政策ゆがめる
しんぶん赤旗 2022年9月9日
統一協会=国際勝共連合は、他の改憲・右翼団体とともに自民党の右翼的潮流と結びつき、「自主憲法」「元号法制化」「スパイ防止法(国家機密法)」制定運動など反動的役割を果たしてきました。1970年代末から自民党などによる教科書「偏向」攻撃が始まります。その攻撃材料を提供し暗躍したのが、統一協会の関連団体「世界平和教授アカデミー」に所属する学者らのグループでした。
合格後変更
自民党が、画家いわさきちひろの表紙絵など小学校の国語教科書を攻撃する一方、筑波大学の福田信之学長が代表を務める「教科書問題研究会」は中学校の社会科教科書の批判を展開しました。81年3月8日号の「赤旗」日曜版は、福田氏の頭文字を取った学者グループ「F機関」の存在をスクープ。福田氏は副学長時代、世界平和教授アカデミーの常任理事だったのです。
同年2月に出版した教科書問題研究会メンバー執筆の『疑問だらけの中学教科書』は、同研究会が世界平和教授アカデミーの会合で発表した報告をまとめたもの。憲法や目衛隊、大企業や原発などの教科書の記述を問題視する内容で、自民、民社各党などの攻撃の「ネタ本」となっていました。
2月20日の衆院予算委員会で日本共産党の栗田翠、山原健二郎両議員は、一般に出回らない検定済みの教科書「見本」本を同研究会が「文部省から入手した」として批判材料に使ったことを追及。文部省が自民党と連動する統一協会系のグループに対して便宜を図ったのではないかと調査を要求しました。
栗田議員 (教科書問題研究会の報告に)原子力発電のところで「原発事故によって死者
が出た例はない」などと書いてある。こういう観点で教科書を見ている団体に見
本本を渡した責任をどうするのか。
実際に81年度使用の中学教科書では、検定合格後に興例の記述書き換えが行われました。その1つが原発に関し「放射線もれの危険」とある箇所を、「放射能に対する不安」と危険性を弱めた表現に変更したものでした。
10月22日の参院文教委員会で佐藤昭夫議員は、『疑問だらけの中学教科書』監修の福田氏を含む執筆者の大半が世界平和教授アカデミーの会員であり、中には統一協会員もいるとした上で、文部省が筑波大学の教科書問題研究会に特定研究費を追加配分したことを暴露。教科書攻撃の〝ネタ″を提供する統一協会のダミー組織に国の予算を支出する自民党政府を批判しました。
臨教審にも
84年に発足した中曽根康弘首相の諮問機関である臨教審(臨時教育審議会)メンバーが統一協命・勝共連合と協力関係があったことが、党の国会論戦で明るみに出ました。
85年11月26日の参院文教委員会で吉川春子議員は、勝共連合が資金集めや会員勧誘を目的に各地で関いていた「市民大学講座」に臨教審会長が出席する問題を取り上げ、「反社会的、過激な活動をする団体に協力する。『教育改革』を進める姿勢を疑わざるを得ない」と批判。勝共連合に協力する臨教審委員・専門委員各9人に関係を断つよう求めました。(肩書などは当時) (国会論戦編おわり)
ボランティア、音楽、スポーツサークル装い勧誘 「CARP」にご注意
正体はあの統一協会
しんぶん赤旗日曜版 2022年9月11日
霊感商法や多額献金などで批判を浴びる統一協会(世界平和統一家庭連合)が、正体を隠して大学生や高校生を狙っています。カルトに引き込まれないようにするには、どうすればよいのか-。長年この問題に関わってきた東北学院大学教授で「日本脱カルト協会」顧問の川島堅二さんに話を聞きました。
東北学院大学教授 川島堅二さん
ーカルトとは?
教祖や組織に反社会性(人権侵害)が認められ、入信すると違法行為に巻き込まれる危険のある団体です。統一協会もそうです。
統一協会の関連団体である「CARP(カープ)」は「全国大学連合原理研究会」の英語の頭文字で、全国の大学に拠点があり、幹部候補を育てるルートですね。
彼らは正体を明かさずに学生を勧誘します。ボランティアサークル、音楽、演劇、スポーツ、SDGs(持続可能な開発目標)などを装い近づきます。「平和」もよく使います。「平和」のイメージが悪くなるので悲しいですが・・・
サークルに何度か通い、断りづらい状況をつくると「聖書を学んでいるんだ」「就職とか人生に役立つから1回聞いてみない」などと言葉巧みに、教義を教え込む段階へ誘い込んでいきます。
カルトは途中で必ず話が変わる
-正体を隠していると見分けがつかないですね。
勧誘から逃れるチャンスは2度あります。一つはファーストコンタクトの時。ほめことぱや「無料」「チャンス」など、甘い言葉にはウラがあります。二つは「なんかおかしい」と感じ始めたときです。スポーツサークルなのに「人生のためになる話」を聞かされるとか、カルトは必ず話が変わってきます。その時点で「私は結構です」とキッパリ断りましょう。
サークルのチェックポイントとして
▽公認サークルかどうか
▽会員名簿を見せてもらえるか(カルトは名簿をつくりません)
▽会計報告がきちんとされているか
-などです。CARPは公認サークルになるのが悲願で、毎年執拗(しつよう)に大学側に迫っています。
多くの大学でカルト対策をしています。大阪大学では「カルト集団などの不審な勧誘に注意」と動画を配信しています。
ーどのように断ったらいいのでしょう。
断るときのポイントがあります。相手は、それまで親身に相談にのってくれた「いい人」が多い。どうしても相手を傷つけたくない、納得して離れたいと思ってしまう。だから「時間がない」などとあいまいなことを言えば、「じゃあ君の都合に合わせる」と執拗に言ってきます。
「親が反対」「学校で注意を受けた」と言うと彼らの〝カルトスイッチ″が入ってしまいます。〝私たちが学んでいるのはとてつもない貴重な真理だから、われわれが広めようとするとサタンが必ず妨害してくる″と。マインドコントロールされているため本気で「この子を助けなくちゃ」と説得を続けるケースが多いです。「川島先生の講演を聞いた」などと言えば「あの先生はサタンの頭(かしら)だから、なんとしても助けてあげなきゃ」となってしまう。
断るときは詳しく説明する必要はなく、「関わるべきではないと思った」と自分の意思ではっきり言うことが大事です。納得してもらおうと思わないことです。相手は絶対に納得しませんから。
「インターネットで調べた」というのも効果的です。彼らはネットにはサタンが働いていると教え込まれているため、このような理由で断れば「この子はサタンにとられちゃった」と考え、これ以上の説得は無駄と判断し、勧誘はなくなります。
-入会すると具体的な被害は?
中高年は霊感商法や多額の献金による金銭被害を受けます。大学生の場合は、時間や労働力を搾取されます。布教活動やイベント活動に多大な時間と労力を使い、勉学に支障をきたし留年や退学のケースもあります。
貴重な大学生活、そしてその後の人生を棒にふらないよう、もし関わってしまったら、大学の学生相談室やカルト対策学校ネットワークも所属する日本脱カルト協会に相談してください。