2022年9月11日日曜日

矛盾抱えながら「反共」で野合 韓国中心の統一協会 & 歴史歪曲の自民靖国派

 中祖寅一氏による掲題の記事を紹介します。
 統一協会の聖典『原理講論』の日本語(日本人向けに改ざんには、韓国民族が神に選ぱれた民族であるという思想が示されていて、教祖文鮮明発言録『天聖経』」では「日本はどのような犠牲を払っても韓国に捧げなければならない」として、「日韓併合」以来朝鮮民族を加虐し続けた日本人は、その贖罪として霊感商法などの「成果」を韓国へ贈らなければならないとしています。こうした教義は現在も生きていて実践されています。
 こういう極端な韓国中心主義やいわゆる「反日」的主張を持っている統一協会が、韓国蔑視を隠さずに、朝鮮民族への加虐を認めない歴史修正主義者で知られた安倍元首相らに受け入れられたのは不思議なことです。安倍氏が居なくなったいま萩生田氏なり山際氏なりに、どう受け止めているのか是非聞いてみたいものです、
 中祖氏は、統一協会の韓国中心主義や「反日的」主張は目民党右派とは相いれないけれども、より大きな一致点としての「反共」で野合してきたと説明しています。それ以外には理解のしようがありません。統一協会問題のアウトラインを理解する上で有用です。
   関連記事(かなり長文です)
      (8月29日)統一協会 反社会的カルト集団 勝共連合 反共・反動の先兵
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徹底追及 統一協会
矛盾抱えながら「反共」で野合 韓国中心の統一協会 歴史歪曲の自民靖国派
                        しんぶん赤旗 2022年9月9日
 統一協会(世界平和統一家庭協会)と自民党の癒着が大きな問題となる中、協会の「韓国中心主義」の教義に由来するいわゆる「反日性」と、安倍晋三元首相をはじめとする自民党保守派の主張との矛盾″に注目と疑問が集まっています。矛盾とネジレのもとで政治的癒着はどのように生まれ、深まってきたのか (中祖寅一)

右派陣営に複雑骨折
 8月28日のTBS系「サンデーモニング」で、評論家の寺島実郎氏は「保守政治に複雑骨折が起こっている」と指摘し、次のように語りました。
 「教団が持っている霊感商法的な反社会性という問題もさることながら、日本人だったら、この教団の教義の中に日本をものすごく侮蔑している反日性″というものに気が付かないといけない」
 愛国心だとかナショナリズムを語ってきた中心にいた人たちが、なんとその反日性″というものをことさらに持っている教団との関係があったということに、多くの保守層を含め、衝撃を受けている」
 統一協会の「韓国中心主義」の教義、「反日性」とはどんなものなのか。
 1978年5月3日付「赤旗」は、統一協会の聖典『原理講論』の日本語版には韓国語の原本から40数力所、3800字余りも削除や改ざんがされて出版されている事実をスクープしました。
 削除・改ざんされた部分には、韓国民族が神に選ぱれた民族であり、世界文明は言語を含め韓国を中心に統一されるという「韓国中心主義」の思想が示されています。
 また削除された部分には 「日本は韓民族の部落を探索しては老人から幼児にいたるまで全住民を一つの建物のなかに監禁し、放火してみな殺しにした。日本はこのような虐政を日本帝国滅亡の日まで続けた」などの記述もあります。こうした侵略と略奪・蛮行の記述は事実ですが、日本の侵略戦争・植民地支配を美化する日本会議勢力が絶対に認めようとしない内容です。
 さらに、「文鮮明先生御言集(発言録)『天聖経』」では「日本はすべての物資を収拾して、本然の夫であるアダム国家、韓国に捧げなければならない」などとされ、「日本の経済を投入して南北を統一しなければ、日本は滅びる・・・エバ国家の使命を乗たすことができなければ、跡形もなく消える統一教会の勇士である皆さんは、どのような犠牲を払っても責任を全うしなけれぱならないのです。一家を捨てても、一族が滅びても南北統一のために奮発しなけれぱなりません}と、日本での霊感商法などの「成果」を韓国へ贈ることを当然視しています。こうした教義は現在も生きて実践されています

厳しい国際的批判に
 極端な韓国中心主義やいわゆる「反日」的主張は、日本会議の枢要メンバーであり歴史修正の急先鋒だった安倍元首相や、統一協会との関係で疑惑の渦中にいる萩生田光一自民党政調会長らの主張とは矛盾します。
 安倍氏が特別顧問、萩生田氏が事務局長を務めた日本会議国会議員懇談会に結集する右派議員らは、日本の韓国併合1910)を「合法」と主張し、日本軍「慰安婦」の強制性も一貫して否定。慰安婦の募集に日本の関与と強制性を認めおわびを表明した「河野談話」(1993年)を敵視し続けています。日本会議系議員44人2007年6月14日、紙ワシントン・ポストに「強制連行はなかった」という意見広告を出し、厳しい国際的批判にさらされました。
 ところが萩生田氏は2012年12月の総選挙で、統一協会の信者に向かって「この選挙は皆さんの信仰にかかっています!当選は神様の計画で、死ぬ気で取り組んでほしい、一緒にお父様の願いを果たしましょう!」などと叫んでいたといいます。自らの主張との乖離は奇怪にすら感じ取れます。

「勝共」導入 国民に被害
 こうした矛盾・ねじれをはらみながら、なぜ統一協会と自民党は強い永続的な協力関係を築いてきたのか。
 統一協会の田中富広会長は、8月10日の日本外国特派員協会での記者会見で次のように述べています。
 「私たちの法人、ならびに多くの友好団体は、創設以来、共産主義というものに対して明確に対峙してきました」
 「その視点から言うと、自民党の議員の方々がより多く接点を持つことがあるのではないかと思います」
「それは日本国内のみならず世界同なネットワークの中でコミュニズムに対して、共産主義に対してとりくみを、連携をとりながら進めております」
 ここに明らかなように、統一協会の根本的立場は、自ら「勝共」「滅共」という極端な反共主義にあります。
 統一協会の教義には「反共主義」が深く刻まれています。『原理講論』では、「第一次、第二次の大戦は、世界を民主と共産の二つの世界に分立するための戦いであり、このつぎには、この分立された二つの世界を統一するための戦いがなけれぱならないが、これがすなわち第三次世界大戦なのである。第三次世界大戦は必ずなければならない」と明記。サタンの側=共産主義を滅ぼすというのが、彼らの歴史観の最後の結論となっています。
 だからこそ、統一協会側は自民党を組織的・系統的に支援。改憲・軍拡の政治を一貫して支持し、「スパイ防止法」の制定運動をはじめ反動立法の推進で協力し、自民党の選挙支援を行う一方、革新自治体への攻撃、日本共産党に対するデマ攻撃の謀略ピラの配布など、ありとあらゆる反共謀略活動に狂奔してきたのです。
 そして、そのためにつくられたのが「国際勝共連合」です。日本における統一協会と勝共連合の初代会長は久保木修己氏であったことからも、両者が表裏一体の存在であることが明瞭です。
 勝共連合を発足させ統一協会と一体で反共の国際謀略組織として仕立てたのがKCIA(韓国中央情報部)であることは米議会のフレイザー委員会報告(1978年)などでも指摘された事実です。
 統一協会を日本に招き入れ、それに続いて1968年に日本と韓国で国際勝共連合を相次いで発足させたとき、日本側で中心的役割を乗たしたのは、右翼の笹川良一氏や、安倍元首相の祖父=岸信介元首相でした。安倍元首相と統一協会・勝共連合の特別の結びつきは、こうした導入の経緯にまでさかのぼります。
 自民党国会議員のベテラン秘書の一人は「われわれは、反社会的活動をしている統一協会というより、国際勝共連合と付き合ってきた。そこは反共という部分での明確な一致があり、岸信介先生以来の長い保守政治の歴史がある」と語ります。
 統一協会の韓国中心主義や「反日的」主張は目民党右派とは相いれないけれども、より大きな一致点としての「反共」で野合してきたのです。

 そのことが霊感商法や集団結婚など、統一協会による深刻な被害の拡大につながりました。その責任は極めて重大です。