9月15日にFRIDAYは、統一教会が8月19日に開いた全国の公職者による「特別ネット会議」のなかで田中冨広会長が話したいわば極秘事項をスクープし、その一部を公開しました。
⇒(9月16日)旧統一教会・田中会長が「内部会議」で衝撃告白
それは外部に漏れないという前提の本音部分だったのでダメージはさぞかし大きかったと思われます。
先にFRIDAYが公表したのは田中冨広会長の発言に限定されていましたが、今回公表されたのは「特別ネット会議」の終盤で、天宙平和連合(UPF)の魚谷俊輔事務総長が、訴訟が起きた際に責任が本体(旧統一教会)に及ばないようにするため築いているファイヤーウォール=防火壁 に関して行った発言です。
「防火壁」と言っても、統一教会は諸々の関連団体はすべて独立した組織であるとして教会の関与を否定する一方で、霊感商法、違法な伝道、高額の献金、その他の刑事事件は全て本体とは別組織の連絡協議会などの信者の組織が行っているとして「使用者責任」を逃れるという、まことに自分勝手な論理なのですが、魚谷氏は、安倍元首相の銃撃事件を契機に防火壁が崩壊したとして、「火の粉がすべてに覆いかぶさるように完全に突破された状況になり、これまでのように関連団体が独自に行ってきたという言い訳ができない状態になっている」と述べました。それは当然の帰結というしかありません。
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旧統一教会「信者向けネット会議」で飛び出した爆弾発言のすべて
FRIDAYデジタル 2022/09/28
右端の人物は「ファイヤーウォール」(防火壁)について説明するUPFの魚谷事務総長
「我が実家は霊感商法商品だらけです」
全国の現場幹部を対象に8月19日に行われた信者向け「ネット会議」のなかで、こう発言していたことが本誌報道で明らかになった、世界平和統一家庭連合(以下、旧統一教会)の田中富広会長(66)。これまでの会見では「過去も現在も霊感商法はしていない」と断言していただけに、矛盾とも言えるこの告白に対する信者の衝撃は大きかった。
「フライデーに『ネット会議』の詳細が報じられ、教団内部には動揺が走りました。完全に内部向けの会議が流出したのは、信徒の間にそれだけ教団トップへの不信感が募っているということでしょう。会議を見ることができなかった一般信徒たちからも、『会見でも霊感商法についてきちんと説明すべきだった』という声があがっています。ちなみに、記事掲載以降の『ネット会議』はすべて中止になりました」(教団関係者)
だが、本誌が入手した「ネット会議」の音声データに残されていた「爆弾発言」はそれだけではない。
驚きだったのは、1時間20分に及ぶ会議の終盤に、天宙平和連合(UPF)の魚谷俊輔事務総長が登場したことだ。
これまで教団は、政治家による関連団体への祝電やイベント出席が取りざたされるたびに、「教団と関連団体は別組織である」という態度を一貫して取ってきた。別組織だから、教団とは一切関係がないという言い分である。
にもかかわらず、関連団体UPFの幹部である魚谷氏が教団本体の信者向け会議に出席。衝撃の発言を行っていたのである。魚谷氏は、
「これまでメディアや反対勢力からは、UPF、YSP(世界平和青年学生連合)、APTF(真の家庭運動推進協議会)などが家庭連合の隠れ蓑として用意されているフロント組織であるという批判が繰り返されています」
と前置きをした上で、図を示しながら、教団と関連団体の関係性についてこう説明した。
「今の状況をご説明するために、ファイヤーウォール、防火壁についてご説明したいと思います。何かトラブルがあったときにその責任が団体に及ばないようにするために壁を作っておくということで、真ん中に家庭連合、旧統一教会があって、その脇に二つの壁が作られています。左側の壁は、いわゆるトラブル、『霊感商法』『違法伝道』『高額献金』、そして一部の刑事事件などが起こったときに、その責任が宗教法人に降りかからないように作っている壁ということになります。
で、右側のファイヤーウォールが何であるかというと、UPFにしても勝共連合にしてもその他団体にしても、教会そのものではなく独立してますよ、と。そこに閣僚や議員や首長は関わったのであって、統一教会そのものとは違うので、教会が起こした問題には責任がありませんよということで、この壁で議員たちや政治家が守られるように何とか機能させていたんです」
しかしそのファイヤーウォールが、安倍晋三元首相の銃撃事件を契機に崩壊したとして、魚谷氏はこう続けた。
「火の粉がすべてに覆いかぶさるように完全突破された状況になっております。ファイヤーウォールのことを強調して、関連団体にだけ関わっていたんですよということでは言い訳ができなくて追及される状態になっております」
魚谷事務総長のこれらの発言は、「ファイヤーウォールなる壁で隔てられているだけで、教団と関連団体は一体である」と受け取れる。長年教団を追及してきたジャーナリストの鈴木エイト氏が言う。
「“関連団体”の幹部であるはずの魚谷氏が教団の会議に出席し、しかも、ファイヤーウォールなどという言葉を用いて危機的状況を情報共有している。このこと自体が、教団とその他の関連団体が一体であることを示す何よりの証拠です」
魚谷事務総長が会議に出席した理由について、旧統一教会は本誌の取材に次のように回答した。
「『特別ネット会議』はメディア報道による被害状況を共有することを目的としていますので、その被害は当然、友好団体にも及ぶ恐れがありますから、(実際に及んでいる)友好団体を代表して、魚谷俊輔・UPF事務総長にも参加していただいています」
「FRIDAY」9月29日発売号では、この他にも飛び出した信者向け「ネット会議」での衝撃発言や、勅使河原秀行氏の会見を見た現役信者の不満などを詳細に報じている。
教団に責任が及ばないように守っていた「ファイヤーウォール」は、銃撃事件以降、完全に突破されたという© 信者が撮った「ネット会議」のスクリーンショット 教団に責任が及ばないように守っていた「ファイヤーウォール」は、銃撃事件以降、完全に突破されたという
『FRIDAY』2022年10月14日号より