2022年9月16日金曜日

16- 統一協会と政治の癒着は信教の自由の脅威/統一協会応援希望のアンケート/消費者庁も検討を

 全国革新懇14日、全弁連の阿部克臣弁護士前川喜平元文部科学事務次官、ジャーナリストの柿田睦夫氏宮本徹衆院議員(共産党)らによるシンポジウム「民主主義、立憲主義をむしばむ統一協会と政治の癒着を暴く」を開き、市民ら60人が参加しました。しんぶん赤旗が報じました。

 統一教会の関連団体と自民党議員らによる議員連合(議連)会合が今年6月、国会内で開かれ、7月の参院選で団体からの応援を希望するか議員らに問うアンケート用紙が配られていたことが分かりました。毎日新聞が報じました。
 霊感商法への対策を検討する消費者庁の検討会が15日、開かれ委員の菅野志桜里弁護士は「所轄庁が権限や責任をせまく捉えてきた」と批判し、解散まで至らない場合でも税優遇を剥奪するなど、宗教法人法改正の具体的な検討を進めるべきだと述べました毎日新聞が報じました。
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統一協会と政治
癒着正せ 信教の自由の「重大な脅威」 全国革新懇がシンポ
                       しんぶん赤旗 2022年9月15日
 平和・民主・革新の日本をめざす全国の会(全国革新懇)は14日、シンポジウム「民主主義、立憲主義をむしばむ統一協会と政治の癒着を暴く」を開きました。市民ら約60人が参加し、同協会と政治、自民党の癒着が民主主義をむしばみ立憲主義を損なってきたとして、被害根絶、民主主義の前進のために何ができるかを議論しました。
 全国霊感商法対策弁護士連絡会の阿部克臣弁護士は、統一協会による正体を隠した勧誘、マインドコントロールを使った教化などを挙げ、「過去の判例で、信教の自由に対する『重大な脅威』『許容しがたい不公正な方法』と認定されている」と指摘。「財産の収奪や加害者の再生産、家族と断絶させられる。このような目的、手段、結果に照らして、協会の伝道教化の過程は社会的相当性を逸脱したもので、被勧誘者の『信教の自由』を侵害するものだ」と強調しました。
 前川喜平元文部科学事務次官は、自身が宗務課長だった1997年ごろに同協会から名称変更の申請があり、「教義など団体の実体に変化がないと名前は変えられないと伝えた」と発言。2015年の名称変更について「役所が前例を覆すことは考えづらい。政治の意思決定がなければ起きない。政治的圧力があった可能性が高い」と指摘しました。
 ジャーナリストの柿田睦夫氏は、同協会の『原理講論』から“アダムとエバの時代、エバの不倫により人類は原罪を負い、サタンの血族となった”“選ばれた女性が教祖の文鮮明によって清められることで無原罪の子を生み、人類が救済される”―という特異な教義を紹介。「協会の考える家族や家庭は、男女の婚姻を前提としている。同性婚、選択的夫婦別姓などのジェンダー平等の阻止は協会にとって死活問題。彼らは追い詰められている」と述べました。
 日本共産党の宮本徹衆院議員(党統一協会追及チーム事務局長)は、チームとして(1)被害者の救済、被害の根絶 (2)政治家と協会の癒着の一掃 (3)政治によって協会に有利なように行政がゆがめられていないのかの究明―にとりくむと表明。09年の「コンプライアンス(法令順守)宣言」後も、協会が「宗教法人として国から認められている」などと勧誘を続けている実態を示し、「日本社会で活動を続けられていることは異常であり、被害の根絶に向けて、宗教法人としての協会の解散命令を目指すべきだ。反社会的カルト集団に国がお墨付きを与えている事態は一刻も早く解消すべきだ」と主張しました。
 宮本氏は野党国対ヒアリングに触れ、「『岸田政権に任せられない』という国民世論を背景に野党の共闘が再構築されつつある。市民と野党の共闘を発展させ、あらゆる問題で立憲主義と民主主義を回復していきたい」と表明しました。


参院選前、旧統一協会系応援希望アンケート 自民議員らに配布
                             毎日新聞 2022/9/15
 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連団体と自民党議員らによる議員連合(議連)会合が今年6月、国会内で開かれ、7月の参院選で団体からの応援を希望するか議員らに問うアンケート用紙が配られていたことが分かった。自民党が発表した教団側との接点に関する調査結果で「組織的な支援や動員など」を受けていたと回答した国会議員は2人にとどまったが、選挙協力の根深さがうかがえる。議連幹部は取材に「議連はもう解散した」と述べた。
 会合は6月13日に衆院第1議員会館で開かれた「日本・世界平和議員連合懇談会総会」。当日の出席者や配布資料によると、教団の関連団体「世界平和連合」会長で、教団系の政治団体「国際勝共連合」会長でもある議連顧問の梶栗正義氏が「世界の議員連合の状況」と題して講演した。議連の設立経緯などをまとめた資料が示され、梶栗氏からは「世界中に多数の教団関連議連があり、日本は遅れている」という趣旨の話があったという。
 式次第によると、その後の懇談の話題は「参議院議員選挙について」。そこで配布されたアンケート用紙には「次期参議院選挙の地方区で、世界平和連合の応援を希望する議員がおられればお書き下さい」と記されていた。出席者は、団体側のアンケートについて、取材に「選挙まで1カ月を切っているのに、今から何ができるのかと思った」と振り返る。
 総会で配布された役員案には自民安倍派、麻生派、岸田派などの現職、元職議員計30人以上が名を連ねた。議連の問い合わせ先は、安倍晋三元首相の差配により2016年参院選で初当選したとされる議連事務局長の宮島喜文参院議員(当時安倍派。7月の参院選に出馬せず引退)の事務所だった。
 毎日新聞は梶栗氏に総会に出席した事実や何を話したかなどについてたずねたが、期限までに回答はなかった。
 懇談会は昨年6月11日に第1回総会が開かれ、当時会長を務めた原田義昭元環境相(当時麻生派。21年秋の衆院選で落選)は自身のフェイスブックに「名誉会長に細田派(現安倍派)会長細田博之氏を迎え、心強く動けます。会員議員は約100人からスタートします」と投稿した。ジャーナリストの鈴木エイトさんが入手したこの時の記念写真には、細田衆院議長と梶栗氏、原田氏を中心に、議員約20人がガッツポーズで写っている。
 議連に参加した議員の関係者は「教団側の担当者に執拗(しつよう)に頼まれ、仕方なく参加した」と話す。別の関係者は「地元の関係者に誘われた」と話した。出席者の一人は「旧統一教会は信者数も少ないし、選挙で票を期待したことはない」と強調した。

 今年6月の総会時に会長代行を務めていた自民の奥野信亮衆院議員(安倍派)は15日、取材に「議連は既に解散した。私は旧統一教会には関わっていない」と述べた。【東久保逸夫、李舜】


霊感商法対策「宗教法人法の改正も必要」 消費者庁検討会
                            毎日新聞 2022/9/15 
 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題を巡り、霊感商法への対策を検討する消費者庁の検討会が15日、開かれた。宗教法人への解散命令請求や寄付行為のあり方などを巡り、委員から「法律を改正するなどの対応が必要ではないか」などの意見が出た。消費者庁は早期に結論をまとめたい考えだ。
 宗教法人法では、法令に違反し、著しく公共の福祉を害する行為などがあった場合、裁判所は所管庁である文化庁などの請求を受け、解散を命令できる。疑わしい行為がある宗教法人に対して質問権があるが、過去に行使されたことがないという。
 委員の一人、菅野志桜里弁護士は「所轄庁が権限や責任をせまく捉えてきた」と批判。消費者問題が山積している場合、消費者担当相が質問権の発動や調査に積極的に関われるようにすることなどを提案。解散まで至らない場合でも税優遇を剥奪するなど、宗教法人法改正の具体的な検討を進めるべきだとした。
 一方、宗教的な寄付を巡っても議論された。民法に詳しい中央大の宮下修一教授は「金額を明示された場合、契約と見なしやすくなるのでは」との見方を提示。紀藤正樹弁護士からは、献金が契約とされた場合でも、消費者契約法上の取り消し権が適用されない可能性について整理が必要との意見も出た。【寺町六花】