2022年12月25日日曜日

10兆円超える大軍拡 23年度予算案を閣議決定(しんぶん赤旗)

 岸田政権は23日、23年度政府予算案と「税制改正大綱」を閣議決定しました。政権が掲げる軍事費2倍化を実現するために、社会保障など国民生活を支える予算を削減することになります。「税制改正」では軍拡財源として復興特別所得税の流用を盛り込みました。
 共産党の小池晃書記局長は同日、談話(下掲)を発表し、5年間で43兆円もの大軍拡を進める初年度予算であり、「『戦争国家づくり元年予算』というべきものとなった」と批判しました。
 しんぶん赤旗の2つの記事を紹介します。
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10兆円超える大軍拡 23年度予算案を閣議決定
過去最大1143812億円 国民生活は犠牲に
                         しんぶん赤旗 2022年12月24日



 岸田文雄政権は23日、2023年度政府予算案と「税制改正大綱」を閣議決定しました。岸田政権が掲げる軍事費2倍化を実現するために、社会保障など国民生活を支える予算を削減します。「税制改正」では軍拡財源として復興特別所得税の流用を盛り込みました。日本共産党の小池晃書記局長は同日、談話(下掲)を発表し、5年間で43兆円もの大軍拡を進める初年度予算であり、「『戦争国家づくり元年予算』というべきものとなった」と批判しました。
 国の基本的な予算規模を示す一般会計総額は114兆3812億円と22年度当初予算を6兆7848億円上回り、11年連続で過去最大を更新しました。当初予算が110兆円を超えるのは初めてです。
 増額が目立つのは軍事費です。翌年度以降に使う「防衛力強化資金」と合わせて10兆1686億円となります。23年度分の軍事費だけでも6兆8219億円と過去最大です。第2次安倍晋三政権発足後の12年度から11年連続で前年度を上回り、9年連続で過去最大を更新しました。
 軍拡財源として「歳出改革」による02兆円のほかに、特別会計からの繰入金や大手町プレイスの売却益など税外収入で4兆5919億円を確保。そのうち1兆2113億円を23年度に支出し、残る3兆3806億円は「防衛力強化資金」として24年度以降の軍事費に充てます。また、自衛隊の艦船や施設に関する経費に4343億円の建設国債を充てます
 脱炭素を口実として「GX(グリーントランスフォーメーション)経済移行債」の発行を盛り込みました。次世代革新炉の研究開発支援など原発推進にも用いられます。

 軍拡のために生活関連予算は軒並み削減されます。社会保障費として36兆8889億円を計上しました。自然増を4100億円としました。概算要求時の5600億円増から1500億円の圧縮です。薬価の引き下げで722億円を削減するほか、後期高齢者医療費の窓口2割負担の通年化やコロナ対策で設けられていた雇用調整助成金の特例措置の終了など国民負担で賄います。
 政府の裁量で支出できる予備費をコロナ対策として4兆円、ウクライナ情勢経済緊急対応予備費に1兆円計上しました。
 国民へのマイナンバーカード押し付けのために、厚生労働省はマイナンバーカードを健康保険証に使える医療機関では、従来の健康保険証で受診した場合、23年4~12月は窓口負担を引き上げるとしました。総務省は地方自治体ごとのカード交付率を地方交付税の算定に反映させ、交付率の高い自治体ほど交付税額を増額します。
 沖縄振興予算は22年度比5億円減の2679億円を計上。沖縄県側が求める3000億円台を2年連続で下回りました。玉城デニー知事を先頭に辺野古新基地建設に反対する沖縄県への露骨な圧力です。

 一般会計税収は過去最大の69兆4400億円を見込みます。そのうち消費税は23兆3840億円。所得税や法人税を超え、4年連続で税収項目で最大となりました。
 「税制改正大綱」では軍拡の財源として復興特別所得税、法人税、たばこ税の増税を盛り込みました。ただ、増税の実施は「24年以降の適切な時期」としました。


戦後最悪の大軍拡予算に断固反対する
     2023年度政府予算案について 日本共産党書記局長 小池晃
                      しんぶん赤旗 2022年12月24日
 日本共産党の小池晃書記局長は23日、2023年度政府予算案について、次の談話を発表しました。

 一、本日、岸田内閣が閣議決定した2023年度予算案は、「戦後の安全保障政策の大転換」を掲げて「専守防衛」を完全にかなぐり捨てることを宣言した「安保3文書」にもとづいて、5年間で43兆円という大軍拡を進める初年度予算であり、「戦争国家づくり元年予算」というべきものとなった。
 軍事費は、再来年度以降の軍事費に充てる「防衛力強化資金」(仮称)への繰り入れを含めて前年度比4・8兆円増の10・2兆円に膨れ上がった。歳出総額114兆円の9%、歳出増加額7兆円の7割が軍事費関係に充てられるという異常な軍拡予算となり、そのために暮らしの予算が犠牲にされている。まさに、憲法と平和、暮らしを破壊する、戦後最悪の予算案にほかならない。
 一、予算案は、「安保3文書」が明記した敵基地攻撃能力の保有を具体化する項目が目白押しとなっている。イラク戦争で米軍が先制攻撃に使用した長距離巡航ミサイル「トマホーク」の購入、国産12式地対艦誘導弾を長射程化するための開発と量産、高速滑空弾の研究・量産、極超音速誘導弾の開発、トマホーク以外の外国製ミサイルの取得などである。「3文書」では、日本が攻撃されていない米国の戦争でも、自衛隊がこれらの兵器で相手国に攻め込むことが可能とされており、そうなれば甚大な報復攻撃を受けて日本の国土が焦土と化すことになる。
 一、軍事費は「防衛力強化資金」への繰り入れ分を除いても6・8兆円で、対国内総生産(GDP)比で1・2%となった。政府は、これまで60年以上にわたって、軍事費を少なくとも当初予算では「GDP比1%以内」にとどめてきたが、これを公然と踏みにじるものである。さらに、「軍事費は建設国債の対象としない」というこれまでの政府方針を変更して自衛隊の艦船整備に建設国債を充てるなど、侵略戦争への反省の上に立って築かれた財政のルールを投げ捨て、なりふり構わず軍拡財源を確保しようとする予算となっている。
 一、軍拡のために、暮らしの予算は軒並み削減された。社会保障費は医療費の削減と負担増、雇用対策費の削減によって1500億円も圧縮され年金給付は実質削減となった。中小企業予算、農業予算も連続の削減となった。軍事費の倍増ばかりが優先され、岸田首相が掲げた「子育て予算倍増」は、まったく看板倒れとなった。国立病院などの積立金や、コロナ対策資金の一部まで、「防衛力強化資金」の財源に充当された。物価高騰が国民を苦しめている最中に、暮らしの予算を削って軍事費につぎ込むという、血も涙もない悪政である。しかも、数年後からは、復興特別所得税まで軍事費に流用し、国民に軍拡増税を押し付けることも予定されている。文字通り「軍事栄えて民滅ぶ」予算にほかならない。
 一、物価高騰やコロナ危機への対応はまったく不十分なうえ、国会にはからず政府が勝手に使用できる予備費5兆円を計上するという財政民主主義に反する手法が今回も繰り返されている。岸田首相が掲げる「新しい資本主義」の正体も、ますます明らかとなった。富裕層優遇の象徴とも言える「1億円の壁」の是正はまったく名ばかりのものとなった。「GX(グリーントランスフォーメーション)経済移行債」を1・6兆円発行するとしているが、原発維持を目的とした「次世代革新炉」などへの投資も予定されており、環境対策の名に値しないものである。
 一、いま日本が取り組むべきことは、大軍拡と戦争準備ではなく、憲法9条を生かした平和の外交戦略を進めることである。日本共産党は、2023年度予算案に断固反対し、平和と暮らしを守る予算への抜本的な組み替えを求めて、たたかうものである。