2022年12月9日金曜日

「12・8」と大軍拡 惨害招いた過ちを繰り返すな

 81年前の1941年12月8日は日本軍が米国の真珠湾攻撃を行った太平洋戦争開戦の日でした。それは日本が民生を犠牲にして総力を集中して進めた軍事大国化・軍国主義が破綻に向かい始めた日でもありました。

 そしていま岸田政権は米国に言われるままに「敵基地攻撃能力」保有や軍事費の大幅増などかつてない軍備増強路線に突き進もうとしています。何故か国民からの強い批判の声はあまり目立ちません。何故「かつて来た道」にまた戻ろうとするのでしょうか。あまりにも浅はかなことです。

 尊い無数の国民を失い、他国にはお詫びのしようのない大変な惨禍を与えた挙句戦争に負け、その後新しい憲法を制定して再出発したときの、あの真摯な反省と決意は一体どうなったのでしょうか。
 しんぶん赤旗が「主張」を掲げました。
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主張「12・8」と大軍拡 惨害招いた過ちを繰り返すな
                       しんぶん赤旗 2022年12月8日
 1941年12月8日、日本はアメリカやイギリスに対して奇襲攻撃を加え、中国への侵略戦争をアジア・太平洋地域に拡大しました。それから81年―。岸田文雄政権は「敵基地攻撃能力」保有や軍事費の大幅増などかつてない軍備増強路線に突き進もうとしています。おびただしい犠牲を出したアジア・太平洋戦争への痛苦の反省を投げ捨て、憲法9条を基本にしてきた戦後日本のあり方を根本から転換する暴走にほかなりません。戦争の過ちを繰り返さないために、岸田政権の「軍事国家づくり」を許さない世論と運動を広げることが急務となっています。

軍事が暮らし押しつぶす
 日本が対米英戦争に踏み切ったのは、中国侵略が行き詰まったためです。31年の中国東北部への侵略(満州事変)に続き、37年に始めた日中全面戦争は泥沼化し、日本は国際的にも孤立を深めていました。
 国民総生産では日本の10倍以上のアメリカに対し、日本の指導部が開戦を決断した理由の一つは、国家予算を集中して手にした強大な軍事力だったとされます。41年当時、少なくともアジア・太平洋地域ではアメリカを上回る軍事力を日本は保有していました。
 こうした「国力不相応の軍備拡張を可能にしたのが、戦費をまかなうための臨時軍事費(臨軍費)」(『日本近現代史を読む』増補改訂版)でした。臨軍費は一般会計予算と別に設けられた特別会計で、軍事機密が壁になり議会などはチェックできません。軍部の裁量で際限なく膨張し続けた軍事費は税金や戦時国債の大量発行で最優先で賄われる一方、生活予算は圧迫され、国民は窮乏しました。歯止めのない軍拡が無謀な戦争に道を開き、破滅的結末を招いた歴史の教訓を胸に刻むことが必要です。

 岸田首相は5日、2023年度から5年間の軍事費を総額約43兆円にするよう関係閣僚に指示しました。実行されれば、22年度は補正を含め6兆円弱の軍事費を毎年5千億~1兆円ほど増やし、27年度には、軍事費と関連の公共インフラ整備費などを含め、年間11兆円を超える規模になる途方もない大軍拡計画です。しかも、軍拡財源として「幅広い税目による(国民)負担が必要」として、国民への大増税を視野に入れていることも重大です。侵略戦争のために国民生活を破綻に追い込んだ歴史を再現させてはなりません。
 「敵基地攻撃能力」の保有は、これまで政府が掲げてきた「専守防衛」を踏み越え、日本が攻撃されていないのに、アメリカの起こした戦争に参戦する事態を招きます。憲法9条とは相いれません

9条の力を今こそ発揮し
 憲法は、日本国民310万人以上、アジア・太平洋諸国の人たち2000万人以上が犠牲になった侵略戦争への深い反省の上に制定されました。「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることがないやうにする」(前文)との決意が重要になっています。ロシアによるウクライナ侵略は、ひとたび戦火を交えれば尊い人命が奪われる悲劇を招くことを改めて浮き彫りにしました。絶対に戦争しないために、9条を生かした外交で東アジアに平和をつくる政治に切り替えていくことが求められます。戦争準備を加速する岸田政権を打倒するために力を合わせましょう。