統一協会の被害者救済新法は8日夜、衆議院本会議で自民・公明・立民などの賛成多数で可決され、参院に送られました。このままいけば会期末の12月10日に成立する見通しです。
共産党の小池書記局長は、救済法案について十分な審議時間を確保する必要があるとして、尾辻参議院議長に対し10日までの国会の会期を今月16日までの6日間延長するよう申し入れました。
同党の穀田恵二国対委員長は7日会見し、被害者救済法案をより良いものにするため、会期を延長して審議を深めるよう主張するとともに、衆院本会議の後にただちに参院本会議を開くのは「参院の質問権を損なうもので、参院の自己否定につながる」と指摘しました。
共産党の本村伸子議員は7日の衆院消費者問題特別委員会で、同法案について被害者が寄付の取り消し権を行使するには多くの要件を満たし、被害者本人が立証する必要があるのかと糺したのに対して、消費者庁の黒田岳士次長は「挙証責任は被害者側にある」と答えました。
マインドコントロール下でも本人が自発的に行ったように見える寄付は取り消し権の対象になるのかについては、「本人が信念で宗教の教えを心の底から信じて行動している場合は、不安に乗じてという状態にあたらないのでは」と答えました。
また入信時に困惑させられ、寄付に至るまで時間差があっても、「一連の寄付勧誘であると判断できる場合には取り消し権の対象となり得る」とした岸田首相の答弁について、「一連の寄付勧誘」とはどんな場合かと質問したのに対して、同次長は「ケースバイケース」などと述べるだけでした。
また参考人の全国弁連の川井康雄事務局長は、木村氏から配慮義務に「十分な配慮」と追記した政府の修正案は法的効果に違いはあるのかと聞かれたしたことに対し、「裁判の現場でどの程度の効果があるかと言われると、少なくとも現時点では差は生じないと受け止めている」と答えました。
こうした答弁から浮き上がってくるものは、岸田首相ら政府側のこれまでの説明や対応はその場しのぎのものではないかということです。
本村氏は政府に全国弁連の修正案も示し、「法案を修正し、実効ある法規制にすべきだ」とし、「弁護士や被害者、家族から詳しく聞き取り、実態調査を行うべきだ」と主張しました。しんぶん赤旗の3つの記事を紹介します。
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救済法案 より良いものにするため会期延長し審議を
しんぶん赤旗 2022年12月8日
穀田国対委員長が会見
日本共産党の穀田恵二国対委員長は7日、国会内で会見し、臨時国会の会期末(10日)が迫るなか、統一協会(世界平和統一家庭連合)の被害者救済法案について、より良いものにするため、会期を延長して審議を深めるよう主張しました。
同法案は、6日に衆院本会議で審議入りし、衆院消費者問題特別委員会で質疑が始まったばかりです。与党側は、8日に委員会採決し、同日の衆院本会議に緊急上程し採決した後、同日ただちに参院本会議で審議入りする構えです。
こうした動きについて、穀田氏は「あり得ない」と批判。「この間、与野党の間で法案をめぐり修正協議が行われていて、どういう方向になるのか分からない。行方が分かりもしないのに衆院本会議の後にただちに参院本会議を開くのは、いかがなものか。参院の質問権を損なうもので、参院の自己否定につながる」と指摘。「消費者問題特別委員会での参考人質疑などで重大な問題点や不足点が指摘されており、より良いものにするため、会期を延長して、審議を深めるべきだ。私たちはより良いものにするために最後まで努力する」と述べました。
きょう衆参本会議
衆院議院運営委員会理事会が7日に開かれ、8日に衆院本会議を開き、被害者救済法案を採決することを決めました。また、参院議院運営委員会理事会も7日に開かれ、自民党が8日に参院本会議を開き、統一協会の被害者救済法案の審議入りを提案しました。日本共産党の仁比聡平理事は反対しましたが、石井準一議院運営委員長が職権で本会議開催を決めました。
救済法案 修正で実効ある法規制に 衆院特で本村議員 「被害者に立証責任」批判
しんぶん赤旗 2022年12月8日
日本共産党の本村伸子議員は7日の衆院消費者問題特別委員会で、統一協会(世界平和統一家庭連合)の被害者救済法案について、被害者が寄付の取り消し権を行使するには多くの要件を満たし、被害者本人が立証する必要があるとして「これで本当に被害者が救われるのかが問われる。法案を修正し、実効ある法規制にすべきだ」と求めました。
本村氏は、法案4条6号で法人等が不当な寄付勧誘をしたと認定され、寄付の取り消しの対象となるには
▽寄付の勧誘に際し
▽不安をあおり、または不安に乗じて
▽(寄付が)必要不可欠であることを告げ
▽困惑させる
―の4要件が必要だと指摘。「すべての立証責任は被害者にあるのか」とただしました。消費者庁の黒田岳士次長は「挙証責任は被害者側にある」と答えました。
本村氏は「かなりのハードルがある」と指摘。岸田文雄首相が6日の衆院本会議で「マインドコントロールによる寄付については、多くの場合、不安を抱いていることに乗じて勧誘されたものと言え、取り消し権の対象になる」と述べたことをあげ、具体的にどういう場合が対象になるのかとただしました。黒田次長は「本人が信念で宗教の教えを心の底から信じて行動している場合は、不安に乗じてという状態にあたらないのでは」などと述べ、明確な基準を答弁できませんでした。
本村氏は、入信時に困惑させられ、寄付に至るまで時間差があっても、一連の寄付勧誘であると判断できる場合には取り消し権の対象となりえるとした岸田首相の答弁についても「一連の寄付勧誘とはどんな場合か」と質問。黒田次長は「ケースバイケース」などと述べるだけでした。
本村氏は、全国霊感商法対策弁護士連絡会の修正案も示し、「法案を修正し、実効ある法規制にすべきだ」と要求。「あす質疑を終局するのではなく議論を続けてほしい。弁護士や被害者、家族から詳しく聞き取り、実態調査を行うべきだ」と主張しました。
「十分な配慮」効果に疑問 被害者救済法案 本村議員に参考人 衆院消費者特委
しんぶん赤旗 2022年12月8日
衆院消費者問題特別委員会は7日、統一協会(世界平和統一家庭連合)の被害者救済法案について参考人質疑を行いました。日本共産党の本村伸子議員は、法人の「配慮義務」と「禁止行為」で被害者救済にどれだけ差があるのかなど同法案の実効性について質問しました。
全国霊感商法対策弁護士連絡会の川井康雄事務局長は「禁止行為とすることで、救済の可能性が広がる」と説明。一方、配慮義務は、統一協会が信者に対して「生活への支障がないように配慮しなさい」と表向きに指導の形がつくられるだけで違反を問うことが難しくなるなど「大きな差がある」と語りました。
本村氏は、配慮義務に「十分な配慮」と追記する政府の修正案について、法的効果に違いはあるのかと質問。川井氏は「被害防止の観点からはやや前進」と評価する一方で、「裁判の現場でどの程度の効果があるかと言われると、少なくとも現時点では差は生じないと受け止めている」と述べました。
さらに本村氏は、統一協会被害で自己破産が相次いでいる実態を合同電話相談窓口から知ったと政府が述べていることを挙げ、「改めて被害者本人や家族からの聞き取りなど実態調査が必要ではないか」と提案しました。川井氏は「実態調査をきちんとして調査報告書の形でまとめてもらうことが、今後の被害を生じさせないために非常に重要なものになる」と答えました。
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。