自民、公明両党は2日、安保3文書の改定に関するワーキングチーム(WT)会合で、歴代政権が「違憲」としてきた敵基地攻撃能力(=反撃能力)の保有について合意しました。これは憲法9条に基づき、自国領域内での武力行使に限るとする「専守防衛」を大転換するもので、年内に決定する3文書に「反撃能力」の保有を明記する方針です。
この「反撃能力」は安倍政権が強行した武力行使の「新3要件」に基づいて行使するため、「存立危機事態」(集団的自衛権の行使)で「反撃」を行う可能性は排除されず、日本が攻撃されなくても海外で武力攻撃を行う可能性があります。
それとは別に何をもって相手国による「攻撃着手」とするかについても、その時々で判断するとして歯止めは事実上なくなりました。
共産党の小池書記局長は2日、記者会見し、「憲法を踏み破り、戦後日本の安全保障政策の大きな転換を自公両党で合意したことに断固抗議し、撤回を求めたい」と述べました。
2つの記事を紹介します。
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自公、敵基地攻撃能力保有を合意 安保3文書改定 他国領土への攻撃に道
しんぶん赤旗 2022年12月3日
自民、公明両党は2日、歴代政権が「違憲」としてきた「反撃能力」=敵基地攻撃能力の保有について合意しました。国会内で同日開かれた、国家安全保障戦略など安保3文書の改定に関するワーキングチーム(WT)会合で確認しました。
政府はすでに「反撃能力は必要」との認識を与党に示しており、今回の合意を受け、年内に決定する3文書に「反撃能力」の保有を明記する方針です。自公両党は、北朝鮮のミサイル問題など「安全保障環境」を口実に保有を正当化。「海外での武力行使」を禁じている憲法9条に基づき、自国領域内での武力行使に限る「専守防衛」を大転換するものです。
敵基地攻撃能力は日本への武力攻撃がない段階でも、相手領土の攻撃を可能とします。具体的には陸上自衛隊の「12式地対艦誘導弾」の長射程化や、米国製長距離巡航ミサイル・トマホークの導入などが想定されています。
WTの説明によると、「反撃能力」はミサイル防衛の不足を補うもので「自衛のための必要最小限度」だとしていますが、安倍政権が強行した武力行使の「新3要件」に基づいて行使するため、「存立危機事態」(集団的自衛権の行使)で「反撃」を行う可能性は排除されません。日本が攻撃を受けていないもとでも、米軍からの要請があれば海外で武力攻撃を行う可能性があります。
さらに「攻撃目標」は特定されず、相手国の全域が攻撃対象になります。自民党は相手国の政府機関など「指揮統制機能」も対象になると説明。何をもって相手国による「攻撃着手」とするかもその時々で判断するとしており、歯止めは事実上ありません。
憲法踏み破る安全保障政策の大転換 自公合意に断固抗議・撤回を
しんぶん赤旗 2022年12月3日
小池書記局長が会見
日本共産党の小池晃書記局長は2日、国会内で記者会見し、自民、公明両党が「反撃能力」=敵基地攻撃能力の保有で合意したことについて「憲法を踏み破り、戦後日本の安全保障政策の大きな転換を自公両党で合意したことに断固抗議し、撤回を求めたい」と表明しました。
小池氏は、最大の問題として、日本への武力攻撃が発生していない「存立危機事態」においても敵基地攻撃の行使を明言していることを指摘。日本への武力攻撃がなくても米国が始めた戦争に参戦することだとして、「これは相手国から見れば明白な先制攻撃になる。相手が反撃してくれば日本に戦火が及ぶことになる」と警鐘を鳴らしました。
さらに、米国に攻撃があったさいの集団的自衛権として敵基地攻撃する場合は、攻撃の認定は米国がすることになると指摘。「どこから見ても米軍の先制攻撃への参戦ということになる。これが危険の核心だ」と述べました。攻撃目標に指揮統制機能も含むとしながら、具体的には「事態に応じて判断する」と説明されているとして、「全く歯止めがない」と強調しました。
また、この議論とあわせて大軍拡の議論が行われていることを批判。米国との約束で、軍事費を国内総生産(GDP)比2%以上、今の軍事費の2倍以上に引き上げようとしていると述べ「『軍事対軍事』の悪循環をつくり出し、日本の安全を守るどころか日本を危険にさらし、それどころか国民の暮らしをも押しつぶす」と訴えました。
「日本共産党として、敵基地攻撃能力の保有、大軍拡と暮らし破壊を許さない国民的な大運動を呼びかけて、院内外でたたかう決意だ」と表明しました。