2022年12月31日土曜日

1日の死者数・クラスター・搬送困難 軒並み過去最悪 第8波 医療逼迫

 コロナの第8波は死者数・クラスター規模・搬送困難事例数で軒並み過去最悪を更新し、医療の逼迫は極めて深刻です

 「救急搬送困難事案」は25日までの1週間で6800に達し、11月以降、50床規模の各病棟でコロナ患者が連続して発生し、すでにコロナ受け入れ病床は超過入院状態です
 コロナ病床使用率は全国的に上昇傾向で全都道府県の4分の3弱で5割を上回り、神奈川、滋賀両県では8割を超えています。東京都のコロナ病床使用率は表向き50%程度ですが、過去の実績の最多は4459床で、その限界に近づいています。
 すでに医療崩壊し、それによってコロナ患者だけでなく、一般の疾患やケガした人が救急医療を受けられず命を失ったり縮めたりしています。
 第7波以降も政府必要な対策をしないままで推移しました。その結果がこの有様で言うまでもなくその責任は重大です。
 何よりもこうなった以上、政府はコロナだけでなく一般の救急医療も逼迫し医療崩壊が起きている現状を国民に正確に伝え、感染防止を徹底するよう繰り返し呼びかけるべきです。
 そして病床確保や発熱外来の拡充、高齢患者に特化した療養施設の設置に取り組むべきことは言うまでもありません。
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1日の死者数・クラスター・搬送困難 軒並み過去最悪 コロナ第8波 医療逼迫
                      しんぶん赤旗 2022年12月30日
 新型コロナウイルス感染症の第8波は、政府が患者の全数把握を放棄して新規感染者数こそ第7波を下回るものの、1日当たり死者数、高齢者施設のクラスター(感染者集団)発生件数、「救急搬送困難事案」が軒並み過去最多を記録、医療の逼迫(ひっぱく)は極めて深刻です。危機的状況を国民に発信することすらしない無為無策の岸田政権に医療現場から怒りの声が上がっています。(内藤真己子)
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 救急車の搬送先がすぐに決まらない「救急搬送困難事案」は25日までの1週間で6800件と過去最多になりました。
 「コロナも一般救急も、最近はインフルエンザの患者さんも増え、一晩中救急要請の電話が鳴り続けています」。そう語るのは埼玉県川口市にある埼玉協同病院(399床)の守谷能和内科部長です。同病院は内科や外科の2次救急病院で、年間約3500件の救急患者を受け入れる地域の中核病院です。
 守谷さんが当直だった24~25日には24時間で46台の救急車から受け入れ要請がありました。通常のおよそ2倍以上です。しかし受け入れられたのは15件。31件は断らざるを得ませんでした。「ベッドが満床で、外来処置で帰せる患者さんしか受けられませんでした」と守谷さん。軽症より重症者を断らざるを得ない異常な事態です。

 28日も介護施設で発熱した高齢者が搬送されコロナと分かりましたが、点滴治療をして施設に帰しました。11月以降、50床規模の各病棟でコロナ患者が連続して発生し、入院を制限せざるを得なくなっているのです。コロナ受け入れ病床は超過入院状態です。
 近隣の中規模救急病院でも大規模クラスターが発生。「おそらくどこも似たり寄ったりではないでしょうか。コロナ前はこんなことが1件あれば大問題だったのに医療崩壊が日常になってしまった」と守谷さん。岸田政権は、3年ぶりに季節性インフルエンザの流行期に入ったと発表しましたが、医療逼迫の現状を積極的に国民に伝えていません。
 「第8波ほど医療現場と社会の乖離(かいり)を感じたことはありません医療崩壊でコロナ患者だけでなく、一般の疾患やケガした人が救急医療を受けられず命を失ったり縮めたりしている。政府が必要な対策をしないと失われる命が増えていく」。危機感を募らせます。

患者42%が救急搬送されず
看護師休業 ベッド減に
 コロナ病床使用率は全国的に上昇傾向で全都道府県の4分の3弱で5割を上回り、神奈川、滋賀両県では8割を超えています。東京都ではコロナ陽性者が119番通報で救急要請しても42%が搬送されず不救護になっています。
 東京都北区の王子生協病院(159床)もクラスターが複数の病棟で発生しコロナ病床(12床)の定員を上回る陽性者が入院しています。佐藤未智子総看護師長は「救急で受け入れても外科や専門科の受け皿がない」と訴えます。介護施設で転倒し搬送されてきた患者は骨折していましたが整形外科の受け入れ病院がなく施設へ腹痛で外科処置が必要な患者も受け入れ先が見つかりません
 千葉県北部の流山市にある東葛病院(許可病床366床)は内科や外科の2次救急病院です。15床のコロナ病床には千葉県全域からの要請があります。
 大きなクラスターは起きていませんが、家庭内で感染したり濃厚接触者になって休業する看護師が常時1割前後います。そのためベッドの25%が稼働できていません。救急搬送の受け入れ率は通常8~9割のところ6割に低下しています。「かかりつけか、受診歴のある患者さんしか受け入れられないときもある」と阿部純一副事務長。1日30人枠の発熱外来はネット予約に切り替えましたがすぐに埋まり、「連日、倍以上のキャンセル待ちが出ている」と言います。

都の病床使用率 限界近く
首都圏の複数の病院で働く日本共産党東京都委員会コロナ対策本部長の谷川智行医師の話
 医療崩壊は深刻です。12月中旬に都内の救急病院で当直した時には、一晩で7件の救急車を受け入れました。激しいがん性疼痛(とうつう)の患者さんは化学療法中の大病院が対応できず、別の病院で鎮痛剤を注射。それでも痛みがとれず当院で入院を受け入れましたが、翌朝亡くなりました。手術の傷口が開き大量出血している方も、外科の受け入れ病院がなく搬送困難例として受け入れ、内科の私が縫合しました。かかりつけ患者さんさえ受け入れられない救急医療の現状は異常です。
 コロナ死者数の増え方を見ると、実際の感染者数は第7波を超えているでしょう。東京都のコロナ病床使用率は表向き50%程度ですが、過去の実績の最多は4459床で、限界に近づいています

 政府はコロナだけでなく一般の救急医療も逼迫(ひっぱく)し医療崩壊が起きている現状を国民に正確に伝え、感染防止を徹底するよう繰り返し呼びかけるべきです。病床確保や発熱外来の拡充、高齢患者に特化した療養施設設置へ、大軍拡をただちにやめ財政支援を強めることが欠かせません。