2022年12月15日木曜日

安保3文書でトマホーク導入を表明/宗教者たちが「専守防衛」破るなと

  安保関連3文書について党内手続きを終え両党政調会長に文書を手渡し自公の実務者は13日、記者団に対し、米軍がイラクやアフガニスタンでの先制攻撃に使用した長距離巡航ミサイル・トマホーク導入を検討すると正式に表明しました。

 3文書のうち「国家安全保障戦略」は、「反撃能力」(敵基地攻撃能力)の保有防衛力の抜本強化など7項目を列挙し、中国の軍事動向は「わが国と国際社会の深刻な懸念事項」平和と秩序に対する最大の戦略的挑戦」と明記しました
 親善友好を図るべき隣国をなぜそれほど悪しざまに言わなければならないのでしょうか。「防衛力整備計画」に沖縄県を含む南西地域を中心に15旅団の師団化を目指すとしているのもそのことへの対抗措置です。
 宗派を超えた宗教者が13渋谷駅前で安保3文書の閣議決定や敵基地攻撃能力の保有に反対する呼びかけを行いました。
 「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」(市民連合)は12日、立憲民主党に対し、敵基地攻撃能力(「反撃能力」)の保有に反対するよう求める緊急の要請を行いました立憲民主党は国民の生活を守るために大軍拡になぜ明確に反対しようとしないのか理解できません。メディアから反対の声が一向に聞かれないのも不思議というしかありません。
 しんぶん赤旗の3つの記事を紹介します。
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トマホーク導入を表明 自公、安保3文書で
                      しんぶん赤旗 2022年12月14日
 自民・公明両党は13日、国家安全保障戦略など安保関連3文書について党内手続きを終え、実務者が両党政調会長に文書を手渡しました。その後、自公実務者が記者団に対し、米軍がイラクやアフガニスタンでの先制攻撃戦争などに使用した長距離巡航ミサイル・トマホーク導入を検討すると正式に表明しました。

 3文書のうち「国家安全保障戦略」は、目指すものとして、(1)「自由で開かれたインド太平洋」を強化するための外交の展開 (2)「反撃能力」(敵基地攻撃能力)の保有 (3)防衛力の抜本強化、総合的な防衛体制の強化 (4)装備移転3原則や運用指針等の見直しの検討 (5)能動的サイバー防御の導入 (6)海上保安能力の大幅な強化と体制の補充 (7)経済安全保障の促進―の7項目を列挙しています。
 中国の情勢認識について、中国の軍事動向は「わが国と国際社会の深刻な懸念事項」としたうえで、国際社会の平和と秩序に対する「最大の戦略的挑戦」だと明記。インド太平洋地域でのロシアの動向は「中国との戦略的な連携と相まって安全保障上の強い懸念」だと盛り込みました。

 国家防衛戦略」では、敵基地攻撃と「防空」を一体化させた米軍のシステム「統合防空ミサイル防衛」の導入を表明し、その中で「反撃能力」(敵基地攻撃能力)を位置付けました。
 防衛力整備計画」には、12式地対艦誘導弾能力向上型の開発、イージス・システム搭載艦などの兵器導入を明記。サイバー防御として、攻撃を受けていない段階で相手サーバーの侵入などを行う「能動的サイバー防御」を盛り込みました。沖縄県を含む南西地域を中心に15旅団の師団化を目指すとしています。


「専守防衛」破るな 東京・渋谷駅前 宗教者訴え
                      しんぶん赤旗 2022年12月14日
 安保3文書の閣議決定や敵基地攻撃能力の保有に反対し、宗派を超えた宗教者が13日、東京・渋谷駅前で行動しました。呼びかけは「平和をつくり出す宗教者ネット」など4団体。「武力で平和はつくれない」と書かれた横断幕を掲げながら、「安保3文書改定反対」と大きな声でアピールしました。

 日本山妙法寺の武田隆雄さんは、「『防衛』費というが、敵基地を攻撃するためのトマホーク購入に防衛費を何兆円も使おうとしている」と指摘。安保3文書の改定で日本を専守防衛の国から先制攻撃できる国に変えようとしていると訴えました。
 日本キリスト教協議会総幹事の金性済(キム・ソンジェ)牧師は、真珠湾攻撃という先制攻撃から太平洋戦争が始まり、日本とアジアの人々に大きな被害を与えたと強調。敵基地攻撃能力とは、先制攻撃できる能力だと批判しました。
 終了後、参加した妙法寺の有村文江さん(69)は、高校生のとき、親になぜ戦争に反対しなかったのかと聞くと、反対できる空気ではなかったと言われたと述べ、「自分は平和のために行動しようと思って、今日まで活動してきた」と話しました。


敵基地攻撃能力保有に反対を 市民連合が立民に緊急要請
                       しんぶん赤旗 2022年12月14日
 「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」(市民連合)は12日、立憲民主党に対し、政府が閣議決定を狙う敵基地攻撃能力(「反撃能力」)の保有に反対するよう求める緊急の要請を行いました
 市民連合は5日、「敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有は認められない」と題する声明を発表し、「立憲野党」に対する緊急の要請行動を行うよう呼びかけています。
 立民への緊急要請で市民連合側は、5日の声明と同内容の泉健太代表あての要請書を長妻昭政務調査会長に手渡しました。要請書は、「仮想敵」のミサイル基地やミサイル発射を指令する中枢機能=首都をミサイル攻撃する能力の保有は、「専守防衛」の範囲内で「平和国家」として存立するという戦後日本の国是を根幹から破壊するもので、「断じて許されることではありません」と訴えています。

 要請に伴う意見交換の席上、市民連合側は、敵基地攻撃能力の保有は「憲法9条および国際法違反となる先制攻撃に踏み込んでしまう可能性をはらむ」として、与党が検討している軍事費の国内総生産(GDP)比2%への拡大は「暮らしと経済を脅かす軍拡競争を加速するだけだ」と指摘しました。

 長妻氏は「要請などを受け止めて党内議論を進めていく」と説明。両者は意見交換を続けていくことで一致したといいます。