政府は旧統一教会信者の救済新法を10日までに成立させようとしています。その内容については、数十年来信者救済に取り組んできた全国弁連の弁護士や信者2世が口を揃えて「実効性が乏しい」と指摘しています。河野担当相の当初の勇ましさはいったいどうなったのでしょうか、これでは竜頭蛇尾というべきです。国会審議の中で少しでも実効性を伴うものに修正して欲しいものです。
それとは別に、統一協会問題に詳しいジャーナリストの鈴木エイト氏は、救済新法への取り組みの陰で、教団による議員への浸食の問題が忘れられていると警告しました。献金問題での救済は勿論重要ですが、教団による議員浸食の問題も疎かにすることは出来ません。
東京新聞が教団と地方議員の関係についてのアンケート(共同通信)結果を報じました。
それによると東京、神奈川、千葉、埼玉の4都県議395人のうち48人が教団や関連団体などと接点があり、政党別では自民党がダントツでした。
教団側は地方議員に近づこうとイベントに招き、選挙支援をしています。そして各地で「家庭教育支援条例」の制定や「家庭教育支援法」制定を目指す「意見書の可決を働きかけ」ていることが明らかにされました。
教団との関係断絶で最も徹底していたのは自民党神奈川県連でした。統一地方選に出馬予定の公認・推薦全候補180人に、教団との関係を持たないことを盛り込んだ誓約書に署名させたということで、山際大志郎議員や山本朋広議員を擁する同県の教団との深い関係が明瞭になった分キチンとして対応を見せた訳で評価できます。
東京新聞の記事を紹介します。
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旧統一教会 神奈川、千葉の計4県議に「家庭教育支援」の働きかけ 1都3県議計48人が「接点あり」
東京新聞 2022年12月5日
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係について共同通信が全国の都道府県議を対象に行ったアンケートで、東京、神奈川、千葉、埼玉の4都県議は395人のうち48人が教団や関連団体などと接点があったと回答した。アンケートからは、教団側が地方議員に近づこうとイベントに招き、選挙支援をしていた姿が浮かび上がる。教団側は各地で「家庭教育支援条例」の制定や「家庭教育支援法」制定を目指す意見書の可決を働きかけている。首都圏の1都3県でも神奈川、千葉県議の計4人が「働きかけあり」と回答しており、同様の活動をしていた実態が垣間見える。(まとめ・加藤益丈)
「家庭を取り巻く環境が変わってきた中で、家庭教育を支援する体制を充実させなければならないといった内容だったと思う」。3人の県議が「働きかけあり」と回答した神奈川。市川和広県議(自民)は働きかけの中身をこう記した。国松誠県議(同)も「5、6年前に家庭教育支援に関する働きかけを受けた」と明かした。
北井宏昭県議(無所属)は「条例制定や意見書採択を強要されたわけではないが、全国の事例を知っていてほしいという意図があったと認識している」と回答。千葉県では田沼隆志県議(同)が、今年4月に家庭教育支援条例の必要性について働きかけを受けたと明らかにしたが、取材に「条例制定に向け、具体的な行動をしたことはない」と話した。両県議会では条例制定も意見書可決も行われていない。
【関連記事】旧統一教会と接点あった1都3県議は48人 党派別最多は自民32人 45人が無回答 (↑ アンケート結果のグラフ表示が見られます)
◆都県議48人、いずれも「現在は関係は続いていない」
選挙支援などを受けたのは東京、神奈川、千葉の3都県議8人。「電話かけ」「広報紙のポスティング」「演説会への参加」などの支援を受けたとした。
また寄付やパーティー券購入、物品供与を受けたとしたのは2人。東京都の伊藤祥広都議(自民)は「会費1万円の政治資金パーティーに2018年に3人、19年に6人が参加していた」と記述。千葉県の吉本充県議(同)は「月刊誌(定価550円)が2、3カ月送付され、その後購読」と回答した上で「購読だけで関係の疑いをかけられ迷惑だったので、定期購読を延長せず」と答えた。
会費などの支出をしたのは15人で、講演会参加費や関連団体の年会費、「会の新聞代」などだった。
今回、教団側と接点があったとした都県議48人は、いずれも「現在は関係は続いていない」としている。
旧統一教会と接点、首都圏でも目立つ自民 来春の統一選の焦点だが…候補者対応は都県連で分かれる
東京新聞 2022年12月5日
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係について共同通信が全国の都道府県議を対象に行ったアンケートでは、国会議員と同様に地方議員でも旧統一教会とのつながりは自民党議員に目立った。同党は教団との関係の調査を地方議員にはしていないが、来年春の統一地方選の焦点の一つになるのは確実な中、首都圏で各都県連の対応が分かれている。(まとめ・加藤益丈)
◆際立つ神奈川「関係持たない」誓約書
最も際立つのは神奈川県連。統一地方選に出馬予定の公認・推薦全候補180人に、旧統一教会との関係を持たないことを盛り込んだ誓約書に署名させた。今後、関係の継続が判明すれば、公認・推薦取り消しもあり得るという。
梅沢裕之幹事長は、党本部の「教団との関係を一切絶つ」との方針を踏まえての「当然の対応」と説明。同県は教団との関係が指摘された山際大志郎・前経済再生担当相や山本朋広・元防衛副大臣のお膝元でもあり、「統一選への影響は大きい。来年4月に沈静化しているとは考えにくい」と警戒を強めている。
◆千葉「確認を検討」埼玉「確認中、今後持たないと約束を」
「一部は関わりがあったが、自民イコール旧統一教会とのイメージは困る」というのは千葉県連の河上茂幹事長。今後、公認候補予定者らに「関係の有無を確認することを検討している」とした。埼玉県連の小谷野五雄幹事長も「候補予定者には関係を確認している。関係を持っていた人は、今後は持たないと約束して政策を訴えるよう言っている」と話した。
◆都連は注意喚起だけ、調査なし「何百人もいて‥‥」
一方、東京都連は、都内各支部に教団と関係を持たないよう注意喚起する通達を出したが、個別の候補者に教団との関係を確認、調査していない。統一選で都議選はないものの、区市町村議選は50近くに上る。都連担当者は「候補者が何百人もいて難しい」と語り、選挙への影響について「有権者がどんなふうに受け止めているか」と読み切れないでいる。
◆栃木、群馬も確認なし「党方針に当然従っている」
栃木県連や群馬県連も、教団との関係について確認しない考え。栃木県連の木村好文幹事長は「もう関係があるなどということはない。確認することはない」と話した。群馬県連の担当者は「党方針がある以上、各人は当然従っている」としている。