2022年12月20日火曜日

【連載】逃げる岸田政権 ~ 臨時国会69日(5) 安倍元首相の「国葬」違憲は明らか 

 【連載】逃げる岸田政権 対決する日本共産党 臨時国会69日の(5)です。

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逃げる岸田政権 対決する日本共産党 臨時国会69日(5)
安倍元首相の「国葬」違憲は明らか 国民を分断
                      しんぶん赤旗 2022年12月19日
 「国民から『いかがなものか』との声が起こっているとは認識していない」(自民党・茂木敏充幹事長、7月19日の記者会見)―。与党は当初、安倍晋三元首相の「国葬」に反対する世論は高まらないとタカをくくっていました。

理解得られない
 その思惑と裏腹に、安倍氏の「国葬」前に「評価しない」56%(「読売」)、「評価しない」57%(NHK)と批判的だった世論は、「国葬」後も、よかったと「思わない」54%(読売)、「評価しない」54%(NHK)など、変わらず高いまま。岸田文雄首相は、安倍氏への追悼の辞で、安保法制=戦争法や特定秘密保護法など大きく分かれる国民的評価は一切無視して、安倍政治をほめたたえましたが、憲法違反の安倍氏の「国葬」実施を国会にも諮らず、閣議決定だけで決め、安倍政治を礼賛することに多くの国民が納得していません。
 日本共産党は、岸田首相の政治的思惑だけで、安倍氏を特別扱いして、「国全体」に「敬意と弔意」を押し付けることを厳しく批判。志位和夫委員長や小池晃書記局長が臨時国会冒頭の衆参本会議の代表質問で、安倍氏の「国葬」が憲法19条の「思想及び良心の自由」や憲法14条の「法の下の平等」に反すると主張し、安倍氏の「国葬」を批判してきました。
 そもそも戦後「国葬令」が失効したのは、憲法19条をはじめ全体として憲法と相いれないからです。山添拓参院議員の追及に岸田首相も、「国葬令」の失効は「憲法の精神に反するものがあるから」だと認めています。
 岸田首相がいくら「丁寧に説明する」と繰り返しても、憲法違反の安倍氏の「国葬」強行そのものに反対している国民の理解を得ることはできません。

死者の政治利用
 多くの国民が安倍氏の「国葬」に反対したのを受け、臨時国会では、衆院議院運営委員会のもとに安倍氏の「国葬」を検証する各派代表者による協議会が設置されました。
 同協議会での討論テーマをめぐって各党が「国葬のルールづくり」を主張しましたが、日本共産党の塩川鉄也議員は安倍氏の「国葬」の違憲性、安倍政治を検証する場にするべきだと主張しました。
 有識者ヒアリングでは、戦前の国葬は「植民地支配や戦争への国民動員に利用された儀式だ。日本国憲法下ではそのまま使い回すことはできない」(宮間純一・中央大学教授)、安倍氏の「国葬」は「死者の政治利用」「死者の支持者からの政治的な賛同、支持を調達する目的があったのではないか」(南野森・九州大学教授)などの指摘が上がりました。
 結局、衆院議運委がまとめた報告は、「国葬」実施で「世論の分断が招かれたとの共通認識」を示した上で、「国葬」の対象者について「一定の基準を設けることは非常に困難」などの意見を例示し、ルールづくりに消極的な意見が多く示されたなどと記しました。
 憲法違反の「国葬」強行により国民の間に分断を招き、安倍政治を礼賛した岸田政権の責任は、今後も厳しく問われます。 (つづく)