2022年12月27日火曜日

タガ外れた岸田政権 敵基地攻撃能力保有 原発回帰の新方針

 敵基地攻撃能力の保有、原発回帰と、岸田政権のもとで重要な政策の大転換が次々と決められています。専守防衛を逸脱する大軍拡路線は、元はといえば安倍晋三氏が路線を引いたものではあるのですが、それを何の躊躇もなく実行に移しているのは岸田首相です。

 もしもそれが岸田氏の本意ではないとすれば、米国と財界いいなりでこの路線を進めることが自らの政権延命につながると考えているからに他なりません。これほど利己的で国を誤る仕業はありません。逆にそれがもしもそれが岸田氏の本心であるならば、まさに稀に見る極右・軍国主義者というしかありません。
 別掲の記事で世に倦む日々氏が述べているように、日本に世界第3位の軍事大国になるように仕向けた米国の本心は、来るべき台湾有事において日本を有効な手駒として活用しようという腹積もり以外のものではありません。
 もしもそんなことに気付かずにおめおめと米国の路線に乗るのであれば、これほど愚かなことはありません。もしもそれを承知で保身のために乗るのであれば真の国賊ということになります。
 しんぶん赤旗が、「 ~ 敵基地攻撃能力保有 原発回帰の新方針…行動原理は延命と保身」とする記事を出しました。
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タガ外れた岸田政権 敵基地攻撃能力保有 原発回帰の新方針…行動原理は延命と保身
                       しんぶん赤旗 2022年12月26日
 敵基地攻撃能力の保有、原発回帰―。岸田政権のもとで、重要な政策の大転換が次々と決められています。岸田文雄首相が政策の大転換を連発するのは、米国と財界いいなりで、政権延命をはかろうとするためです。そこでは、国会での議論も、国民の合意も、すべて置き去りにされています。岸田首相が一日も長く首相の座にとどまりたいという保身だけで暴走を続けるなら、市民の力で、この暴走をとめるしかありません。
 岸田政権の暴走は、政府自身が決めた原則さえも、いとも簡単に次つぎに踏みにじるという点で完全に政治のタガが外れています。

百八十度転換
 最大の暴走は、岸田首相自ら「戦後の安全保障政策を大きく転換するもの」という「安保3文書」の閣議決定です。他国に脅威を与える攻撃的兵器は保有しないという歴代政権の憲法解釈を百八十度転換し、敵基地攻撃能力の保有と大軍拡に踏み出しました。
 原発政策をめぐっては、新規建設推進や60年超の運転を認める「原発回帰」の新方針を決定。「可能な限り原発依存度を低減する」とし、「(新増設や建て替えは)想定していない」としてきた政府方針を覆し、東京電力福島第1原発事故の反省も教訓も投げ捨てるものです。
 しかも、こうした暴走のツケは将来世代が担わされます。
 安保政策の転換をめぐっては、自衛隊艦船に建設国債をあてるという政権が長年「できない」としてきた「禁じ手」にまで踏み出しました。戦時国債を発行して侵略戦争に突き進んだ歴史の教訓さえ投げ捨てる暴挙です。借金で正面装備まで買い入れるとなれば軍事費拡大の歯止めはなくなり、将来世代に赤字のツケを回すことになります。

ルールを変更
 原発新増設をめぐっては、原発事故の教訓を踏まえて定めた「原則40年、最長60年」としてきた運転期間ルールも変更。経年劣化からくる原発事故の危険や、排出され続ける使用済み核燃料など処分困難な「核のゴミ」は、将来世代の負の遺産として増え続けることになります。

 さらに、将来世代に影響を及ぼす重大な方針転換の決定プロセスも国民不在です。
 安保3文書については政府の有識者会議や自公の与党協議、防衛省会議などで「密室」で議論され、議事録も公開されていません。国会審議では、敵基地攻撃や軍事費の財源の追及に対し、政府はまともな説明をしてきませんでした。
 大軍拡のための増税など財源についても自民党は国政選挙で公約していません。
 「原発回帰」方針への転換も、国民の議論も国会での審議も避け、国政選挙で問うこともなく決定。8月の岸田首相の指示をうけ、わずか5回のGX(グリーントランスフォーメーション)実行会議で決めてしまいました。

 岸田政権が、国会での審議も国政選挙で国民の信を問うこともなく、自ら決めた原則さえ投げ捨てて、米国と財界いいなりの政策を強行するのはなぜか―。それは、岸田首相の行動原理が政権の延命と保身だけだからです。

米国と財界いいなりで政策決定
 岸田文雄首相は、自らの信念に基づいて政策を進めているわけではなく、米国と財界いいなりで重要な政策を決定し、国民への説明は全ておざなりです。
 岸田首相は、敵基地攻撃能力の保有について「抑止力を向上させることで、我が国への武力攻撃の可能性を低下させる」(16日の記者会見)といいます。
 しかし、「抑止力」の向上を理由に軍事力を増強すれば、相手国も対抗策に乗り出し、脅威を一層高める「安全保障のジレンマ」については一切触れようとしません。攻撃すれば必ず反撃を受け、報復攻撃を招き、国土は焦土と化します。しかも、軍拡を進める一方、戦争を防ぐための外交努力はありません

 そもそも、自公政権が敵基地攻撃能力の保有を言い出したのは、2021年4月の日米首脳会談での共同声明が出発点です。同声明は、日本政府が「自らの防衛力」強化することを誓約。その前年の9月16日、当時のエスパー米国防長官は、日本を含む同盟国に「国防費を国内総生産(GDP)比で少なくとも2%に増やしてほしい」と大軍拡を迫っていました。岸田首相の言葉に説得力がないのは、こうした米国の要求に従い、後付けで政策を行っているからです。

 岸田首相の説明のいいかげんさは、原発政策でも同様です。
 岸田首相は電力ひっ迫や脱炭素を原発活用の口実にします。しかし、限られた時間内の需給ひっ迫に必要なのは、需要の急増減に対応できる柔軟な電源であり、出力調整ができない原発ほど適さない電源はありません

 さらに、30年までに二酸化炭素排出量を世界で半減させることが求められているとき、30年代以降という新設原発では全く間に合いません。「原発回帰」は、再生可能エネルギーの普及・拡大の妨げとなり、気候危機を打開し、持続可能な社会を目指す上でも重大な逆流です。

 岸田政権が「原発回帰」に踏み切ったのは、ひとえに財界や原発業界・大手電力会社への忠誠からでしかありません。
 東京電力福島第1原発事故の翌年(12年)、原子炉等規制法が改定され、原発の運転期間を原則40年としました。ところが、電力業界や財界は、その撤廃を繰り返し要求。経団連は19年、原発の運転期間を最長60年より延ばすことなどを求める提言を発表し、圧力をかけてきました。
 日本経済団体連合会の十倉雅和会長は7月27日、岸田首相が脱炭素化を掲げて新設したGX(グリーントランスフォーメーション)実行会議初会合で原発の「新設方針を明示」するよう要求。これに応じる形で岸田首相が第2回会議(8月24日)で方針転換を表明しました。

 米国と財界いいなりの岸田政権の暴走を止めるには、国民の命と安全を守るための共同を広げるしかありません。