政府が年末に改定する「国家安全保障戦略」など安保3文書の骨子案がしんぶん赤旗に載りました。歴代政権が違憲と判断してきた敵基地攻撃能力の保有を明記し、トマホークの購入を念頭に「外国製スタンド・オフ・ミサイルの着実な導入」が盛り込まれているということです(スタンド・オフ=敵の射程圏外)。
どう考えても近隣諸国が日本に先制攻撃を仕掛けることはありません、政府はひたすら外国からの攻撃の危険を強調しますが、現実にあり得ることは米軍指揮下で自衛隊が敵基地攻撃を行うケースです。戦争国家・米国に従う以上そうなる蓋然性は低くはありません。そうであればもはや日本は「平和国家」などではありません。
要するに「敵基地攻撃能力の保有」は国の安全に資するのではなく、逆に戦争の当事者になって国の安全が脅かされることに他なりません。米国の「いつかは中ロを殲滅」するという世界戦略に与すれば どうしてもそうなります。
そんなことのために取り敢えず5年間で40数兆円を投じるとは、これほど愚かなことはありません。やはり岸田政権には退場してもらうしかありません。
物価の暴騰は年明けから一層顕著になるとも言われます。政府が行うべきは米国の言うことを何でも聞く愚かな優等生になることではなく、いまこそ民生の安定に全力を挙げるべきです。
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米軍指揮下で敵基地攻撃も 安保3文書の骨子判明 トマホーク念頭「着実に導入」
しんぶん赤旗 2022年12月11日
政府が年末に改定する「国家安全保障戦略」など安保3文書の骨子案が10日までに明らかになりました。骨子案は、歴代政権が違憲と判断してきた敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有を明記。米国がイラクやアフガニスタンでの先制攻撃戦争などで使用した巡航ミサイル・トマホークの購入を念頭に、「外国製スタンド・オフ・ミサイルの着実な導入」を盛り込みました。
骨子案は、これまで掲げていた「総合ミサイル防空」に代えて、敵基地攻撃と「ミサイル防衛」を一体化した「統合防空ミサイル防衛」(IAMD)の導入を明記。IAMDは米軍が開発を進め、ロシアや中国への対処を念頭に、同盟国に参加を促しています。
自民、公明両党が保有で合意した敵基地攻撃能力は、第2次安倍政権が強行した新たな「武力行使の3要件」に基づいて行使されるため、海外での米軍の武力行使に参加する「存立危機事態」(集団的自衛権の行使)も排除していません。自衛隊が米軍指揮下で、しかも米国製ミサイルを用いて敵基地攻撃を行う可能性があります。
安保3文書は、
▽「国家安全保障戦略」(NSS)
▽「国家防衛戦略」(NDS)
▽「防衛力整備計画」
―からなります。NDSは現在の「防衛計画の大綱」を改称したもの。米国防総省の戦略文書と同じ名称にすることで、日米の戦略的な一体化を促進するのが狙い。「スタンド・オフ防衛能力」など、重視する7項目が記されています。「防衛力整備計画」は、現在の中期防衛力整備計画に代わるもので、おおむね5年間の軍事力整備計画を記載。2023年度から5年間で総額43兆円の大軍拡が明記されており、「スタンド・オフ・ミサイル」=長距離巡航ミサイルの導入経費は約5兆円としています。