2022年12月19日月曜日

19- 逃げる岸田政権 ~ 臨時国会69日(4)/安保3文書 密室協議 問題ないと

 しんぶん赤旗の連載記事「逃げる岸田政権 対決する日本共産党 臨時国会69」の(4)です。

 併せてしんぶん赤旗の記事「安保3文書 密室協議 首相『問題ない』発言に怒り」を紹介します
 岸田政権は16日の改定安保3文書の閣議決定で、「専守防衛」の基本原則を投げ捨て、敵基地攻撃能力の保有に踏み出しましたが、それは憲法学者を交えない政権寄りのメンバーだけの会議で決めしかも記事録は非公開にするなど、国民には結果だけを押し付けるというやり方を取っています。
 それは「拠らしむべし、知らせるべからず」の先制政治を地で行くもので、その隠蔽体質は第2次安倍政権以上といえます。
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逃げる岸田政権 対決する日本共産党 臨時国会69日(4)
社会保障 罰則でなく医療に支援を
                      しんぶん赤旗 2022年12月18日
 「3年ぶりに、緊急事態宣言等の行動制限を行わずに、今年の夏を乗り切れた」
 臨時国会冒頭の岸田文雄首相の所信表明に、だれもが耳を疑いました。

死者は過去最悪
 新型コロナウイルス第7波による死者が過去最悪の1万3000人を超えた背景には、岸田政権の無為無策、成り行き任せのコロナ対策がありました。臨時国会で成立した改定感染症法も、これまでのコロナ対策に対する厳しい反省のもとに検討されるべきでした。
 ところが、今回の改定は、感染症拡大時に病床の確保や医療が提供できない医療機関に厳しい罰則を設けるもので、これまでギリギリの人員体制でコロナ患者を受け入れ、医療崩壊を食い止めてきた医療機関にムチ打つ内容です。
 耳原総合病院(大阪府堺市)の河原林正敏院長は同法の参考人質疑で、病床確保の義務化と罰則が「地域医療の崩壊につながることになるのではないかと危惧している」と陳述しました。
 「正当な理由なく確保病床が稼働できなかったという立法事実はあったのか」との倉林明子参院議員の質問に、加藤勝信厚生労働相は「患者像と病床確保に関し医療機関と都道府県との認識のずれが生じた」と答えましたが、罰則を必要とする立法事実は示せませんでした。衆院の質疑では、厚労省の榎本健太郎医政局長が「都道府県や国からの要請に、各医療機関は可能な限り対応した」と答弁しています。
 約3年にわたるパンデミックの教訓は、緊急時の対応のためには、平時の医療提供体制に余裕が必要だということです。しかし、政府は地域医療構想で急性期病床20万床の削減を進めようとしています。第8波の到来が現実となるなか、いま求められるのは、医療機関に対するペナルティーではなく、人員の確保と財政支援です。

高齢者の負担増
 政府はこの間、物価高騰にもかかわらず年金額を逆に0・4%引き下げました。10月からは高齢者の医療費値上げを強行。さらに、来年の介護保険法改定に向けて、利用料の2、3割負担の対象拡大、要介護1、2の在宅サービスやデイサービスの保険給付外しなど、「史上最悪」と呼ばれる改悪案を検討しています。
 宮本徹衆院議員は「物価高騰の中で所得の少ない人ほど生活は厳しい。高齢者は6月から年金が切り下げられ、10月から75歳以上、370万人の窓口負担が2倍になった。介護保険の利用料2割負担の対象拡大の検討は、首相のイニシアチブで中止すべきだ」と追及しましたが、岸田文雄首相は「能力のある方に負担してもらうことも重要との意見もある」などと冷たい態度に終始しました。
 11月22日には、中央社会保障推進協議会や全日本民医連、全労連が、介護保険改悪に反対する13万7638万人分の署名を国会に提出するなど、全国に怒りが広がっています。(つづく)

安保3文書 密室協議 首相「問題ない」発言に怒り
                       しんぶん赤旗 2022年12月18日
 岸田政権は16日の改定安保3文書の閣議決定で、「専守防衛」の基本原則を投げ捨て、敵基地攻撃能力の保有に踏み出しました。戦前の反省を踏まえ、「平和国家」として歩んできた国の姿を根本から変える決定を、まともな国会審議や国民の意見も聞かないまま強行したことに強い批判の声が上がっています。首相が16日の会見で「(決定)プロセスに問題はない」と正当化したことが、さらに怒りを広げています

 首相は会見で「防衛力強化の内容、予算、財源の三つを本年末に決める方針」を国会でも説明してきたと強弁しましたが、実態は何ら説明していません。例えば日本共産党の小池晃書記局長が、長距離ミサイル1千発超の保有を政府が検討しているとの報道についてただすと、岸田首相は「報道には答えられない」(10月の参院本会議)と回答を拒否。井上哲士議員が4月の参院外交防衛委員会で敵基地攻撃の対象範囲について質問しても、岸信夫防衛相(当時)は「国家安保戦略作成過程で検討する」と答弁しました。つまり、「検討過程」は一切明らかにせず、結果だけを押し付けるというものです。
 また、岸田首相は「丁寧なプロセス」の根拠として▽国家安全保障会議(NSC)4大臣会合▽国家安全保障局(NSA)でのヒアリング▽政府有識者会議▽与党実務者協議―などを挙げました。しかし、いずれも政府与党内の会合であり、議事録が公開されない「密室」での会議です。
 NSAでのヒアリングに招かれた顔ぶれを見ると、谷内正太郎国家安全保障元局長や北村滋前局長、折木良一元統合幕僚長、泉沢清次・経団連防衛産業委員長(三菱重工社長)など「身内」が目立ちます。敵基地攻撃能力保有の検討という憲法9条に関わる問題が主要議題なのに、憲法学者は一人も招かれていません

 さらに、有識者会議の議事録は非公表で、公開されているのは発言者の氏名を伏せた議事概要のみとしているなど、まともな情報公開もなされていません。
 これに関して、本紙は昨年11月21日から防衛省内で開かれた「防衛力強化加速会議」の議事録や配布資料について情報公開請求しましたが、開示文書は全て黒塗りでした。2013年12月、政府が最初の国家安保戦略を決定した際に開かれていた同様の会合についても、本紙は情報公開請求しましたが、その際は多くが開示されていました。岸田政権は、「隠蔽(いんぺい)」体質が批判されてきた第2次安倍政権以上の「隠蔽」体質といえます。
 
「勝手に決めるな」―。安保3文書を閣議決定した16日朝、首相官邸前で市民が抗議の声をあげました。岸田政権が国民の声を聞かないのは、裏返せば国民の声を恐れているからです。民主主義破壊を許さない世論と運動が急務となっています。 (斎藤和紀)