2022年12月29日木曜日

「安保3文書」抗議の官邸前行動/宗教虐待問題 野党ヒアリング/学術会議の独立性侵すな

小原隆治早大教授らが呼びかけた「安保3文書」に対する抗議行動27日夜、首相官邸前で行われ、東大の本田由紀教授、共産党の山添拓参院議員立憲民主党の石川大我参院議員が参加しました。
12月10日、国会の最終日にギリギリで成立した旧統一協会被害者救済法はないよりはマシという程度の殆ど実効性のないものでした。27日、野党は国会で、エホバの証人の元3世信者や統一協会の元2世信者からヒアリングを行いました。法律を可及的速やかに実効性のあるものに改正されるよう、野党の努力が期待されます。
・学者・文化人・ジャーナリスト・宗教者ら127人による「学問と表現の自由を守る会」は27日、日本学術会議の独立性を侵害する政府の法改悪方針を即時撤回することを求める声明を発表しました。
 同会議の人事に事実上介入したのは菅政権でしたが、岸田政権はそれを制度上可能にしようとするものです。「政治が学問に介入してはならない」という古来の鉄則を何故この両人は理解できないのか、情けないことです。
 しんぶん赤旗の3つの記事を紹介します。
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軍拡やめ平和外交を 「安保3文書」抗議の官邸前行動
                       しんぶん赤旗 2022年12月28日
 岸田政権が閣議決定した「安保3文書」に対する抗議行動が27日夜、首相官邸前で行われ、集まった市民150人(主催者発表)が「軍拡より平和外交を」と声をあげました
 呼びかけ人の小原隆治氏(早稲田大学教授)は「『安保3文書』の閣議決定は15年の安保法制の強行以後最も大きい日本政治を揺るがす大問題だ」と指摘。容でも手続きでも問題を抱える安保3文書に対し抗議の声を上げよと呼ぴかけました。
 学者や政治家がマイクを握り訴え。東京大学の本田由紀教授は、「貧困格差などで社会の維持可能性さえも脅かされる状況で、今度は軍備のために増税をする。こんな社会とは決別すべきだ」と述ぺました。
 日本共産党の山添拓参院議員は、同日、秋葉賢也復異相と杉田水脈政務官が辞任したことに触れ、「政権として体をなしていない。そんな岸田政権が大軍拡と大増税を推し進めようとしている。黙っているわけにはいかない」と訴え。「年を越したら忘れる″などと絶対に言わせない。そのための共同を広げよう」と呼ぴかけました。
 立憲民主党の石川大我参院議員は「敵基地攻撃能力ま憲法違反だと言っていこ。憲法9条をないがしろにする『安保3文書』は認められない」と訴えました。
 埼玉から娘と一緒に参加した母親(50代)は、「敵基地攻撃能力を持つのは絶対だめ。日本を守る盾は軍事力ではなく外交です」と語りました。


宗教虐待への厚労省指針 苦しむ2世救うものに 野党ヒアリング
                       しんぶん赤旗 2022年12月28日
 統一協会問題に関する野党国対ヒアリングが27日、国会内で開かれました。元エホバの証人3世で宗教2世問題ネットワークの夏野ななさん(仮名)らが証言し、同日、厚生労働省が公表した宗教を背景とする児童虐待への対応指針について関係省庁に聞き取りを行いました。
 同省の指針は、Q&A形式で宗教などの信仰に基づく子どもへの行為が、児童虐待防止法の定める虐待(身体的、性的、ネグレクト=育児放棄、心理的)のどれに当たるかを明記。虐待の事例として、宗教活動を強制するようにむちで打つことや、「地獄に落ちる」と恐怖をあおる、子どもの進路や就労、結婚などを阻むために脅すことなどを例示。その上で、必要な場合には、児童相談所がためらわずに一時保護するよう求めています。

 夏野さんは「指針で明示されているほとんどをこの身で経験した。指針の周知を広く行い、私のような思いをする子どもが二度と現れない社会を目指してほしい」と語りました。
 統一協会2世の高橋みゆきさん(仮名)は「宗教に基づく虐待は親子の問題とされがちだが、組織的指導が信者である親になされていることが特徴だ。組織的指導に対応してほしい」と訴えました。
 野党議員が「指針を周知し、苦しむ2世の声をすくいあげることが重要だ。児童相談所の体制強化などをすべきでは」と質問。厚労省の担当者は「今後、SNSでの相談を検討している。虐待だと思ったら相談窓口に遠慮なく連絡してほしい」と回答しました。


学術会議の独立性侵すな 学者・文化人127人、政府方針撤回要求
「学問と表現の自由を守る会」声明
                      しんぶん赤旗 2022年12月28日
 幅広い学者や文化人、ジャーナリスト、宗教者ら127人による「学問と表現の自由を守る会」は27日、日本学術会議の独立性を侵害する政府の法改悪方針を即時撤回することを求める声明を発表しました。
 政府は今月、来年の通常国会に、日本学術会議の会員選考に第三者を関与させるとする改悪法案を提出すると表明。次期会員の改選は改定法のもとで行う方針を示しています。
 声明は、政府方針は憲法が定める学問の自由を侵害し、思想・良心、表現の自由を脅かすものだと強調。「世界のアカデミーの常識」である会員選考方法と活動の独立性の原則を蹂躙(じゅうりん)し、学術会議を「政府の御用機関」に改変すれば、国民の幸福と人類福祉、日本の国益に反することになりかねないと危惧しています。「方針」は首相による会員6人の任命拒否を合法化すると指摘。軍事優先の学術総動員体制に道を開く法改正に反対し、改めて任命拒否の理由の説明と速やかな任命を要求しています。
 同日、東京都内で同会の発起人らが会見しました。隠岐さや香・東京大学教授は「独裁的な方向に向かう時、学者の任命権や発言権が真っ先に攻撃の対象になる」と述べ、「民主主義の危機」を指摘。翻訳家の池田香代子氏は、19世紀にドイツの大学教授が国王に異議を唱え国外追放になった事件を紹介し、危機感を表明しました。
 大沢真理・東京大学名誉教授は、新型コロナによる死者数の増大は政府による「大人災」だと述べ、政府と距離をとる学術がなければ「国民の生命が危うい」と強調。医療制度研究会副理事長の本田宏氏は、医療界を例に異論の重要性を訴えました。
 元岩波書店社長の岡本厚氏は政府が次に介入してくるのはメディアだと警鐘を鳴らし、元「朝日」論説委員の藤森研氏は軍拡を急ぐ政府を批判。日本キリスト教協議会の金性済(キム・ソンジェ)総幹事は、日本のキリスト教が戦前、政府を翼賛した歴史を振り返り、いま抗議の声を上げる必要性を訴えました。

 佐藤学・東京大学名誉教授は、政府方針は「学術会議つぶし」だと抗議しました。