2022年12月8日木曜日

洗脳下の献金被害救済へ 宮本徹氏「実態に即した規制を」

 政府は8日中に統一協会の被害者救済法案を衆院で可決させ、参院に送って会期末の10日には成立させるということです。

 これまで繰り返し全国弁連の弁護士や信者2世たちから実効性に乏しいとの批判がある中で、政府は殆どそれらを取り入れることをしないまま只ひたすら成立を目指すわけで、拙速を絵に画いたようなものです。つくづくロクな政権でないことを実感します。
 何故国会を延長して少しでも実効性のあるものにしようとしないのでしょうか
 しんぶん赤旗の記事を紹介します。
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洗脳下の献金被害救済へ 宮本徹氏「実態に即した規制を」
統一協会の被害者救済法案審議入り
                       しんぶん赤旗 2022年12月7日
 統一協会(世界平和統一家庭連合)の被害者救済法案が6日の衆院本会議で審議入りしました。法案は法人等による不当な寄付勧誘を禁止するもの。日本共産党の宮本徹議員は、マインドコントロール(洗脳)下での寄付勧誘被害を救済できるよう「被害の実態に即した規制を設けるべきだ」と求めました。(質問要旨別掲参照

 法案4条は「寄付の勧誘をするに際し」「困惑させてはならない」としています。しかし、統一協会は宗教勧誘であることを隠して教義を植え付け、洗脳下においてから寄付勧誘を行っています。
 宮本氏は、寄付の時点だけを見れば、違法に植え付けられた教義への使命感から進んで寄付を行っているように見えるケースが多いと指摘。「統一協会の献金被害の多くが取り消しの対象から外れるのではないか法案を修正し、困惑類型とは異なる統一協会の被害実態に即した規制を設けるべきだ」とただしました。
 岸田文雄首相は「いわゆるマインドコントロールによる寄付は、多くの場合不安を抱いていることに乗じて勧誘されたものと言え、新法案による取り消し権の対象となると考えられる」と述べました。
 宮本氏は、入信当初に困惑してもその際に「寄付が必要不可欠」との勧誘がなく、入信と寄付勧誘に時間差があり寄付勧誘の際は進んで献金しているように見える場合、「取り消しの対象とは読めないのでは」と質問しました。岸田首相は「入信前後から寄付に至るまでが一連の寄付勧誘であると判断でき、事後的に寄付当時困惑していたと考えた場合は取り消し権の対象になる」「一連の寄付勧誘と判断できない場合も、入信時に抱かされた不安が継続している場合に法人等がこれに乗じて寄付勧誘をすれば、取り消し権の適用対象になる」と答弁。入信時に困惑しても「寄付が必要不可欠」と告げられなかった場合には触れませんでした。
 宮本氏は取り消しの対象になるか条文上明確にするよう要求。岸田首相は「法案が成立した際には個別の事例に即して条文の適応可能性を示す」と述べるにとどめました。


統一協会の被害者救済法案 宮本徹議員の質問(要旨)衆院本会議
                       しんぶん赤旗 2022年12月7日
 日本共産党の宮本徹議員が6日の衆院本会議で行った統一協会の被害者救済法案に対する質問の要旨は次の通りです。

 今必要なのは統一協会のこれまでの被害者を救済し、新たな被害を防止することです。統一協会は違法な霊感商法、高額献金で国民の財産を収奪してきました。広告塔の役割を果たしてきた政治家の責任は重大です。統一協会と政治の癒着の中で解散命令請求も行わず、被害を防ぐ手だてをとってこなかった政府の責任も重大です。
 本法案の最大の弱点は、統一協会の被害実態に即した規制となっていない点です。統一協会は宗教勧誘であることも秘匿し、正体隠しの伝道で教義を植えつけます。信者は自由な意思決定ができない状態にされ、統一協会は教義の実践として献金などをさせます。
 本法案は「寄付の勧誘をするに際し」「当該寄付をすることが必要不可欠である旨を告げること」をして「困惑させてはならない」としています。しかし、寄付の時点だけをみれば信者は困り戸惑うことなく植えつけられた教義への使命感から進んで寄付をしているように見えるケースが多くあります。統一協会の献金被害の多くが取り消し対象から外れるのではありませんか。法案を修正し困惑類型とは異なる統一協会の被害の実態に即した規制を設けるべきです。
 岸田文雄首相は「入信当初に不安をあおられる等で困惑し、その後は自分が困惑しているか判断できない状態で献金を行ったとしても、その状態から脱した後に取り消し権を行使することが可能な場合がある」と述べています。どういう場合が可能となるのか判断基準を責任を持って示してください。入信当初に不安をあおられて困惑してもその際に寄付が必要不可欠との勧誘がなく、入信当初と寄付の勧誘にタイムラグがあり、寄付の勧誘の際には、進んで献金しているように見える場合、4条6号の取り消しの対象とは読めないのではありませんか。
 取り消し対象となるか最終的に判断するのは司法です。首相は「法案が成立した際には、条文の解釈の明文化を図る」と答弁しています。明文化できる解釈なら今修正して条文化すべきです。
 法案は法人等への配慮義務として「寄付の勧誘が個人の自由な意思を抑圧し、寄付をするか否かについて適切な判断をすることが困難な状態に陥ることがないようにすること」を課します。この規定では、入信当初と寄付の勧誘にタイムラグがあり、配慮義務の対象にならないのではありませんか。被害防止の実効性を高めるため文言を修正し、配慮義務規定全体を禁止規定とすべきです。
 政府案は扶養家族が養育費などの返金を求めることができるようにしますが、扶養義務の範囲では取り戻せるケースはきわめて限定的です。新法が成立した場合、1年を目途にすみやかな検証、見直しが必要です。
 禁止する寄付のための資金調達要求は、生命保険の解約など生活維持に重要な財産に広げるべきです。取り消し権の行使期間はマインドコントロール(洗脳)を脱するのに時間がかかることを考慮し20年とすべきです。
 政府は速やかに解散命令請求に踏み切るべきです。首相に残されている最大の宿題の一つが、自民党と統一協会の癒着の解明と一掃です。自民党としての責任を持った調査を行うべきです。