統一協会の被害者救済のための新法案について、全国弁連や信者2世などから実効性が乏しいと指摘されていたにもかかわらず、政府は修正しないままで1日に国会に提出しました。
「配慮義務」とされているものを「禁止事項」とすべきとの主張に対して、河野担当相は「禁止事項」にするのは技術的に困難で、「配慮義務」でも司法の判断に反映されるなどと突っぱねていますが、全国弁連は「配慮義務だけにとどまれば、迅速な被害防止、救済は実現できない」としています。「禁止事項」であれば裁判で即決しますが、「配慮義務」であれば決着するまでに数年も掛かるという意味です。
献金の返済についても現行案では殆どの人が該当しなくなるため、法文は単に空虚な文言の羅列ということになってしまいます。
日本共産党の山添拓議員は2日の参院予算委で、禁止規定の拡大などを求めるとともに、献金の取り消し・返済が容易にかつ幅広く行われるように、いまからでも実効性のあるものに修正すべきであると主張しました。現行の政府案はまさに「羊頭狗肉」というべきもので、河野担当相が何故そうした提言を取り入れようとしないのでしょうか。
また2日に開かれた与野党国対委員長会談で、共産党の穀田恵二国対委員長は「法案を真に実効あるものにするには修正が必要だ」と強調し、被害者や、この問題にとりくんできた弁護士などの意見を聞く参考人質疑など、きちんとした審議が必要だと要求しました。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
今からでも見直しを 救済新法「実効性あるものに」 参院予算委で山添議員
しんぶん赤旗 2022年12月3日
日本共産党の山添拓議員は2日の参院予算委員会で、統一協会の被害者救済のための新法案について、寄付の取り消し基準の明確化や禁止規定の拡大などを求め「実効性あるものとすべきだ」と主張しました。
同法案は、寄付勧誘に際しての法人の「配慮義務」として、「正体を明らかにし、寄付の使い道を誤認させない」などを規定しています。全国霊感商法対策弁護士連絡会などは「配慮義務だけにとどまれば、迅速な被害防止、救済は実現できない」として、行政罰を科せる「禁止行為」にするよう要請。岸田文雄首相は要件の「明確性」に問題があると拒否しています。
山添氏は、統一協会の「正体を隠し、寄付の使い道を誤認させる」行為の違法性は明確だと指摘した上で、「刑事罰の対象にするのではなく、禁止行為として取り消しの対象とする可能性はあるか」と質問。河野太郎消費者担当相は「検討の余地はある」と述べました。
一方、新法案は禁止行為の条文に、寄付の勧誘をするに際し▽困惑させてはならない▽寄付をすることが必要不可欠と告げること―と明記。山添氏は、マインドコントロール下では「寄付の時点では進んで寄付をしているように見えるものが多くある」と指摘し、「困惑しないで行う寄付が対象となる条文にすべきだ」と主張しました。
さらに、「入信時に寄付を求めておらず、数年後に初めて寄付を求めた場合は、取り消し権の対象となるのか」と質問。河野担当相は「(入信当初に)寄付の勧誘があれば、それは対象になる」と述べるにとどめました。
山添氏は、当初は寄付の勧誘をしていないケースがほとんどで、統一協会被害のほとんどの部分が外れてしまいかねないと指摘。「法案も政府の説明も明確ではない。不十分な法案で実効性を欠くことがないように、今からでも必要な見直しを行うべきだ」と主張しました。
統一協会 実効ある被害者救済法案に 穀田氏 規定の修正求める
しんぶん赤旗 2022年12月3日
与野党国対委員長会談が2日に開かれ、自民党の高木毅国対委員長は、政府が1日に閣議決定して国会に提出した統一協会(世界平和統一家庭連合)の被害者救済新法案について、10日の会期末までの成立にむけて早期の審議入りを要請しました。野党側は、法案を実効あるものにするために、マインドコントロール(洗脳)下の寄付の勧誘を禁止する規定への修正を要求しました。
立憲民主党の安住淳国対委員長は「このままでは、被害者にも弁護団にも使いものにならない見せかけの法案になる。実効たらしめる努力が必要だ」と修正を要求。「重要広範議案」として、相当の時間をかけた審議が必要だと述べました。
日本共産党の穀田恵二国対委員長は「法案を真に実効あるものにするには修正が必要だ」と強調。とりわけ、法案で法人等の配慮義務となっている「自由な意思を抑圧し…適切な判断をすることが困難な状態に陥ることがないようにすること」などの規定を禁止行為とする修正を求めました。
また、被害者や、この問題にとりくんできた弁護士などの意見を聞く参考人質疑など、きちんとした審議が必要だと要求。世論にこたえる十分な審議時間が必要だとして国会会期の延長も求めました。さらに「法案を実効たらしめるためにも統一協会と自民党との癒着の解明が引き続き重要な課題だ」と主張しました。