シリーズ「岸田大軍拡異議あり」に登場した千穂大教授・五野井郁夫さんは、政府は大軍拡・大増税路線を進んだ先に待ち受ける〝戦争のリアリティー″をきちんと国民に説明するべきであると強調します。
「台湾有事」で日米が事実上の先制攻撃を行えば、中国から徹底的な報復を受けて自衛隊が壊滅的な打撃を受けるだけでなく、反撃は日本全土に及び多くの人命が失われるというのが大軍拡の先にある現実であるとして、米国にとって日本は防火壁の役割であり、米国本土には戦火は及ばず日本だけが焦土になると述べています。
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岸田大軍拡異議あり 戦場になる「防火壁」日本
高千穂大学教授(政治学) 五野井郁夫さん
しんぶん赤旗 2023年2月27日
岸田政権は国会での議論を経ずに「安保3文書」を閣議決定しました。議会制民主主義を無視したやり方であり、到底容認できません。大軍拡・大増税路線を進んだ先に待ち受ける〝戦争のリアリティー″をきちんと国民に説明するべきです。
安保法制のもと集団的自衛権を行使し、自衛隊と米軍が一体となって敵基地攻撃能力の行使に乗り出せば、先制攻撃となり報復攻撃は避けられません。
米シンクタンク「戦略国際問題研究所」(CSIS)の「台湾有事」を想定したシミュレーションでは、米軍とともに日本の自衛隊の参戦が前提となっています。その際に、自衛隊は軍用機90~161機と艦船14~26隻を失うと試算されています。いずれも壊滅的な被害です。
どのシナリオにおいても日本が大規模なダメージを受けることは明らかです。攻撃は日本全土に及び、当然、多くの人の命が失われます。これが大軍拡の先にある現実です。
他方で米国が日本を守ってくれる保証はありません。それどころか、米国は自国本土への直接的な攻撃を避けるために日本を「防火壁」に利用する狙いです。米国にとって日本は大事な〝脳や心臓″ではなく、いつでも切り離し可能な〝尻尾″でしかない。戦場になるのは日本です。
私たちにできることは、いま起きていることの「脅威」を示すことです。まずは、「日本の領土への直接攻撃もあり得る」と、各地で声をあげることから始めていきましょう。
日本共産党攻撃現実とかけ難れた議論が
いちばん民主的 堂々とアピ-ルを
こうした状況下で、大きなメディアなどが日本共産党の党運営・民主集中制に対する攻撃を行っているのは何なのでしょうか。あまりにもアンフェアで現実とかけ離れた議論がされていると思います。
「上意下達」「異論排除」と攻撃しますが、全然違いますよね。共産党は他党と異なり地域組織がしっかりしています。地域レベルで毎週会議が開かれ、そこで練り上げられた意見がきちんと集約・反映されるようになっている。だからこそうまく民主集中制が機能しているのだと思います。共産党に関心が集まっているこの機会に、堂々と民主的運営をアピールすればいいと思います。自浄作用もあるいちぱん民主的な組織なのですから。
(聞き手 中野侃)