「安全保障3文書の撤回を」-。憲法を考える(吉田彦太会長・東京都)は2月、岸田政権に対する「意見」書を公表しました。
意見書は、「〝安保3文書″は今までの政府が掲げていた専守防衛により自衛隊は憲法9条の規定には違反しないという見解に反し、また戦争はしないという憲法の平和主義の基本原理に明らかに違反する」「この度の政府の行為は明らかに憲法に違反し看過することはできない」と批判します。
同ネットワークは2020年に発足し、全国の司法書士団体と個人で構成し、100人超が参加しています。「安保3文書」は憲法の観点から「問題」だとリモートによる緊急会議を開催し、今回の「意見」書を取りまとめました。
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戦争準備は違憲 「安保3文書」の撤回求める 法律家として看過できない
しんぶん赤旗 2023年3月7日
「安全保障3文書の撤回を」-。憲法を考える全国司法書士ネットワーク(吉田彦太会長・東京都)は、岸田文雄政権に対する「意見」書で強く求めています。「この度の政府の行為は明らかに憲法に違反し看過することはできない」と喝破しています。 (遠藤寿人)
司法書士ネット「意見」書
岸田政権が昨年末、閣議決定した「安保3文書」。敵基地攻撃能力の保有や軍事費を5年間で43兆円、国内総生産(GDP)比2%以上にするなどと打ち出しました。
世界との約束事
この政策に対して同ネットワークは2月、「意見」書を公表。「今までの政府が掲げていた専守防衛により自衛隊は憲法9条の規定には違反しないという見解に反し、また戦争はしないという憲法の平和主義の基本原理に明らかに違反する」と批判しました。
司法書士は国家資格です。専門的な法律知識に基づき、土地・建物の登記や会社設立の登記申請などを行います。有資格者は全国で約2万人。
「ここで異議を主張しないのは肯定したことになる」。そう語るのは、「富山県司法書士会憲法委員会」の宕場達夫さん。「意見」書の原案を作成しました。「日頃から法律を扱う専門職として、明らかな憲法違反の政策に黙っていられない」と憤ります。
「意見」書は、憲法99条が国務大臣らに憲法を尊重し擁護する義務があることを規定していると強調します。「仮に戦争の火種が発生する恐れがあれば、政府が行うべきことは、軍備を増強することではなく、平和憲法を遵守し、それに則ってあらゆる努力をすることです」としています。
ところが岸田内閣は、率先して憲法改悪を主張。これに追随するメディアは軍事予算の増大に言及するものの、大軍拡の是非については問わない異常な事態になっています。
岩場さんは「平和憲法で戦争準備に入ることは憲法違反です。戦争をしないということは、2000万人を超えるアジア諸国民の命を奪い、第2次世界大戦に負けた日本が、世界に向かってした約束事。守らないのはおかしい」と話します。
司法書士仲間が全国で安保法制を考えようと講演会を開くなかで、「全国のネットワークが欲しいね」との意見が出され、2020年に発足。全国の司法書士団体と個人で構成し、100人超が参加します。「安保3文書」は憲法の観点から「問題」だとリモートによる緊急会議を開催。今回の「意見」書を取りまとめました。
自由公正に寄与
同じ法律の専門職として日本弁護士連合会は昨年12月、「敵基地攻撃能力」保有に反対する意見書を提出していますが、日本司法書士会連合会は意見表明をしていません。
「意見」書は司法書士法の第1条が「司法書士の使命」を定めている点も押し出します。 「国民の権利を擁護し、もって自由かつ公正な社会の形成に寄与することを使命とする」
岩場さんは「『公正な社会』とは国民が平和な生活を送れるということだ」と指摘。「戦争することは顧客の根底にある〝生活″がひっくり返ること。平和な生活がなくなってしまうことに対し、指をくわえて見ていられない。小さい声でもどんどん広げて世の中を正しい方向に向かうようにするのが法律家の使命」と力を込めます。