シリーズ「岸田大軍拡異議あり」で、ジャーナリストの志葉 玲さんは、敵基地攻撃能力の保有は米国の戦争に参加するもので、先制攻撃を反省しない米国といっしょにたたかうことは極めて危険であるとして、軍拡に突き進む岸田政権こそ日本の最大の〝脅威″と述べました。
また、元自民党石垣支部幹事長の延板 芳行さんは、仮に日本の米軍基地から米軍が中国に出撃するようになれば、中国は真っ先に石垣島にミサイルを発射するとして、石垣市長は長射程ミサイルが配備される前の現段階で容認できないとはっきり言うべきであるとしています。そしていま大事なのは絶対に「台湾有事」を起こさせないことで、日本は国を挙げて取り組む必要があると述べました。
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岸田大軍拡異議あり この政権こそ最大の脅威 ジャーナリスト 志葉 玲さん
しんぶん赤旗 2023年3月27日
岸田政権は、「ウクライナは明日の東アジア」などと言って、ウクライナで戦争に苦しんでいる人々の不幸を「利用」して、大軍拡を進めようとしています。ウクライナの現地を2度取材してきた経験から、本当に許せないことです。
敵基地攻撃能力の保有は、憲法9条に違反すると同時に、国連憲章に違反する先制攻撃になる危険があります。日本は敵基地攻撃の判断を米国の情報に頼ることになります。イラク戦争の場合のように間違った情報で先制攻撃を行うこともあり得ます。その意味では二重に問題だと思っています。
今年は米国のイラク侵略からちょうど20年です。イラク戦争は、国連憲章に違反した戦争でした。アメリカは反省していませんし、日本は検鉦も反省も求めていません。
敵基地攻撃能力の保有は、アメリカと一体となって、アメリカの戦争に参加するものです。日本の防衛とは関係ありません。先制攻撃を反省しない米国といっしょにたたかうことは極めて危険です。
気候危機や貧困と格差の問題など緊急に対応すべきことはたくさんあります。実質賃金が下がる中で、物価高騰で国民の暮らしは大変です。今、命の危機をもたらしかねない軍拡にお金を使うべきではありません。軍拡のための増税や社会保障質の削減は許されません。軍拡に突き進む岸田政権こそ日本の最大の〝脅威″です。 (聞き手 若林明)
岸田大軍拡異議あり 石垣島を戦場にさせない
沖縄県石垣市議 元自民党石垣支部幹事長 延板 芳行さん
しんぶん赤旗 2023年3月28日
石垣島に長射程ミサイルを配備することは、島が戦場になってしまうという重大な危険性をはらんでいます。石垣市民の総意として島を戦場にしない、配備は認められないと声を上げていくべきだと思っています。
私は自衛隊の配備そのものは必要だろうということで推進してきた立場です。ただ、配備計画が持ち上がった当時、防衛省側の説明は島々を守っていくためということでした。明確な攻撃の意思をもって近づく敵勢力に対し、迎撃するためだと。他国に届くミサイルではないと言っていたのです。
しかし、長射程ミサイルは相手国に直接届き攻撃できます。日本政府が念頭におく中国からすれば、自国に撃ち込まれるミサイルが目と鼻の先の石垣にあることになります。
仮に中国が台湾に侵攻する場合、バイデン米大統領は介入すると明言しています。日本の米軍基地から米軍が出撃するようになれば、中国が自衛のためとして真っ先にミサイルを発射するのは石垣島ではないでしょうか。
そうした危険を呼び込む長射程ミサイルが自治体すら知らないうちに配備される恐れもあります。防衛の手の内は明かせないとする理屈があるからです。だからこそ市民の生活を預かる石垣市長が、長射程ミサイルが配備される前の現段階で容認できないとはっきり言うべきなのです。
ところが中山義隆市長は「琉球新報」2月5日付のイゾタビューで「大きな懸念はなく、基本的には容認だ」と述べたと報じられました。私は議会で質問しましたが、中山市長は否定も肯定もせず、はぐらかすだけでした。
一方、中山市長や自公政権を支持する市議たちは、有事の際に島民をどう避難させるかに議論を向けています。ですが、避難できたとしても戦場になれば、この島で元の日常を取り戻せない状況になるかもしれない。
いま大事なのは逃げることではなく、絶対に「台湾有事」を起こさせないこと。外交だけでなく中国、台湾との経済的依存関係も生かし、日本は国を挙げて取り組む必要があります。そのためにも長射程ミサイルが石垣に配備されることの重大性、危険性を広く市民に知らせなけれぱと考えています。 (聞き手 岡素晴)