三菱重工は2月、過去18年間で1兆円を注ぎ込んできた国産ジェット旅客機の開発を断念しました。
またJAXAが完成させた主力ロケット「H3」の初号機は、2月17日の打ち上げで補助の固体ロケットブースターに着火せず、「打ち上げ中止」となりました。
他方 中国は、16年に国産の小型ジェット旅客機の商業運用を開始し既に100機程度が就航しています。昨年12月には初めてインドネシアの航空会社に納入されました。
また中国は独自の宇宙ステーションを昨年12月に完成させ、この間、地球と宇宙ステーションを往復できる大型ロケットを何度も打ち上げています。
岸田内閣はアメリカの尻馬に乗って盛んに中国を敵視していますが、市価の倍以上で米国から大量に買い込む予定の巡航ミサイル・トマホークは、飛翔速度がマッハ0・75と旅客機よりも遅く、中国に到達するまでに1時間もかかります。そして並行して飛行する戦闘機によって簡単に撃墜されるというシロモノです。
中国は決して軍事面で争うべき相手ではないだけでなく、民生分野での世界における文献引用数にしても日本より段違いに優っています。岸田首相の考え方は何処か狂ってはいないでしょうか。
経済評論家の中西文行氏が「 ~ 日米欧が恐れ始めた中国の科学技術のすさまじい進歩」という記事を出しました。
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経済ニュースの核心
小型ジェットに宇宙船…日米欧が恐れ始めた中国の科学技術のすさまじい進歩
中西文行 日刊ゲンダイ 2023/03/03
三菱重工業は2月上旬、初の国産ジェット旅客機「スペースジェット」の開発を断念したと発表した。18年間に投資した資金は1兆円に上り、完成予定期日を6回延期、6機の試験機で延べ3900時間の飛行試験を行ったが、商業運航に必要な国の型式証明を得られなかった。
中国中央テレビによると、中国国産の小型ジェット旅客機「ARJ21-700型機」が昨年12月にインドネシアの航空会社に納入された。国産旅客機が海外に進出するのは初めて。2016年に商業運用を開始し、主に中国国内の路線で100機程度が就航している。
日本の主力ロケット「H3」の初号機は、2月17日に打ち上げが中止された。JAXA(宇宙航空研究開発機構)は、原因を究明した上で予備の打ち上げ期間にあたる3月10日までに再び打ち上げに臨みたいとした。
中国は、独自の宇宙ステーションを22年12月に完成、地球と宇宙ステーションを往復できる大型ロケットを何度も打ち上げている。さらに2月17日には、有人宇宙船「神舟14号」の乗組員3人が、宇宙ステーションから地球へ帰還、北京航天城で初の記者会見も行った。
■コロナワクチンの量産を開始
日本の製薬会社は、政府から数百億円の補助金を受けても、新型コロナウイルスワクチン(以下ワクチン)を開発できないが、中国生物技術北京生物製品研究所のワクチンは21年5月に世界保健機関(WHO)の緊急使用承認を受けて量産を開始。同年6月には、科興控股生物技術製のワクチンも緊急使用リストに追加した。
米国、そして欧州、日本も恐れ始めた中国の急速な科学技術の進歩である。
政府の貿易統計によると、テレビや携帯電話など代表的な輸出産業、科学技術水準の指標でもある「電気機器」の輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は、22年下半期に812億円の赤字に転落した。半期ベースの赤字は現行方式のデータが残る1988年以降で初めてである。
アカディアン・アセット・マネジメント(運用資産約940億ドル)のグローバル・マクロ・ポートフォリオマネジャー、クリフトン・ヒル氏は、米金融当局が今後も政策金利を引き上げるため、再び1ドル=140~145円に下落する余地があるとみていた。
米金融大手JPモルガン・チェースのダイモン最高経営責任者(CEO)は、2月23日にCNBCのインタビューで米金利が6%に達する可能性があるとの見方を示した。日米金利差の拡大となり、「ドル高円安」が起こりうる。
株式市場は、3月の決算期末相場に突入した。昨年3月、日銀は1営業日だけETFを701億円買い付けた。日銀はプライム市場でも動くのか、ドル円レートや外国人投資家の株式売買動向にも注意し、技術系外国人の人材派遣・紹介に強みのある企業に注目したい。
中西文行 「ロータス投資研究所」代表
法政大学卒業後、岡三証券入社。システム開発部などを経て、岡三経済研究所チャーチスト、企業アナリスト業務に従事。岡三インターナショナル出向。東京大学先端技術研究所社会人聴講生、インド政府ITプロジェクト委員。SMBCフレンド証券投資情報部長を経て13年に独立。現在は「ロータス投資研究所」代表。