2023年3月5日日曜日

G7最悪 マスメディア偏向の原因(植草一秀氏)

 立民党の小西洋之参院議員が2日、国会内で記者会見し14年から15年にかけ、当時の官邸幹部らが安倍晋三首相から聞き取ったとされる発言や、高市早苗総務相、礒崎陽輔首相補佐官らの発言とされる内容が記載されているA4約80枚の内部文書を、総務省の職員から提供を受けたとして公表しました。そこには礒崎補佐官が総務省に新しい解釈の追加を求めていく過程が記されています
 小西氏は会見で「民主主義の根幹である放送法の解釈を、少人数の権力者だけで作ってしまうことが文書によって明らかになった」などと述べました。
 ※ 政治的公平性をめぐる放送法の解釈について、従来は「一つの番組ではなく放送事業
者の番組全体をみて判断する」でしたが、安倍政権下で「一つの番組で判断できる
いう新たな解釈が追加されました。

 この件に関連して植草一秀氏が「G7最悪 マスメディア偏向の原因」という記事を出しました。
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G7最悪マスメディア偏向の原因
                植草一秀の「知られざる真実」 2023年3月 4日
メディアが偏向していることは多くの国民が同意するところ。
偏向の方向はメディアが政府の顔色を窺うという方向だ。
つまり、政府に都合の良い情報ばかりが流布されて、政府に都合の悪い情報は流布されないというもの。
もっとも分かりやすいのは人物起用の偏り。政府を厳しく批判する論者が排斥される。
政府にゴマをする、政府にすり寄る論者だけが優遇される。

メディアの偏向は2001年を堺に激化してきた。
2001年に発足した小泉政権がメディア支配を明確に意識して実行に移してきた。
ところが、この「偏向論」に異を唱える向きがある。
メディア報道が反政府に偏っているという批判だ。
この主張を示す人々は戦前の報道のあり方を念頭に置いている。
政府に対する批判は許さないとの判断だ。政府批判の主張の存在自体を認めない。
彼らは偏向しているメディア状況の中に、依然として政府批判の論調が残存することを批判する。完全なる言論統制が目指されているということ。

ひとつの放送局のなかに複数の報道番組が存在する。
番組全体として「政治的公平」を確保するということは、ある番組が政府の意向に沿う内容を報道する場合、別の番組は政府に対する批判が中心に置かれても容認されるとの考え方。
これがこれまでの政府の公式見解だった。
しかし、「言論統制」を目指す立場からすれば、一つの放送局のなかに、たった一つでも政府に対する批判を中心に置く番組の存在は許せないということになる。
たったひとつでも政府批判を中心に置く番組があるなら「極端な例をダメだというのは良いのではないか」との考えが浮上する。

放送行政に対しては総務省が絶対的な権限を有している。
総務省は放送会社に対する許認可権を有している。
許認可権という絶対権限をかざして放送会社の放送内容に介入する。
文字通りの「言論統制」が行われる。
日本においてはマスメディアの偏向が時間の経過とともに強まり続けてきた。

「国境なき記者団(Reporters Without Borders・以下RSF)」が毎年、世界各国の「報道の自由度ランキング」を発表している。
RSFが調査した報道の自由に関する国際ランキング。2022年の調査対象国は180ヵ国。
報道の自由度は100点満点で表示され、2022年の第1位は9365点をマークしたノルウェー。
日本は64.37点で第71位。米国は42位、韓国が43位、台湾が38位である。
日本はG7のなかで最下位。
G7で第6位がイタリアで全体の58位。米国がG7で第5位に位置している。

報道の(不)自由とは一言で表現すれば、政治権力の圧力によってメディア報道がどの程度歪められているのかを示すもの。
立憲民主党の小西洋之参院議員が3月3日の参院予算委員会で、番組の「政治的公平性」を定めた放送法の政府解釈をめぐり、安倍政権下の2014~15年に総務省に対する政治的圧力がかけられたとする内部文書を示して追及した。
これに対して松本剛明総務相は「発言者の確認がとれていない、精査中だ」と答弁した。
当時の総務相だった高市早苗経済安保担当相「ねつ造文書だと考えている」と述べた。
小西議員が「ねつ造でなければ閣僚・議員を辞職するか」と迫ると、高市氏は「結構だ」と言い切った。
まずは、小西氏が入手した「内部資料」の真贋(しんがん)が確認されなければならない。
真贋論争とは別次元で日本のマスメディア報道のあり方について、根本的な是正が急務である。

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