全国22地裁で起こされた、集団的自衛権行使を容認した安保法制は違憲であるという訴訟のうち最後の地裁判決が24日名古屋地裁であり、岩井-直幸裁判長は憲法判断を回避し請求を棄却しました。
判決は、原告が一人ひとり、戦争への不安を訴えたのに対し、「平和は抽象的概念であり、具体的に侵害されたとは言えない」と退け、「意見の対立を裁判所に持ち込むな」とも述べました。
それでは各人に「兵員召集令状」が来ないうちはその不安は「抽象的概念に過ぎない」というのでしょうか。また与党が憲法違反の法制定を強硬したことを司法に提訴したことを、「意見の対立を不当に司法に持ち込んだ」と極めつけるとは、どういう発想なのでしょうか。
弁護団はこの判決について、「戦争への不安という人間本来の感情を理解する気がない。憲法判断を回避しながら『意見の対立を裁判所に持ち込むな』とは不合理極まりない。考えうる最低レベルの判決」と批判しました。
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憲法判断回避し棄却 安保法制違憲訴訟原告が抗議
しんぶん赤旗 2023年3月26日
名古屋地裁
集団的自衛権行使を容認した安保法制は違憲であり、平和的生存権を侵害されたとして、東海地方の221人が国に損害賠償を求めた「安保法制違憲訴訟」の判決が24日、名古屋地裁であり、岩井-直幸裁判長は憲法判断を回避し請求を棄却しました。原告と弁護団は「不当料決だ」として控訴します。
判決は、原告が一人ひとり、戦争への不安を訴えたのに対し、「平和は抽象的概念であり、具体的に侵害されたとは言えない」と退けました。
全国22地裁で起こされた最後の地裁判決。いずれも敗訴しています。
判決後の報告集会には70人が参加。内河恵一弁護団長は「戦争への不安や苦痛といった人間が本来持つ感情を理解する気がない内容だ。憲法判断もせず、考えうる最低レベルの判決」と厳しく指摘。中谷雄二弁護士は「裁梅所は戦争への脅威が増していることを認めた一方で、抽象的概念だとして退けたのは極めて問題だ」と断じました。
弁護団と原告団は声明を発表。「違憲判断の職責を放棄しておきながら、『意見の対立を裁判所に持ち込むな』と否定的判断を示すことは不合理極まりない。強く非難し、断固抗議する」、「強い怒りを表明するとともに、立憲主義及び民主主義を守るために総力をあげる」と述べました。