2018年3月16日金曜日

16- 高度プロフェッショナル制度法案に反対する日弁連会長声明

高度プロフェッショナル制度を創設する法案の国会提出に反対する日弁連会長声明が出されましたので、日弁連ホームページから転載します。
 声明文の中で、高度プロフェッショナル制度問題点を詳細に指摘した文書として下記の文書が挙げられています。
 それはA4判13枚に渡る文書であるため転載できませんが、下記のURLをクリックすればPDF版にアクセスできます。
   全文(PDF版)

 労働時間法制の規制緩和に反対する意見書2014年11月21日)
  日弁連のホームページでは「本見解書の趣旨」として次のように記載しています。
 1「労働時間の長さと賃金のリンクを切り離した『新たな労働時間制度』を創設する」ことには反対である。
 2 政府は、労働の現場における長時間労働の実態を是正するための実効的な法制度を早急に構築すべきである。
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高度プロフェッショナル制度を創設する法案の国会提出に反対する会長声明

政府は、第196回通常国会に、企画業務型裁量労働制の拡大や特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)の創設を含む「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案」の提出を予定していたところ、本年3月1日、安倍首相が、企画業務型裁量労働制の拡大については、今通常国会に法案を提出しないと発表した。他方、高度プロフェッショナル制度創設については、依然法案を提出予定であると述べている。

 企画業務型裁量労働制の拡大や高度プロフェッショナル制度の創設は、2015年の第189回通常国会に提出された労働基準法改正案にも盛り込まれていたものの、実質審議が行われないまま廃案となったものである。当連合会は、2017年11月22日付け「働き方改革を推進するための労働基準法の一部改正案の国会提出に反対する会長声明」において、企画業務型裁量労働制の拡大や高度プロフェッショナル制度の創設について、長時間労働を助長しかねない内容を含むものであり、労働者の命と健康の保持の視点からすれば、これをそのまま法制化すべきでなく、法案が国会に提出されることに反対する声明を公表している。

 政府は、企画業務型裁量労働制の拡大について、第189回通常国会以来、「厚生労働省の調査によれば、裁量労働制で働く者の労働時間の長さは、平均的な者で比べれば、一般労働者よりも短いというデータもある」との説明により正当化してきた。しかし、今通常国会においては、政府は、このデータが不正確なものであるとして、答弁を撤回し、企画業務型裁量労働制の拡大について法案から削除するに至っている。政府が不正確であることを認めたデータは、高度プロフェッショナル制度導入の根拠としても利用されていたものである。根拠資料の不正確性が明確になった以上、労働時間規制を全面的に排斥する高度プロフェッショナル制度を創設する立法事実、正当化根拠は、疑わしい状況となっている。

 当連合会は、2014年11月21日付け「労働時間法制の規制緩和に反対する意見書」においては、高度プロフェッショナル制度のような労働時間規制の適用除外制度を創設することの問題点を詳細に指摘し、労働時間規制の緩和に反対する意見を述べている。当連合会は、高度プロフェッショナル制度の危険性を改めて指摘するとともに、同制度を創設する法案を国会に提出しないことを求める。
  2018年(平成30年)3月8日
日本弁護士連合会  
 会長 中本 和洋