2018年3月8日木曜日

財務省は決裁文書の改ざん文書を検察に提出した?

 7日、自民党の関口参院国対委員長民進党の那谷屋参院国対委員長に、8日朝の参議院予算委員会の理事会に、野党が要求している決裁文書の原本の写しを提出すると伝えました。
 急転直下の展開ですが、本当に原本のコピーが出てくるのか俄かには信じられません。内閣がひっくり返ると言われる資料がそんなに簡単に出てくるものでしょうか。
 出される「原本の写し」は、改ざん前の原本ではなく昨年2月の問題発覚後に国会議員に開示した改ざん後の文書と同じものではないかと言われています。

 別報のように、財務省が検察に任意提出した決裁文書はどうも改ざん後の文書のようです。そうすると財務省はそんな文書を、これまで「現在検察の捜査対象になっているから」とコピーの提出を拒否してきたわけです。もう何から何までが茶番です。

 それとは別に朝日新聞は、財務省が「現在検察の捜査対象になっているから」という理由で決裁文書の原本の写しを出せないと拒否していることに対して、そんな言い訳は通用しないことを7日付の3面で解説しています。朝日新聞の政府追及の姿勢は本物です。その概要を紹介します。

国会法104条は、衆参両院や委員会からの情報や記録の提出要求に政府は応じなけれぱならないことを定めている。政府は応じない場合は、その理由を説明しなければならない。さらに、国会側がその理由を受け入れない場合は、提出によって国家の重大な利益に悪影響を及ぼすという内閣の声明を求めことができる。

議院証言法は衆参両院か証人として出頭や書類の提出を求められたときは応じなければならないと定めている。

③刑事訴訟法第47
訴訟に関する書類は、公判の開廷前には、これを公にしてはならない。但し、公益上の必要その他の事由があって、相当と認められる場合は、この限りでない
 (この但し書きにより、公益上の理由があれば公開が認められる)

検察官出身の民進党の小川敏夫氏「任意提出した書類は検察庁でコピーを取らせてもらえばいい」

特捜OB「任意提出なら、ふつう手元にコピーを残しておくのではないか

元東京地検特捜部検事の堀田力弁護士の話
 財務省は、まずいものを表に出さないために無理な理屈をつけているように見える
 文書の開示は、仮に捜査への影響があったとしても、国会で事実間係を明らかにすることの利益と比較して判断されるべき
 決裁文書が政府側の国答弁に沿うように書き換えられていたことがあったとすれば、国会での議論をゆがめるとんでもない事態で真相を解明する社会的利益きい
 また、すでに検察に出したとする文書は今さ変えようがなく、捜査に大きな影響があるとも考えにくい。財務省が国会にその文書を提出すると言えば、検察は制止できないのではないか。

 要するに、刑事訴訟法第47条を盾に取る言い方は、但し書きを故意に無視する誤魔化しであり、それで納得するべきではないということです。当該の原本が仮に押収されていたとしても、そのコピーを申請すれば検察には拒否する理由はないのではないかと言われています。

 もしも不当な写しが提出されたらあらゆる権利を行使して正本の写しを提出させるべきです。
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森友文書問題 “あす参院予算委理事会に決裁文書の写し提出”
NHK NEWS WEB 2018年3月7日
「森友学園」への国有地売却に関する財務省の文書が書き換えられた疑いがあると報じられたことをめぐり、自民党と民進党の参議院国会対策委員長が会談し、自民党は、8日の参議院予算委員会の理事会に、決裁文書の写しを提出すると伝えました。これを受けて、参議院予算委員会の審議を8日に再開させることなどで、調整を進める方針で合意しました。

この中で、民進党の那谷屋参議院国会対策委員長は「森友学園」への国有地売却に関する財務省の決裁文書が書き換えられた疑いがあると報じられたことをめぐり、決裁文書の写しが提出されないと、審議を進めることができないと主張しました。
これに対し、自民党の関口参議院国会対策委員長は、要求を受け入れ、8日朝の参議院予算委員会の理事会に、文書の写しを提出すると伝えました。

これを受けて、両氏は、6日から開かれていない参議院予算委員会で、8日に集中審議を行い、審議を再開させるとともに、9日に参議院本会議を開き、税制改正関連法案の質疑を行うことなどで調整を進める方針で合意しました。


財務省改ざん疑惑 捜査中でも決裁文書の国会開示はできる
日刊ゲンダイ 2018年3月7日
 参院予算委の理事会は6日行う予定だった一般質疑を見送った。午前の理事会で、森友学園の国有地払い下げを巡る財務省の決裁文書の改ざん疑惑について、財務省の富山一成理財局次長が「告発を受けた捜査の対象となっており、全ての文書を直ちに確認できない状況」とゼロ回答したことに野党が猛反発したためだ。

「現在、大阪地検において、背任のほか、証拠隠滅や公用文書毀棄について告発を受けて捜査が行われている状況」「捜査に影響を与えないよう留意して、全省を挙げて文書の確認、職員への聞き取りなど調査を進めていきたい」
 財務省が提出した書面の中身はこれまで通り、刑事捜査を理由に答えられない――というもの。刑事訴訟法47条は〈訴訟に関する書類は、公判の開廷前には、これを公にしてはならない〉とあり、同省も麻生財務相もこの規定をタテにしているわけだが、この条文には〈但し、公益上の必要その他の事由があつて、相当と認められる場合は、この限りでない〉とある。つまり、公益上、必要であれば可能なワケで、国会が国政調査権に基づいて証拠の提出を求めることができるのだ

 実際、2010年9月に尖閣諸島沖で中国漁船と海上保安庁の巡視船が衝突した際の映像が流出した事件では、公判前に衆院予算委が国政調査権に基づいて那覇地検に提出を求めることを全会一致で議決。同11月に衆参両院の予算委員長、理事らに編集ビデオが公開された。過去には、田中角栄元首相が逮捕されたロッキード事件で、“灰色高官”のリストが特別委で提示されている。
 早速、野党は6日、国政調査権による資料提出や与野党委員長会談の開催を与党に文書で申し入れたのだが、問題は与党が受け入れるかだ。
「財務省の公文書改ざん疑惑は、日本の統治機構に関わる問題であり、事実であれば議会制民主主義の否定です。本来は与野党関係なく調査に同意すべきです。仮に反対する与党議員がいたとすれば、それは『公文書改ざんOK』という意味。国民はそんな議員をどう思うでしょうか」(衆院事務局に33年間勤めた元参院議員の平野貞夫氏)

 尖閣諸島の衝突映像流出事件よりも、今回の財務省公文書改ざん疑惑の方がよっぽど重大。国民も与党対応をよ~く見た方がいい。



財務省が文書の写し提出し予算審議再開へ 森友文書問題
NHK NEWS WEB 2018年3月8日
「森友学園」への国有地売却に関する財務省の文書が書き換えられた疑いがあると報じられたことをめぐり、財務省が8日、文書の写しを国会に提出し、参議院の予算審議が再開される予定です。ただ、野党側は、書き換えがあったかどうかを明確にするよう強く求めていて、財務省の報告の内容によっては再び国会審議に影響が出ることも予想されます。

「森友学園」への国有地売却に関する財務省の文書が書き換えられた疑いがあると報じられたことをめぐり、野党側は、財務省の説明は納得できないと反発し、新年度予算案を審議している参議院予算委員会が開かれないなど、国会審議に影響が出ています。
このため、与党側が野党側の求めを受け入れて、財務省が、8日の参議院予算委員会の理事会に決裁文書の写しを提出することになり、参議院の予算審議が、安倍総理大臣も出席して、3日ぶりに再開される予定です。

与党側は、財務省に文書の写しを提出させるのに加え、文書の作成に関わった関係者からの聴き取りを急がせるなど、説明を尽くす姿勢を示すことで、新年度予算案などの審議を円滑に進めたい考えです。

これに対し、野党側は、財務省が提出する文書の写しについて、「過去に国会に提出した文書を再度、提出するだけであれば意味が無い」としたうえで、文書の書き換えがあったのかどうかを明確にするよう強く求めていて、財務省の報告の内容によっては再び国会審議に影響が出ることも予想されます