森友学園国有地売却を担当していた近畿財務局の職員 赤木俊夫・上席国有財産管理官が7日、神戸市内の自宅で自殺しました。
田中龍作氏ジャーナルによれば、同氏は問題の文書改ざんに直接関わっていた人で、昨年11月から体調不良で休職していましたが、最近になって何度か登庁しており、7日にも登庁したようです。いま同局内では文書改ざんに関する聞き取りが行われている最中なので、自殺は改ざん疑惑と関係していると思われ、自宅には「改ざん前の原本」と「遺書」があったとされているということです。
自分の考えで重要文書の改ざんなどできる筈のない一番弱い人のところに、多分相当な精神的圧迫が加えられたのでしょう。悲しい事件です。
麻生財務相は、9日夜、佐川国税庁長官の辞任を発表し、「辞任後でも地検や財務局の調査に協力し、結果次第でさらに重い懲戒処分をする可能性がある」と述べました。
適材適所で国税庁長官に昇進させたと言ったばかりなのに、正にスケープゴートの典型です。安倍政権は、自殺事件を機にこれ幸いと佐川氏に全ての責任を負わせるトカゲのしっぽ切りをしたと見られています。
官僚の有力政治家(モリ・カケ問題では安倍首相)の意向への「忖度」は詰まるところ不正を伴った迎合であり、その原理は「保身」にほかなりません。国税庁長官に上りつめた佐川氏は大きな役得もあるので批判され怨嗟の的になりましたが、それも理財局長として図った保身が結果的に「栄達」につながっただけのことです。
佐川氏の、「首相関連物件とした特別扱いはせず、土地価格の下打ち合わせや価格の提示もなかった」という発言とは裏腹に、実際には現場ではそうした不正をせざるを得なかっただけでなく、発言と整合性を取るために契約文書を事後に書き換えるという犯罪も重ねざるを得ませんでした。
「政治家」への迎合は必ずそうした不正を伴う筈ですが、元々そうであるからこそ官僚の忠実性が評価されるのという「救いのなさ」がベースにあります。
この種の不正の根源が「忖度させる政治家」の側にあるのは言うまでもありません。
しかし検察もそこまでは追及の手を伸ばせないというのが「忖度」の威力で、安倍首相はその効能をデビューの当初から熟知していた政治家でした。
こうなる前の段階では、「官」の側には、「政」が保身のために、佐川氏をスケープゴートとして証人喚問の場に出すなどは絶対に許さない、そうなれば反乱が起きるという気迫があったと伝えられていました。
いよいよ「その期」に及んだわけですが、どうするのでしょうか。また保身に走るだけでしょうか。
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近畿財務局・森友担当職員の自殺が発覚! 文書改ざんの責任押し付けか?
自殺翌日の昨晩、当時の上司が官邸に
LITERA 2018年3月9日
恐れていたことが起こってしまった。財務省近畿財務局で森友学園への土地売却の交渉をしていた職員の部下にあたる上席国有財産管理官だった男性職員が、一昨日7日に死亡した。警察は自殺とみて調べているという。
この近畿財務局森友担当者の自殺の要因となったのは、問題となっている決裁文書の改ざん問題であることはあきらかだ。
さらに、この男性職員が亡くなったという7日の直前には、財務省は近畿財務局で決裁にかかわった27人に聞き取りをおこなっている。ここで財務省が近畿財務局の職員に責任を押し付けようとしたことは想像に難くない。職員は昨年11月から一時、休職していたというが、最近になって、何度か登庁しており、聞き取りには応じていた可能性が高い。
しかも、自殺した職員は遺書を遺しており、一部では自宅に改ざん前の文書があったという情報もある。真偽の程はまだ不明だが、近畿財務局に責任を転嫁して幕引きをはかろうとする政府に対する抗議の自殺の可能性もある。
その一方、前述した聞き取りなどで職員が相当に追い詰められていたという情報もあり、それが自殺につながったのではないかとする見方もある。
事実、こうした政界・官界が絡んだ事件では、担当者が自殺に追い込まれるというケースが数多く起こっている。たとえば、1998年に発覚した大蔵省接待汚職事件、いわゆる「ノーパンしゃぶしゃぶ事件」では、金融機関から収賄を受けて便宜供与をはかったとして大蔵省は4名の官僚の逮捕者を出したが、このとき銀行局金融取引管理官が自殺に追い込まれた。また、1988年に発覚したリクルート事件では、未公開株を譲渡されていた竹下登首相の「金庫番」と呼ばれていた秘書・青木伊平氏が自殺している。
そして、担当者の自殺によって、事件そのものの実態が完全には解明できないという空気がつくり出され、大物の責任が問われないまま終止符が打たれることが繰り返されてきた。
そのため、今回の担当者の自殺を受けて、安倍首相をはじめ政府関係者はほくそ笑んでいるかもしれない。「やはり近畿財務局の暴走だった」と片づける可能性もあるだろう。
実際、昨晩には、土地取引がおこなわれていた当時の近畿財務局長である武内良樹・財務省国際局長が官邸に出向いている。このとき官邸側と自殺の一件で口裏合わせをおこない、担当者に責任を被せるシナリオを描いたのではないか。
しかし、この問題は、そうやって幕引きできるものではけっしてない。改ざんがあったことはもはや言い逃れはできないし、今回の担当者の自殺は、まさに改ざんは組織ぐるみの犯行で、担当者が本省との板挟み状態であったことを証明するものだ。そして、この「特例」の取引の引き金となったのは、昭恵夫人の存在なのだ。
今後、さらに改ざんを裏付ける証言や証拠が出てくる可能性は高い。保身に走る人間たちに追い詰められた末に犠牲者を出してしまうという起こってはいけない事件が起こった以上、このまま終わらせてはいけないだろう。 (編集部)
森友担当の財務局職員が自殺 倒閣へ追い込まれる安倍政権
日刊ゲンダイ 2018年3月9日
森友学園国有地売却を担当していた近畿財務局の職員が7日に神戸市内の自宅で首を吊って自殺していたことが、9日に分かった。自殺を図ったのは、2日に朝日新聞が報じた決裁文書改ざん疑惑が急浮上した5日後で、この日は野党国会議員が近畿財務局で国会議員提出の決裁文書にはないチェックマーク入りのコピーを入手。改ざん疑惑が深まった直後であった。
この職員は、昨年11月から一時、精神的な理由のため、休職していたというが、最近になって、何度か登庁しており、聞き取りには応じていた可能性が高い。7日にも登庁したとの情報もあり、自殺と改ざん疑惑との関連性が非常に疑われるのだ。
しかし、麻生太郎財務大臣は9日、「内容は聞いている」と述べただけで、いまだに改ざん文書の存否すら明らかにしていない。同日の野党合同のヒアリングで、「若い職員をこれ以上苦しめないためにも早急に一両日にも調査結果を報告すべきだ」「調査期限を麻生大臣が指示していないのはおかしい。時間稼ぎをしているとしか見えない」(山井和則・元国対委員長)といった批判が噴出したのはこのためだ。
■安倍政権倒閣気運が一気に高まる
自殺した男性職員は、学園側と売却交渉にあたっていた統括国有財産管理官の直属の部下で、一連の経過を知り得る立場にあった。ヒアリングでは「遺書には改ざんの経過が書かれ、自殺の現場には決裁文書があったという報道もあるが」との質問も出たが、財務官僚は改ざん文書の存否も含めて具体的な事実関係については一切答えず、ゼロ回答の状態がこの日も続いた。
改ざん疑惑解明に消極的な政府与党に野党は猛反発。8日には野党合同院内集会を開いて、「改ざん文書の存否を明らかにすることが審議再開協議の最低条件」で一致。一丸となって安倍政権(首相)の追及の態勢が整った。
直前の立憲民主党代議士会では、枝野幸男代表が実質的な安倍政権倒閣の呼掛けをした。「『役所がおかしな文書を2つ作ってしまった』という話ではない」「行政機関が行政の勝手な行動で文書を偽造変造したことは過去にもあるが、その場合は政府が行政的な処分をすればいいだけの話」と指摘した上で、今回の改ざん疑惑の本質をズバリ指摘したのだ。
「安倍総理が1年前の予算委員会で『関わっていたら総理もおろか、国会議員も辞める』と堂々と仰っていた件に関わって文書が変えられていたのではないか。政府与党全体の問題ではないか。その本質を見誤ってはいけない」
印が押された行政文書を改ざんすることを罰する「有印公文書偽造罪」(最高で懲役10年以下)を優秀な財務官僚がしていた場合、官邸の政治的圧力や財務省幹部の忖度抜きには考えにくい。
枝野氏はこう続けた。「与党には(改ざん文書が)ないなら『ない』とはっきり言えと。あるなら『さっさと出せ』と強く求めていきたい」
そして所属議員に対して、次のように呼びかけた。「皆様にもそれぞれの地域で『単なる偽造変造に止まらない大きな問題である』と。そもそも森友学園の土地の問題は『10億円近い国有財産のダンピングだ』という税金の問題なのだということを是非、国民の皆様にしっかりとお伝えをしていただき、国対の最前線で頑張っている皆様を支えていただきたいと思っております」。
実質的な安倍政権倒閣の呼び掛けといえる。そして直後の野党合同院内集会では、各党幹部が順次挨拶をして「国会への冒涜」「国政調査権の蹂躙」で一致、最後は頑張ろうコールで締めた。安倍政権を野党一丸で追及する気運が一気に高まったのだ。
(取材協力=ジャーナリスト・横田一)