2018年3月20日火曜日

首相関連案件に関する答弁はすべて官邸と調整する

 麻生財務相をはじめとして、いま政府は、佐川氏が首相の立場を忖度して首相夫妻の関与等を断定的に否定する答弁を繰り返したとして、それに整合させるために関係文書の改ざんが行われたと、全責任を佐川氏に負わせようとしています。

 しかし法務相の事務担当秘書官を経験したことがある住田裕子弁護士は、
総理が出席するときは、すべてをあらかじめ調整するので、勝手に事務局とか理財局とか原局だけが独走することはあり得ない。総理が答弁する場合にはかならず省側の官房の文書課や秘書課が関係して、官邸と連絡調整する。総理秘書官がそこらへんをある程度、ちゃんと采配する、「少なくとも総理秘書官、総理補佐官あたりの総理周辺の事務方にはちゃんと情報があがっている(要旨)
と述べ、理財局長が独自の判断で答弁を行うことはあり得ないことだとしました。

 今度の件も当然そうした調整のもとに進められて来ました。ところが昨年2月17日、突如安倍首相が「私や妻がかかわっていたら総理も国会議員も辞める」とシナリオにないことを発言しました。なぜそんなことを言い出したのか  それは犯罪心理学で解明されることのようですが  の発言に官邸が青ざめ、我に返った安倍首相も、昭恵夫人や自分の名前、特例的な取引がおこなわれたことを証明する文書の問題箇所の改ざんすることにしたというのが真相だとLITERAは述べています(改ざんの範囲が佐川氏の答弁事項をはるかに超えているのはそうした経緯を示しています)。

 かくして官邸の誰かがゲキを飛ばし、政治史に長く残るであろう大々的な決裁文書の改ざんが行われたわけですが、元文科省事務次官の前川喜平氏は、
「私は、その “誰か” が総理秘書官の今井尚哉氏ではないかとにらんでいる。国有地の売買をめぐるような案件で、経済産業省出身の一職員である谷査恵子氏の独断で、財務省を動かすことは、まず不可能。谷氏の上司にあたる今井氏が、財務省に何らかの影響を与えたのでは」
と述べています。
 つまり森友問題はそもそも土地取引の段階から、安倍首相の右腕である今井総理秘書官が安倍夫妻の名代として関与し、さらには文書の改ざんも命じたのではないかと見ているわけです。 
※ ⇒ 2016年11月16日) 破綻している安倍首相の側近政治

 ここにきて各メディアの世論調査で内閣支持率が軒並み急落していますが、安倍首相は1か月もすればまた回復するだろうと見ているということです。しかし関係文書を大々的に改ざんするまでに到った森友学園問題に、安倍晋三夫妻が関係していると考えている国民は80%にも及んでいる以上、いま進められているように「佐川氏を犠牲の子羊」にして逃げ切るのを、国民が簡単に認めるとは思えません。

 LITERAの記事を紹介します。
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改ざん問題で前川喜平氏が「総理秘書官の今井尚哉氏」関与の疑いを指摘!
大臣秘書経験の住田弁護士も「総理秘書官に情報上げる」
LITERA 2018.03.19
 本日おこなわれた参院予算委員会の集中審議で、案の定、安倍自民党は財務省にすべての責任を押し付けようと躍起になった。質疑に立った和田政宗議員は安倍首相などのリーダーシップが改ざんの真相究明につながっているという意味がさっぱりわからない安倍首相擁護を展開。挙げ句、和田議員は、「太田理財局長は民主党政権時代の野田総理の秘書官も務めている。増税派だからアベノミクスを潰すために、安倍政権を貶めるために意図的にヘンな答弁をしているのではないか」という陰謀論を展開し、財務省の太田充理財局長が「それはいくらなんでも、いくらなんでも」と声を荒げて否定する場面もあった。

 文書には安倍昭恵という名前がしっかり書き込まれていたのに、それを削除していた。もはや文書の改ざんが「誰の立場を守るために」おこなわれたのかは明々白々だが、安倍自民党は佐川宣寿・前理財局長と財務省の犯行に責任転嫁をはかろうと必死。この安倍政権のグロテスクな態度には、ネット上でも「佐川さんと太田さんがかわいそう」という同情の声が上がりつつある。
 本サイトでは何度も言及してきたが、一介の理財局長が、自分の答弁との整合性をとるために、約300箇所にもおよぶ公文書の改ざんを実行するという大規模な国家的犯罪を犯すことなど考えられない。さらに、総理大臣が絡む案件で官邸と相談なしに独断で答弁することもありえない
 そして、これは実際に官僚として政府答弁にかかわった経験者たちが声を揃えていることでもある。
 これは、たんに官僚心理という曖昧な話ではなく、そもそも仕組みとしてありえない。実際に官僚として政府答弁にかかわった経験者たちが、そう声を揃えているのだ。

 たとえば、今朝放送された『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)では、法務相の事務担当秘書官の経験がある住田裕子弁護士が、非常に重要な指摘をおこなった。
「私、大臣秘書官として総理答弁のときにも関係していた秘書官だったんですけども、総理大臣が出席されるときは、すべて調整しますので、勝手に事務局とか理財局とか原局(=行政事務を司る各局)だけが独走することはあり得ない。そして総理答弁の場合には、かならず本省であれば、官房の文書課や法務省の場合は秘書課が関係して、総理のほうのところと連絡調整する。総理の秘書官がそこらへんをある程度、ちゃんと采配してらっしゃるはず」
少なくとも総理秘書官、総理補佐官あたりの総理周辺の事務方にはちゃんと情報があがっている
「いかにも『下だけが独走しました、暴走しました』って言い方、『勝手に忖度したからやったんです』という言い方自体が非常に実状にはそぐわないと思います」

前川喜平文科次官も住田裕子弁護士と同様に「佐川氏一人の暴走はありえない」
 総理出席の委員会の場においての理財局長の答弁内容は、事前に総理官邸の事務方に伝えられて調整されている。つまり、この事実に基づけば、佐川氏の答弁は「勝手に暴走して口走った」ものなどということは到底ありえず、官邸側も承知した内容だったはずなのだ。

 じつは、この住田弁護士と同じことを指摘している人物がいる。前川喜平・前文部科学事務次官だ。
 前川氏は昨晩放送された『Mr.サンデー』(フジテレビ)のインタビューのなかで、「(佐川氏は)何らかの無理な答弁をせざるを得ない事情があったんじゃないか」と推測し、こう語った。
「質問通告と言いますけど、通告してもらった質問を整理して、それぞれ答弁を担当課がつくるわけですね。総理答弁、大臣答弁、局長答弁とつくっていくわけで、総理答弁だったら官邸に持っていって、官邸の秘書官や関係の人たちとすり合わせるわけですね。大臣の答弁と局長答弁が食い違わないように調整しますよね。そういうことを、前の日の夜にやるはずです」
佐川さんの一存で無茶なことを言っているんじゃなくて、私は官邸とかと調整した上での答弁だと思いますけどね」

 さらに前川氏は、佐川氏の答弁が「記録はない」「記憶もない」という一貫した答弁だったことを踏まえ、「その場しのぎというよりも方針がはっきりと決まっていたと思いますけどね」と述べている。

 たしかに、佐川氏は国会答弁の際、予定していない質問を受けた際には「確認する」と言って答弁を避けていた。一方、安倍首相はどうだったか。文書改ざんのきっかけになったとみられている昨年2月17日の「私や妻がかかわっていたら総理も国会議員も辞める」という答弁は、場当たり的に野党の追及をかわすため、深くも考えずに咄嗟に出てきた言葉だったはずだ。
 実際、この答弁をおこなった日、安倍首相はほかにも、すぐ後に全力で切り離しにかかる籠池泰典理事長のことを「妻から森友学園の先生の教育に対する熱意は素晴らしいという話を聞いている」だの「いわば、私の考え方に非常に共鳴している方」だのといったように、自分の支持者であることを自ら口にした。

 さらに、安倍晋三小学校という校名についても、「私が死んだあとならまた別だけれども」「何か冠をしたいということであれば私の郷土の大先輩である吉田松陰先生の名前とかを付けられたらどうですかとお話した」などと言い、良好な関係を保ってきたことを饒舌に説明している。それが一転、24日には「学校のことはよく承知していなかった」などと言い出すのだ。ちなみに、佐川氏の答弁が「適正な価格で売っている」というものから一転して「(交渉記録は)速やかに廃棄をした」などと強気なものに変わったのも、同じ24日だ。

 官邸との調整に基づいて佐川氏が当たり障りのない答弁をおこなう一方で、安倍首相が「暴走」し、自身の進退にかかわる答弁をぶってしまった──。余裕がなくなると逆に余裕があるふりをして饒舌になるのは安倍首相の特徴のひとつだが、問題の17日も同じで、これに官邸が青ざめ、安倍首相も我に返り、昭恵夫人や自分の名前、特例的な取引がおこなわれたことを証明する文書の問題箇所の改ざんを命じた。状況的にはそうとしか考えられない

前川喜平前文科次官がキーマンとして名前をあげたのは今井尚哉・首相秘書官
 では、誰が改ざんを命じたのか。じつは前川氏は、本日発売の「週刊朝日」(朝日新聞出版)のなかで、問題の核心に迫る指摘をおこなっている。
 それは、文書の改ざんも、そして異常な土地取引も、同じ人物による指示があったのではないかというのだ。
官僚が、これほど危険な行為を、官邸に何の相談も報告もなしに独断で行うはずがない。文書の詳細さを見れば、現場がいかに本件を特例的な措置と捉えていたかがわかる。忖度ではなく、官邸にいる誰かから「やれ」と言われたのだろう
「私は、その“誰か”が総理秘書官の今井尚哉氏ではないかとにらんでいる。国有地の売買をめぐるような案件で、経済産業省出身の一職員である谷査恵子氏の独断で、財務省を動かすことは、まず不可能。谷氏の上司にあたる今井氏が、財務省に何らかの影響を与えたのでは」
 
 つまり、森友問題はそもそも土地取引の段階から、安倍首相の右腕である今井総理秘書官が安倍夫妻の名代として関与し、さらには文書の改ざんも命じたのではないかと見ているのだ。これはようするに、昭恵夫人サイドからの働きかけのみならず、夫である安倍首相サイドも土地取引に関与していたことになる。それが明るみにならないよう、財務省への実行部隊であった今井総理秘書官が改ざんを命じた……。これは十分考えられるシナリオだろう。

 きょうの集中審議で安倍首相は、改ざん前文書の内容について「答弁をひっくり返すような記述ではまったくない」として、自分の答弁が改ざんのきっかけになったという疑惑を否定した。だが、実際は、昨年2月17日の進退に言及した答弁だけではなく、土地取引にまで官邸がかかわっていたために改ざんは引き起こされたのではないか──。力学的に官邸の関与が明らかである以上、佐川氏のみならず、谷査恵子氏や、土地取引時の理財局長で安倍首相と異例の回数で面談をおこなっていた迫田英典氏、そして安倍昭恵夫人の証人喚問によって、官邸関与の事実をあぶり出すことが必要不可欠だろう。 (編集部)