中国は、今度の金正恩訪中については米国と韓国には通知していました。しかし日本には通知はありませんでした。安倍首相が登場するやいなや、たちまち中国との関係を壊してしまったからでした。
南北朝鮮融和に関する情報も何も入りませんでした。やはり安倍氏が韓国との関係を壊していたからでした。
今、国際社会で孤立しているのは、北朝鮮ではなくて日本だと言われています。東アジアで四面楚歌、どこからも嫌われて情報が全然入らない(「世に倦む日々」氏のツイート)。米国の尻馬に乗ってさえいれば万事OKと思っていた結果がこのザマです。
ところがこと北朝鮮問題となると、日本のメディアはすべて「安倍化」して、北朝鮮をめぐる一連の首脳外交を素直に喜べず、むしろ成功しない事を願っているかのような報道ばかりです。どのメディアも「非核化を巡る交渉ではこれまで北朝鮮に合意を破棄された裏切りの歴史があるので油断できない」と報道するばかりで、そこに明るさを見出そうとする姿勢はありません。
メディアがスクラムを組んで権力の横暴と対決するのは喜ばしいことですが、それとは逆に、何が悲しくてメディアは安倍首相の発想の感化を受けなくてはならないのでしょうか。
天木直人氏のブログを二つ紹介します。
二つ目のブログは、金正恩氏が、米朝首脳会談が成功裏に終われば「6月初めにも日朝首脳会談がありうる」と語り、日本と国交正常化すれば、2兆円余ないし5兆円余の支援を受け取れると語ったことを伝えています。
官邸は、そのことは安倍外交の最後のサプライズとしてその時点まで秘しておきたかった筈ですが、金正恩政権がそれを先にバラしたということです。
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南北、米朝首脳会談の成功を素直に喜べないメディア
天木直人のブログ 2018-03-30
これまで何度も書いて来たが、北朝鮮問題となると日本のメディアはすべて総安倍化しているごとくだ。
北朝鮮をめぐる一連の首脳外交を素直に喜べず、むしろ成功しない事を願っているような報道ばかりしている。
置き去りにされた安倍政権とその応援団が失敗を望むのはわかる。
しかし、「ゴマすり外交の限界」と題して、蚊帳の外に置かれた安倍首相を批判している東京新聞(3月30日こちら特報部)ですら、きょう3月30日の紙面で、きのう開かれた南北閣僚級会談を批判的に書いている。
すなわち、南北首脳会談を4月27日に開く事では合意したものの、会談後に発表された共同報道文は、最重要課題である「朝鮮半島の非核化」には一切触れられなかった、北朝鮮と韓国の立ち場の違いが浮き彫りになったと。
日米韓はこれまで非核化を巡る交渉で北朝鮮に合意を破棄された裏切りの歴史があり、油断できないと。
これでは、まるで安倍外交を擁護しているようなものだ。
「朝鮮半島の非核化」という最大のテーマについて合意されるとしたら、それはまさしく首脳会談においてであって、準備段階のいまは何も言及されないのは当たり前だ。
しかも、過去の非核化交渉と今回の非核化交渉は、その歴史的状況も意味合いも、まったく異なる。
朝鮮戦争の終結まで見越した今度の一連の首脳会談の重みが、まるで分っていない東京新聞の記事だ。
そうかと思ったらきょうの朝日が書いていた。
金正恩の電撃的訪中は中国も予想外だったと。
すなわち金正恩は何度も中国から訪中を要請されていたが拒否し続けて来たと。
それが一転した受け入れたのだと。
そのことを日米韓は何も知らされていなかったと。
まるで、蚊帳の外に置かれたのは安倍首相だけではなかったと言わんばかりだ。
東京と朝日がこれだから産経や読売は推して知るべしだ。
要するに、日本のメディアは皆、今度の南北、米朝首脳会談の結果がうまく行かない事を望んでいるのだ。
終ってしまった中朝首脳会談ですら、あら探しばかりしている。どうして素直に喜べないのだろう。
まさしく北朝鮮問題については、国会はもとより、日本のメディアは総安倍化している。
そして、それは無理もない。
日本のメディアもまた勉強不足、取材力不足で、この一連の朝鮮半島の和平という歴史的大転換の蚊帳の外に置かれているからだ。
メディアに安倍首相を笑う事は出来ない(了)
電撃的な金正恩訪中の全貌が教えてくれた安倍外交の孤立
天木直人のブログ 2018年3月29日
一夜明けて金正恩電撃訪中の全貌が明らかになった。
今日の各紙が大きく報じるその実態は驚きの数々だ。
その中でも、一番驚かされたのは、安倍首相の日本だけが何も教えてもらっていなかったということだ。
これまでにも私はさんざん批判的に書いて来た。
安倍外交ははしごを外されたと。
それどころではない。完全に置き去りにされていたのだ。
そのことが今度の金正恩の訪中で証明されたのだ。
なにしろ習近平はまっさきにトランプに会談内容を教えている。
それをトランプがツイッターですかさず公表し、歓迎するとまでつぶやいている。
出し抜かれた形になっている韓国であるが、きょう29日、板門店で南北閣僚級会談を開く。
同じ民族が朝鮮戦争の終結に向かって今度こそ本気で南北首脳会談を成功させようと決意した以上、文在寅大統領の韓国が主役から外れることはない。
つねに情報は北朝鮮から同時並行的に伝わっているのだ。
蚊帳の外に置かれているのはプーチンのロシアと安倍首相の日本だけだ。
しかし、プーチンのロシアは、ついこの間まで、習近平の中国がトランプの米国に譲歩して金正恩の北朝鮮に対する経済制裁を強化した時、ただ一人それに反対し、北朝鮮を擁護した国だ。
おまけにプーチンはロシア疑惑でトランプの急所を握っている。
いざとなれば本当のことをばらすぞと凄めばいい。
どんなにプーチンのロシアと西側主要国の関係が悪化しても、トランプの米国はプーチンのロシアを敵に回す事は出来ない。
良くも悪くも、プーチンのロシアは国際政治の中心国なのだ。
こう考えて行くと、安倍首相の日本だけが、いかにその存在価値のない、どうでもいい国であることがわかる。
極めつけはきょう3月29日の朝日新聞が報じた次の記事だ。
すなわち、北朝鮮関係によると、金正恩政権が最近、朝鮮労働党幹部らに「6月初めにも日朝首脳会談がありうる」と語っているというのだ。しかもそれを内部の資料として配布しているという。
日本と国交正常化すれば200億ドルとも500億ドルともされる支援を受け取れるとまで書いているという。(100億ドル≒1兆620億円)
6月初めというタイミングは、すべての首脳会談が終わったタイミングだ。
すべてが平和裏に終わり、北朝鮮の支援が始まれば金を出すのは日本だと言っているのである。
これを安倍首相が言うのならわかる。
何しろ訪朝して拉致問題を解決し、日朝国交化正常化を成し遂げるのは安倍外交の最後のサプライズであるからだ。しかし、金正恩政権がそれを先にばらしたのである。
何も知らされていないのは安倍首相の日本だけだ。
無理もない。知らせてくれなかった、冷たいではないか、と文句を言ったら、トランプも習近平も文在寅もこう言い返してくるだろう。
今あなたは森友疑惑でそれどころではないだろう。それを忖度して、今あなたにその事に専念して危機を乗り切ってもらいたかったからだと。
もはや安倍首相では力強い日本外交は進められない。
一刻も早く安倍政権を変えて仕切り直さなければ、日本外交は乗り切れないということである(了)