2018年3月7日水曜日

これが「改ざん公文書」 避けられない内閣総辞職(田中龍作ジャーナル)

 国会に提出した文書に改ざんが行われたかどうかについて、財務省は6日に調査結果を報告することになっていましたが、結果は、原本が検察に押収されていて調査が出来なかったという「ゼロ回答」でした。これは勿論原本がなくても関係者からの聞き取りで回答できる事柄なのですが、口が裂けても「改ざんした」とは言えないのでしょう。
「改ざんした」ことが明らかになれば「内閣は総辞職しなければならない」と野党が主張するのは、立法府の行政監督権を行政府が文書の改ざんによって阻害するのは、行政府が立法府を蹂躙することで許されないという趣旨からです。
 
 しかし言い逃れのできない証拠によって財務省が文書を改ざんしたことはもう明らかになりました。
 官僚は、上司の決済を受ける文書には、内容に間違いがないことを一行一行チェックした証拠に、各センテンス(文)の終わりの句点「。」に「確認マーク」(細書きのマーカーで色付)をつけるそうで、このことは、総務官僚出身の小西洋之議員(民進)や農水官僚出身の舟山康江議員(民進)が証言しています。

 ところが国会に提出された文書(契約文書を構成する調書 31頁)は、国有地の森友学園への貸付けやその後の売渡しにおいて、財務省が「安倍首相マター」として特例扱いをしたり、売渡し価格を提示したことが読み取れる部分を改ざんしたとみられる2~6頁にはこの確認のマークがなく、その他のページには確認のマークがついているという「マーク付きとマークなしが混在した」文書になっていて、確認マークのない部分が改ざんして差し替えた部分であることをストレートに示していました。

 小西議員は、「捏造の可能性が極めて高」く、「財務省組織ぐるみの書き換えだろう」として、野党が要求して予算委員会に提出された決裁文書が書き換えられたとすると内閣総辞職は免れないだろうと断言しています。

 田中龍作ジャーナルの5日付と6日付の記事を紹介します。同記事にはマーク付きの頁とマークなしの頁の写真が掲載されています。記載のURLから原記事にアクセスすればご覧になれます。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
これが「森友の改ざん公文書」だ 避けられない内閣総辞職
田中龍作ジャーナル 2018年3月5日
 昨年3月、財務省が国会に提出した森友学園への国有地売却の決裁文書。改ざん(さしかえ)部分は6ページにも及ぶことが分かった。決裁文書は全部で約50ページ。1割が改ざんされていたことになる。

 改ざん部分を見抜き指摘したのは小西洋之議員(民進)。総務官僚出身の小西議員は、自らも決裁文書を作成していた経験から次のように説明する
 チェック済みであることを示すため、役人は文末にマーカーで丸をつける。慎重な仕事ぶりで鳴る官吏らしい作業だ。
 決裁文書が改ざんされていなければ、全てのページに丸が付いているはずだ。
 ところが、改ざんがあったと報道されている「調書」の部分は丸印がない。格安で売却した経緯を正当化して記した部分などである。朝日新聞の報道と符合する。小西議員は「これだけの大掛かりな改ざんは組織的でなければできない」と見る。

 きょう夕方、6野党は合同で財務省から事情を聴いた。
 小西議員は昨年3月、財務省が国会に提出した問題の文書をかざしながら追及した -
「(改ざんがあったと報道されている)『調書』の部分だけサイン(丸)がない。チェックマーク(丸)をつけた人の名前を教えて下さい。実物を見せることができますか?」
 財務省理財局の井口裕之・国有財産企画課長は「電子媒体になっている場合もある」とかわした。紙で残すのが役所の鉄則だ。不思議な答弁である。
 井口課長は改ざんの物的証拠となる紙面上のチェックマークの有無を知られまいとしているかのようだった。

 改ざんが指摘される決裁書類は、森友問題が発覚して間もない2月下旬から、参院予算委理事会が財務省に提出を要求し、3月2日、財務省が提出に応じた。
 改ざんを示す動かぬ証拠が出てきた。財務省は委員会の中でもひと際重要な予算委員会を欺いたのである。安倍首相と昭恵夫人を守るためだ。書類はもちろん、与党議員にも配布された。

 国権の最高機関であり、国民の代表で構成される国会に対する愚弄だ。内閣総辞職は避けられない。
〜終わり~


【続報】森友・改ざん公文書 今度は「バージョン2」登場
田中龍作ジャーナル 2018年3月6日
 森友学園の国有地払い下げ記録が改ざんされていた問題で、野党6党はきょうも財務省から聴取した。
 追及の核心は昨日に引き続き「調書」の差し替えだった。辰巳孝太郎議員(共産)は「調書が我々が(国会で)受け取った物と違うのかを知りたい」と財務官僚に迫った。

 農水官僚出身の舟山康江議員(民進)はさらに厳しく質した
 「何かする時に間違っていないようにするのがチェック。調書だけにチェック(丸印)がついていない。誰かがチェックするんですよね。誰なのか確認して下さい・・・私も役人出身だから分かるが、不自然」。

 森ゆうこ議員(自由)が畳みかけた。昨日、近畿財務局に踏み込んで入手した「調書」のコピーを見せて追及したのである。コピーは近畿財務局でとってもらった。
 近畿財務局にあった「調書」は、文末にチェックの跡がある。森議員によれば「コピー前のチェックマークは青(色鉛筆)だった」。
 「近畿財務局でもらったのはチェック(マーク)がある。国会議員に配られたのはチェック(マーク)がない」。森ゆうこ氏は迫った。

 「我々が持っているのも同じ。作業過程で(チェックマークが)あったのかもしれない」。財務省理財局の井口裕之・国有財産企画課長は、いつものように口から出まかせの言い訳で、その場を繕った。

 調書は国有地を森友学園に格安で払い下げた経緯を記したものだが、財務省は安倍首相とその周辺に都合の悪い部分を削除するなどして、国会に提出していた。
 決裁文書のうち「調書部分」だけにチェックマークが入っていないことを、小西洋之議員(希望)が見抜き、きのうの聴取で財務官僚を追及した。小西議員は総務官僚出身だけに役所の事務作業に詳しい。

 森ゆうこ議員によれば、昨日入手したのは、「改ざん前(before)の調書」ではない。いわば「バージョン2」だ。国会に提出されたのが「バージョン3」となる。
 だが、エイズ、自衛隊日報、加計問題で政府が「ない」「破棄した」としていた文書は、ある日忽然と姿を現した。つい最近では厚労省の労働実態調査がそうだった。

 森友学園への国有地叩き売りを記録した改ざん前の文書「バージョン1」が出てきたら、安倍政権は「万事休す」だ。
〜終わり~