12日に一部が明らかになった文書改ざんの実態はすさまじいもので、改ざん箇所は報告された分だけでも 14文書・310箇所に及びました。検察に任意提出した文書も改ざん後のものでした。
その内容は政治とつながる部分をすべて削除したというものですが、政治といってもその主要人物は勿論安倍首相ないし昭恵夫人です。閣議決定で私人とされた昭恵夫人は実に5箇所にわたって登場していたということです。
形式的には佐川理財局長(当時)の答弁と整合させる改ざんになっているので、麻生財務相は全て佐川氏が指示して削除させたかのように説明していました。
しかし佐川氏がウソ八百を並べ立てるようになったのは、12日にもTVで繰り返し放映されていた昨年2月17日の安倍首相の答弁※以降で、それまではいわゆる通常の官僚答弁でした。
※「私や妻が関係していたということになれば、まさにこれは、もう私は総理大臣も、そりゃもう、間違いなく総理大臣も国会議員も辞めるということは、はっきりと申し上げておきたい」
安倍首相は、12日官邸を出る際 記者団に対し、
「行政全体の信頼を揺るがしかねない事態であり、責任を痛感している。国民にお詫びを申し上げたい」、「なぜこんなことが起きたのか、全容を解明するため、調査を進めていく。麻生副総理兼財務大臣には、その責任を果たしてもらいたい。二度とこうしたことが起きることのないように、信頼の回復に向けて組織を立て直していくために、全力あげて取り組んでもらいたい」
と述べましたが、問題の当人にそう語られても白けるだけです。
麻生財務相の辞任を求める声は当然高まっています。しかし仮にそうなってもそれはトカゲの尻尾であることに変わりはないので、とても国民の納得は得られないでしょう。
ただ安倍首相としては、いま麻生氏を「野に放つ」ことは3選を目指す自身の安泰にかかわってくるので最大限守るだろうと言われています。安倍3選はもうないとも言われているにもかかわらずに、です。
朝日新聞は、13日「民主主義の根幹が壊れる」の社説を打ちました。
その隣のオピニオン欄には堀田力氏の「官僚が忖度、では済まぬ」の談話が載りました。
佐川氏のウソ八百の答弁に引き続く改ざん文書の提示によって、この1年間の国会の審議は全て無効になりました。
12日夜の官邸前には大勢の市民が抗議に殺到し、歩道は人で溢れかえり前に進めない人びとの列が長蛇となり、21時を回ってもその人数は増える一方だったということです。
総がかり行動実行委員会による国会前連続行動は、3月12日から3月16日(金)まで連続で行われ、3月19日(月)へと続きます。
LITERAの2本の記事を紹介します。
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改ざん前の決裁文書に「昭恵夫人が森友に感涙」の産経記事が
…「安倍晋三」「麻生太郎」「日本会議」の名前も
LITERA 2018年3月12日
改ざん前文書に昭恵夫人の名前──。本日、公表された改ざん前文書の内容が公表されたが、そこには昭恵夫人の名前が記されていたにもかかわらず、削除されていたのだ。
しかも、驚いたのは、その名前が出てくる箇所だ。昭恵夫人の名前が記載されていたにもかかわらず削除されていたのは、土地取引の経緯が時系列でまとめられた「事案の経緯」という項目。改ざん前は3ページ分のボリュームだったが、改ざん後はものの数十行にされ、2ページ半分が削除されている。
そのなかで、2014年4月28日に近畿財務局と森友側が打ち合わせしたことに言及する部分で、こう記されていた。
〈打合せの際、「本年4月25日、安倍昭恵総理夫人を現地に案内し、夫人からは『いい土地ですから、前に進めてください。』とのお言葉をいただいた。」との発言あり(森友学園籠池理事長と夫人が現地の前で並んで写っている写真を提示)。〉
これを受けて、さっそくネトウヨたちは「なんだ、籠池の発言か」「籠池の発言なんて削除されていて当然」などと喚いているのだが、じつは、昭恵夫人の名前が出てきたのは、ほかにもあった。2015年1月8日の箇所には、こんなことが書かれていたのだ。
〈産経新聞社のインターネット記事(産経WEST産経オンライン【関西の議論】)に森友学園が小学校運営に乗り出している旨の記事が掲載。
記事の中で、安部首相夫人が森友学園に訪問した際に、学園の教育方針に感涙した旨が記載される。〉(原文ママ)
この「事案の経緯」という項目は、近畿財務局に森友学園から寄せられた要請や両者の交渉、国会議員からの陳情などの具体的な事実が記されたものだ。にもかかわらず、取引契約とは関係しないこの産経記事が唐突に、土地契約の「経緯」として出てくるのだ。
ちなみに、この問題の記事は、こういうものだった。
〈塚本幼稚園幼児教育学園。安倍晋三首相夫人が同園を訪れたとき、園児らのかわいらしくもりりしい姿を見て、感涙にむせんだという。さて、その塚本幼稚園の籠池泰典園長が、小学校運営に乗り出している〉
〈昭恵夫人は昨年4月、同園の視察と教職員研修のため訪れたとき、鼓笛隊の規律正しいふるまいに感動の声を上げた。さらに、籠池園長から「安倍首相ってどんな人ですか?」と問いかけられた園児らが「日本を守ってくれる人」と答える姿を見て、涙を浮かべ、言葉を詰まらせながらこう話したという。
「ありがとう。(安倍首相に)ちゃんと伝えます」〉
削除されていた「安倍晋三」「麻生太郎」「日本会議」という記述
近畿財務局が土地契約にいたる「経緯」のなかにこの記事の存在をわざわざ記したのは、いかに森友学園に昭恵夫人がかかわっているのかということを重要視していた、ということだ。
その上、ほかの文書から削除された部分には、「安倍晋三」「麻生太郎」、さらには「日本会議」の名まであったのだ。
それは、〈「学校法人 森友学園」の概要等〉という項目で、籠池泰典理事長(当時)について言及した箇所。そこには、籠池理事長が〈日本会議大阪(注)代表・運営委員〉とあり、その注釈部分にこう書かれていた。
〈国会においては、日本会議と連携する組織として、超党派による「日本会議国会議員懇談会」が平成9年5月に設立され、現在、役員には特別顧問として麻生太郎財務大臣、会長に平沼赳夫議員、副会長に安倍晋三総理らが就任〉
この記述を読めば、森友学園が安倍首相や麻生副総理もかかわる重大案件であるということがよくわかるが、こうした記述も削除していたのである。
しかし、こうした自己保身の改ざんが明るみになったというのに、本日14時すぎから会見をおこなった麻生財務相は開き直るような態度に終始。自身の進退について「考えていない」と言い、「佐川の答弁に合わせて理財局の指示で書き換えた」「最終責任者は理財局長である佐川」と、佐川宣寿前理財局長にすべての罪を押し付けた。
だが、これはおかしい。文書の改ざんは2017年2月下旬から始まったというが、これが正しければ、改ざんに最初に手を染める以前の佐川前理財局長における国会答弁は、「改ざんして整合性をとらなければならない」ようなものではなかったからだ。
たとえば、佐川前理財局長が、文書の改ざんが必要になるような踏み込んだ答弁に変わったのは2月下旬で、24日には「(交渉記録は)速やかに廃棄をした」と言い出し、3月に入ると「価格を提示したこともないし、先方からいくらで買いたいと希望があったこともない」と虚偽答弁をした。しかし、それ以前の答弁は、「適正な価格で売っている」(2月17日衆院予算委員会)という程度のものでしかなかった。
改ざんは佐川局長でなく安倍首相の答弁と整合性をとるために行われた
では、改ざんは誰を守るために、おこなわれたのか。
じつは、2月下旬より前に「改ざん」が必要な答弁をおこなっていたのは、佐川氏ではなく、安倍首相だった。
安倍首相は2月17日の衆院予算委員会で、追及する野党の質問に逆ギレし、こう言い放った。
「私や妻が関係していたということになれば、これは、まさに私は間違いなく、総理大臣も国会議員も辞めるということははっきりと申し上げておきたい」
だが、この答弁は大嘘で、公文書にははっきりと、昭恵夫人や安倍首相の名前、いかに総理夫人の存在を近畿財務局が重く受け止めていたかが記載されていた。「答弁に合わせて書き換え」が必要となったのは、まさに安倍首相のこの答弁ではなかったのか。
安倍首相も麻生財務相も、これからも佐川氏に責任を押し付けて有耶無耶にするつもりなのだろうが、そんな話が通用するはずがない。改ざん前文書によって、森友問題の本質が安倍夫妻にあることは明らかになった。そして、そうした事実を国民に伏せるために、公文書を改ざんするという国家的犯罪まで起こしたのだ。このまま安倍夫妻を逃げ切らせるわけにはいかない。(編集部)
この期に及んで他人事の安倍首相と官僚に責任押し付けの麻生財相に
国民の怒りが爆発! 官邸前の抗議デモがすごいことに
LITERA 2018年3月12日
きょう、財務省が発表した改ざんの内容報告によって、もとの文書には安倍昭恵夫人の名前が記載されていたこと、さらには安倍晋三首相や麻生太郎財務相の名前まで記されていたのに、ことごとく削除されていたことがわかった。
まさに森友問題は、安倍首相らががっつりかかわった末に約8億円も値引きして国有財産が支持者に払い下げられただけではなく、その事実が露呈しないよう公文書を改ざんするというあるまじき国家的犯罪を犯した、民主主義国家の土台をぶち壊す大事件となった。
にもかかわらず、きょうの会見で麻生財務相は「問題の最高責任者は理財局長の佐川」と言って罪を被せ、安倍首相にいたっては、こう言い放った。
「行政全体の信頼を揺るがしかねない事態」
「なぜこんなことが起きたのか、全容を解明するため、調査を進めていく」
なぜこんなことが起きたのか、だと? それはあんたの保身からはじまって公文書偽造事件が起きたんじゃないのか━━。
このような無責任かつ、この期に及んでしらばっくれる総理に対する怒りから、今晩、官邸前には大勢の市民が抗議に殺到。官邸前の歩道は人で溢れかえり、前に進めない人びとの列が長蛇となっている。21時現在、その人数は増える一方だ。
そして、集まった人々は、怒りに満ちた声で、「ホントのこと言え!」「安倍は辞めろ!」「佐川じゃなくて麻生が辞めろ!」とコールして訴えつづけている。
まさにコールの通りだろう。官邸前は安保国会の2015年を彷彿とさせるほどの盛り上がりをみせているが、これ以上、安倍首相をのさばらせては、いよいよこの国は独裁を許すことになる。だからこそ、その危機を市民は阻止しようとしているのだ。
問題はメディアだ。いまも官邸前には市民の抗議の模様を数多くのマスコミが取材しているが、政権の顔色を伺ってか、この問題を改ざんではなく「書き換え問題」と報じつづけている。
何度でも言うが、この問題は国家的犯罪だ。それを矮小化するようであれば、メディアは死んだも同然である。(編集部)