2018年3月14日水曜日

9条2項維持+「自衛隊保持」明記 自民改憲案

 自民党の憲法改正推進本部は、戦力不保持などを定めた憲法9条2項を維持しながら自衛隊の存在を明記する改正条文案に関し「必要最小限度の実力組織として自衛隊を保持する」と盛り込む方向で最終調整に入りました。

 正式案は未定ですが、下記の例に類似したものになると思われます。
第9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
   2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
同条2 必要最小限度の実力組織として自衛隊を保持する

 しかし「第9条の2」には、事実上「前項の規定にかかわらず」という接続詞句が含まれています。それは2項の「戦力不保持・交戦権否認」を否定するものであり、到底憲法学者の批判に耐えられないし、国民の納得も得られません。
 時間を掛けた挙句がこれであるというのは、9条に自衛隊の存在を明記するという命題自体にそもそも無理があったことの証明です。
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自民「自衛隊保持」明記へ 9条2項維持の改憲案
東京新聞 2018年3月13日 20時44分
 自民党の憲法改正推進本部(細田博之本部長)は、戦力不保持などを定めた憲法9条2項を維持しながら自衛隊の存在を明記する改正条文案に関し「必要最小限度の実力組織として自衛隊を保持する」と盛り込む方向で最終調整に入った。安倍晋三首相(党総裁)の意向に沿った案で、現行9条と別立ての「9条の2」を新設する。細田氏らは14日の執行役員会と15日の全体会合で提示し、この案で意見集約を目指す。党関係者が13日、明らかにした。

 党内では石破茂元幹事長らが2項を削除して自衛隊の存在を明記する案を主張しており、理解を得られるかどうかが焦点となる。(共同)

(参考記事)
党大会で改憲条文案の提示困難 自民、方向性示すにとどめる
東京新聞 2018年3月13日 13時39分
 自民党の竹下亘総務会長は13日の記者会見で、細田博之憲法改正推進本部長が憲法9条などの改憲条文案を25日の党大会に示すのは困難だとの認識を示していると明らかにした。党大会には、改憲の方向性を示す形にとどまるとみられる。
 竹下氏は12日に細田氏と会談。細田氏は「条文案まで決めるのはなかなか難しいが、大きな方向性を党として決め、党大会で報告しなければいけない」と述べたという。
 自民党は、憲法9条への自衛隊存在明記のほか、緊急事態条項、参院選「合区」解消、教育の充実の4項目に関し、党改憲案の策定を進めている。(共同)