2018年3月8日木曜日

8日に提出される“決済文書の写し”もニセモノ! カラーコピーを拒否

 森友学園関係の財務省決裁文書の改ざん問題に関して、8日に契約文書の原本(大阪地検に提出した決裁文書)の写しが財務省から国会に提出されることになりましたが、どうもそれは改ざん後の文書に過ぎないようです。そんなものを今更提出されても事態は進展するどころか一層紛糾するに決まっています。

 カラーコピーだと改ざんの痕跡が読み取りやすくなるので、野党側は強く要求したのですが、財務省はそれを頑強に拒否したということです。まさに語るに落ちた話です。
 
 横田一氏によるLITERAの最新版の記事を紹介します。
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財務省がきょう国会に提出する“決済文書の写し”は矛盾だらけ!
 財務省がカラーコピーを拒否する理由
横田 一 LITERA 2018年3月8日
 安倍政権を揺るがす森友公文書改ざん問題。本日8日の参院予算委員会理事会では、周知のように財務省が大阪地検に提出した決裁文書の写しを提出することになった。しかし、それは改ざん前の文書ではなく、すでに開示されている改ざん後の文書にすぎない。しかも、財務省は複数の決裁文書が存在するのではないかとの追及に対し、明確な回答をしなかった。

 これまでさんざん「大阪地検に押収されているからない」と言っていたのに、自民党と公明党に詰め寄られると「写しがあった」などと言い出し、とっくに開示されている文書と同じ内容のものを差し出す。財務省はこんな茶番で国民の目をごまかせると本気で思っているのだろうか。
 しかし、きょう財務省が提出するのが、改ざん後の決裁文書の写しにすぎなくとも、そこから改ざんの事実を物語るさまざまな矛盾や疑惑がさらに浮かび上がってくる可能性がある。

 そのひとつが民進党の小西洋之参院議員が指摘していた、チェックマークの問題だ。小西議員が語る。
「われわれ国会議員が受け取った決裁文書で、朝日新聞が報じた『調書』の部分(ページ)だけ黒の丸印のチェックマークがないので、改竄された可能性がある。なぜチェックマークがないのか。野党が『元の文書を出して欲しい』と要求しても出てこない」
 また、もうひとつは、改ざん後の決裁文書に、少なくとも複数のバージョンがあることだ。
 5日に、自由党の森ゆうこ議員らが近畿財務局で保管していた決裁文書のコピーを閲覧、入手したが、そこには、昨年2月に国会に提出された文書にはない手書きのチェックマークがついていた
 6日の野党合同ヒアリングでは、財務官僚が「情報公開請求があった段階で書き入れたのではないか。いくつかのバージョンがある可能性がある」と答えていたが、この点についても、官僚出身の小西議員が呆れながらこう指摘する。
「情報公開請求があったときにチェックを入れるはずがない。そのまま出せば、いいわけですし、情報公開請求があった文書に書き込むこと自体が法令違反になる行為です。絶対に書き込むことはしない。だから、そうすると何なのかという話になる。決裁文書にチェックマークがないと不自然なので後から改竄した調書のページに書き入れたのではないか。調書の部分だけが棒線のチェックマークで、その前後は丸印のチェックマークになっている。それぞれ別の人がチェックをしたのか。それは誰なのかが問題になる。非常に怪しい話だ」

カラーコピー提出を頑なまでに拒む財務省。閲覧しようにも部屋に鍵が!
 また、きょう提出される改ざん後の決裁文書では、ほかにも改ざんの形跡が浮かび上がる可能性がある。たとえば、森ゆうこ議員は、昨年2月に国会に提出された決裁文書の調書部分にはパンチ穴の影がコピーされていたのに、近畿財務局で入手した「原本の写し」の調書にはそのパンチ穴の影がないと指摘していた。
 5日、森議員らが閲覧した近畿財務局保管の決済文書の写しはカラーコピーだったことがわかっているが、小西議員は、こうした改ざんの形跡をより詳しく検証するには、カラーコピーを入手する必要性があるという。
「カラーコピーを見ると、経年劣化が分かるので、後から改竄文書に差し替えた場合、調書だけが色合いが違うページになっていることが分かる可能性がある」

 しかし、きょうの予算委員会理事会で、カラーコピーが提出される可能性は低いかもしれない。というのも、財務省や近畿財務局はここまでカラーコピーを渡すことを徹底して拒否していたからだ。
 5日、近畿財務局で決裁文書の写しを閲覧した森議員らに対しても、渡されたのは白黒コピーだった。

 また、小西議員は財務省から理不尽な拒否のされ方をしている。小西議員は近畿財務局が保管していた決裁文書のカラーコピーと同じものが財務省にもあるとの情報を聞き、財務省の担当者に「カラーコピーを取らせて欲しい」と要請。すると、了解が取れて、6日の16時半すぎに杉尾秀哉参院議員と一緒に財務省を訪問することになったのだという。ところが、実際に行ってみると、対応は一変していた。
「担当者は行く前は『カラーコピーを用意しておきます』と言っていたのに、財務省に到着すると、『コピーを渡せなくなった』と態度が一変させた。押し問答をして再びカラーコピーを渡してもらうことになったが、40分くらいして担当者が戻ってくると、また渡せないと言い出した。仕方がないので財務省理財局を訪ねて、閲覧をしようとしたが、部屋に鍵がかかっていて入れなかった」

 この問題に関する5日の野党6党合同ヒアリングでも、立憲民主党の辻元清美国対委員長が「財務官僚の対応が急に変わって文書提出を拒否するようになった」と財務官僚を問い質すやりとりがあったが、小西議員と杉尾議員も、まったく同じような経験をすることになったのだ。
 これは、改竄の手がかりを知られると恐れてカラーコピーを手渡すことを取り止めたようにしか見えない。
 きょうの参院予算委員会理事会に提出される決裁文書のコピーがカラーか、白黒かはまだわからないが、この対応を見る限り、カラーコピーである可能性は限りなく低い。
 それにしても、改ざん後の文書すらこういうかたちで隠蔽をはかっているのだから、今後、改ざん前の原本を出すことなどありえるのだろうか。「内閣総辞職の回避が至上命題の官邸が財務省に圧力をかけて、改ざんの証拠を出させないようにしている」という見立ては現実味を帯びるばかりだ。(横田一)