財務省はようやく決裁文書の改ざんを認める方針を固めました。既にこの件では犠牲者が出て、その人の自宅に原本があったとも伝えられる中、これ以上文書の改ざんを隠蔽するのは無理と考えたのでしょう。
しかし、官邸はこの期に及んでも森友学園への国有地売渡しは「大物議員の口利き案件」だったとか、文書の書き換えは決済前に行ったのでで改ざんではないなどの言い訳を考えているとも言われています。
そんな見え透いて小細工はせずに、財務省が安倍首相の意向を忖度して国有財産を大幅に値引きしたこと、公文書を改ざんしたこと、改ざん文書を国会に提出して国会の調査を妨害したことなどを正直に報告すべきです。財務省は検察にもほぼ同じ改ざん文書を任意提出しているということなので、そちらの方も当然出し直しをすべきです。
官邸は、佐川氏の辞任だけで済まない場合、最悪 麻生財務相の辞任で決着が付けられると考えているようなのですが、それは甘い考えでしょう。
財務省がこんな風に不正を重ねざるを得なかったのは、偏に「政治を私物化している」安倍首相への非難をかわすためでした。諸悪の根源になっている安倍首相が無傷のままでこの問題が決着するのはあり得ないことです
LITERAの「財務省が改ざん前文書公表へ! ~ 」と日刊ゲンダイの「自殺者が出て尻尾切り 悪魔のような政権を許していいのか」を紹介します。
(11日8:30に公開したつもりでしたが、誤操作で「下書き」モードのままになっていました)
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財務省が改ざん前文書公表へ! 文書には政治家の実名が掲載との情報も、
安倍官邸は財務省に責任を押し付け逃げ切る方針
LITERA 2018年3月10日
ついさっき、森友学園の土地取引にかんする決裁文書の改ざん問題で、財務省が「書き換えがあったと認める方針を固めた」というニュースが飛び出した。
じつは、この情報は本日今朝から駆け巡っていた。いまのところ「書き換えを認める方針」と「近畿財務局の担当職員や本省幹部の懲戒処分を検討」という情報しか発表されていないが、本サイトが掴んだ情報によれば、財務省は週明け月曜12日の調査結果の公表の際、書き換えを認めるだけでなく、改ざん前の決裁文書も出すというのだ。
これまで財務省は「近畿財務局に残っている文書の写しはこれがすべて」などと逃げ回ってきたが、これは財務省の判断ではなく安倍官邸の方針だった。だが、ここにきて、ようやく改ざん前文書を出すしかないと観念。財務省に根回しをおこない、月曜に出させることにしたという。
改ざん前の決裁文書を出せば、公文書偽造という大罪を認めることになり、いよいよその責任を徹底追及される。それがわかっていて、なぜ官邸は絶対に隠し通すつもりだった問題の決裁文書を出すことを決めたのか。
「やはり、昨日、近畿財務局職員が自殺したことが大きく報道され、もう逃げ切れないと踏んだのでしょう。佐川宣寿国税庁長官の首を切ったとはいえ、佐川氏は改ざん当時の理財局長ではなく、問題の責任を取ったことにはならない。それに、改ざん前の決裁文書を出しても、財務省に罪を押し付けることはできる。実際、近畿財務局の担当職員や本省幹部の処分だけではなく、最悪の場合は、麻生太郎財務相を辞任させて幕引きをはかるつもりのようです」(全国紙政治部記者)
さらに、改ざん前の決裁文書を出すことに決めた理由はもうひとつあるとみられている。じつは、一説によると、改ざん前の決裁文書には、自民党の大物議員の名前が記述されていたという情報もあるのだ。どうやらそれをクローズアップして、「森友は大物議員による口利き案件」として目を背けさせようという算段らしい。
官邸は「決裁前に修正しただけで改ざんではない」という言い訳で責任回避を画策
しかし、麻生財務相の辞任や別の議員の関与をもち出したところで、決裁文書を改ざんしていたという事実がなくなるわけではない。これは、れっきとした公文書の偽造という大罪であり、重大な国家犯罪だ。
だが、姑息なことに官邸は、月曜に改ざん前文書を出すと同時に、「決裁する前に修正しただけだから改ざんではなく、問題はない」と主張する方針だとみられている。
まったく、そんな子ども騙しの言い訳が通用するとでも思っているのだろうか。普通、公文書の修正をする場合は、二重線を引いて訂正印を押し、誰が訂正をしたかをわかるようなかたちにするのがルールだ。それをせずに修正することを「改ざん」と呼ぶのだ。
そして、公文書に記された政府にとって都合の悪い部分を改ざんするという行為は、麻生財務相が辞める程度で責任が取れるような話ではなく、内閣総辞職に値する問題だ。しかも、本サイトの既報の通り、改ざん箇所は佐川前理財局長や麻生財務相の国会における答弁と連動したかたちとなっており、官邸と財務省がシナリオをつくって答弁の口裏合わせをし、それに沿うかたちで決裁文書の書き換えを近畿財務局に指示をしたとしか考えられない。官邸の関与こそがこの公文書偽造の核心であり、安倍官邸の暴走が問題にされなければ、責任の所在があきらかになったとは言えないのだ。
ほんとうの追及は、月曜の改ざん前決裁文書が出されてからはじまる。そのとき、責任問題から遁走する安倍官邸をけっして許してはならない。(編集部)
巻頭特集
自殺者が出て尻尾切り 悪魔のような政権を許していいのか
日刊ゲンダイ 2018年3月10日
安倍夫妻が深く関わっている底ナシの「森友疑獄」。とうとう自殺者まで出てしまった。
近畿財務局に勤務していたノンキャリアの男性職員が7日、神戸市の自宅で首をつり、搬送先の病院で死亡していたことが分かった。遺書もあり、兵庫県警は自殺と判断している。
男性職員は、国有地を8億円もダンピングして森友学園に売却した部署に所属していた。森友疑惑の発覚後、体調を崩し、昨年秋から欠勤がちだったという。
朝日新聞が今月2日、近畿財務局が森友学園との取引に関する「決裁書」を書き換えていたと報じた後、再び職場に顔を出していた。遺書の中身は明らかにされていないが、森友疑惑の犠牲者なのは間違いない。
「自殺の直接の動機は、決裁書の書き換え問題だったのではないか。男性職員が亡くなる直前、財務省は近畿財務局で決裁にかかわった約30人から聞き取りを行っています。当然、登庁した男性も、聞き取りの対象だったはず。責任を感じていたか、あるいは自分ひとりに責任を押しつけられることを恐れていた可能性があります」(財務省関係者)
遺書には組織に対する恨みつらみが書かれていた、という情報も流れている。
「またか、という気分です。権力者が深く絡む疑惑が起きると、必ずと言っていいほど犠牲者が出てしまう。しかも、末端の役人や秘書というケースが多い。たまたま、担当部署に所属していたために、死ななければならないほど大きな問題を抱え、自ら命を絶ってしまったのではないか。もし、異常な行政が行われなければ、死を選ぶこともなかったと思う。歪んだ行政の犠牲者ですよ」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)
■安倍夫妻の犠牲者
自殺した男性職員は、安倍夫妻の犠牲になったようなものだ。
森友疑惑はすべて、安倍夫妻が発端だからだ。国有地が8億円も値引きされて森友学園に売却されたのも、昭恵夫人が小学校の名誉校長に就くなど、森友学園の広告塔になっていたからである。
実際、森友学園の籠池泰典理事長(当時)は、安倍夫妻の名前を度々口にして「グーンと価格を下げなあかんよ」と値引きを迫り、近畿財務局の職員も「ゼロに近い金額まで努力して」と応じていた。
近畿財務局が作った決裁書の「原本」に、「特例的な内容となる」「本件の特殊性」といった記述があるのも、安倍夫妻の案件だったからだろう。「原本」には、「本省理財局に相談」「理財局長の承認を得て」という記載もあるという。財務省をあげて、安倍夫妻のために国有地を安く売ったのは明らかだ。
その揚げ句、安倍夫妻を守るために「決裁書」の書き換えまでしている。財務省が絶対に決裁書の「原本」を出さないのは、ウソかマコトか、「原本」に昭恵という文字があるからだという説が飛び交っている。安倍首相は、国会で「妻や私、事務所が関係していたら総理も国会議員も辞める」と豪語している。もし、決裁書の「原本」に昭恵の文字があったら、安倍首相は即刻、議員辞職だ。
自殺した男性職員は、どんな役割を負わされていたのか。
自殺者が出たことで、告発を受けて捜査を続けている大阪地検特捜部は、真相解明のために、強制捜査に踏み切る可能性があるという。
「大阪地検の現場は、ヤル気満々です。近々、近畿財務局の職員のパソコンを押収するという話もあります。メールを調べていけば、財務省の本省からどんな指令があったかも分かる。捜査の展開次第では、あっと驚く新事実が出てくる可能性もありますよ」(霞が関関係者)
男性職員は誰の犠牲になったのか。絶対に真相を解明しないといけない。
「3選はなくなった」が政界の空気
男性職員が自殺しようが、安倍首相は、理財局長だった佐川宣寿国税庁長官を更迭することで森友疑惑を幕引きにするつもりだ。
しかし、佐川長官のクビを差し出したくらいで国民が納得すると思ったら大間違いだ。
もう、安倍政権は長く持たないのではないか。過去、自殺者を出した政権はその後、時間を置かずに崩壊しているからだ。血塗られた政権は長く続かない。やはり、人心が離れていくのだろう。実際、永田町の空気も一変している。「安倍3選はなくなった」というムードが、どんどん広がっている。
「安倍官邸も求心力が落ちていくことに危機感を感じているのでしょう。唐突に“解散風”を流しています。しかし、逆効果になっている。自民党議員は“やれるものならやってみろ”“すぐに引きずり降ろす”と、まったく怯えていない。もう、安倍首相に神通力はありませんよ」(政治評論家・本澤二郎氏)
それでなくても、“安倍1強”は音を立てて崩れはじめている。「決裁書」の書き換えが発覚してから、自民党内の“安倍離れ”が急速に進んでいる。
二階幹事長は、「国会から要求された資料を出さないということは、理解できない」と公然と安倍政権を批判。岸田政調会長も珍しく「予算を仕上げるために努力しなければならない。そこから先の話は何も決めていない」と、総裁選出馬への準備を進めると宣言している。
「安倍首相はなんとか風向きを変えようと必死です。4月初旬に訪米するのも、国民の目を森友問題からそらすためです。働き方改革も、場合によっては“高プロ”を削除するつもりです。“高プロ”を外せば、野党も賛成するので簡単に成立する。これ以上の失点を防ぎ、国会さえ閉じてしまえば、延命できると計算しているようです」(自民党関係者)
■「国政の私物化」が招いた悲劇
しかし、自殺者まで出しておいて、首相を続けようなんて許されない。
近畿財務局の男性職員の自殺は、安倍政治の行き着いた先だ。
「安倍政治の最大の特徴は、国政の私物化です。加計学園の獣医学部新設も、安倍首相の“腹心の友”のために、わざわざ国家戦略特区を設け、行政をねじ曲げて認可している。国政を私物化する安倍首相のために、省庁の役人は無理に無理を重ねているのでしょう。その結果が、決裁書の書き換えであり、近畿財務局の男性職員の自殺なのではないか。しかも、夫婦揃って国政を私物化している。昭恵夫人のために、専属秘書が5人もいたのだから異常です。日本の官僚は世界一優秀と言われていたのに、この5年間でぶっ壊されてしまった。一刻も早く、安倍首相を退陣させるべきです」(五十嵐仁氏=前出)
「モリ・カケ・スパ」――と、疑惑はすべて安倍首相の周辺で起きている。疑惑と混乱の中心に首相夫妻がいるなんて、ほとんどアフリカの発展途上国と同じだ。
近畿財務局の職員が自殺し、佐川長官が更迭されたことで、さすがに国民も安倍政権の異常ぶりに気づいたはずだ。
安倍首相は、国会を閉じる6月20日以降「私は秋の総裁選には出馬しません」と宣言するのではないか、という見方が広がっている。支持率が急落したら、一気に党内政局が勃発する。国民はトドメを刺さないとダメだ。